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第374話 ぐわぁあぁ、死んだぁー

「はて、ここは一体?」

 疑問を呈し、辺りを見渡す。

 周辺は、何処までも暗く、先を見通すことが出来なかった。

 まるで腹を貫かれた私の未来のように。


「・・・面白くないな」

 不謹慎だし、まず単純に面白みがない。

 自分の発言に後悔しながら、床に腰を下ろした。

 床に手をつけると、水のように波紋が広がっていく。

 一切濡れることもないのに。

 ・・・少し、いや、だいぶ気持ちが悪いです。


「うわぁ」

 小さく漏らし、再度辺りを見渡した。

 やはり、何処まで行っても暗く、平坦に見えた。

 方向感覚と頭が可笑しくなりそうです。


「ハア」

 小さく溜息をつくと、

「うっえ」

 吐き気を催した。


「痛い、痛い、って、クソっ」

 頭が割れるような、死にそうな痛みにのたうち回る。

 足を失ったときよりかはましだが、筆舌に尽くしがたいものがある。


「はあ、はあ」

 過呼吸を治そうと努力をすると、さらに吐き気を催した。

 そして、

「うっぐ、うえぇ」

 胃の内容物が逆流する感覚に襲われた。

 ナニが出ることはなかったが。


 口を押さえながら、床に頭も降ろした。

 空もやはり暗闇だ。

 夜空のような紺ではなく、少しの明りもない多々純粋な漆黒。


「ハハハ」

 少し嗤いが漏れた。

 今度こそ、本当に死んだなー、と思ったのだ。

 ショック死かな? それとも、失血死?

 それにしても、死んだというのに、頭痛に嘔気を催すなど・・・。

 やはり、天罰というものを食らってしまったか?

 前世のものか、はたまた今世のものか、どちらだろうか?


「ハハハ、・・・はぁ、何でかなぁ」

 どうしてこんな事になってしまったのか、恨めしい気持ちで呟く。

 だが、思いつくのは天誅だったり、罪報だったり、と身も蓋もないものばかりであった。


 目を瞑り、

(来世は、そうだな・・・。またニンゲンになりたいかな。出来ることなら、前世と同じ世界の)

 私、エミリー・ブランドーとしての記憶ではない、もっと古い記憶の友人の顔を思い出し、存在するのか分からぬ神に祈った。


「アイツ、元気にしてるかな」

 一番仲の良い親友というか、社長というか、雇い主のことを考えた。

 そして、

「奴は全然元気そうだな」

 利己的で、ほぼ感情的な側面を見せぬ、サイコパス野郎だということを思い出し、安心をした。


「ハアぁ」

 頭の中を真っ白にし、ぼーっと空を見上げた。

 暗いなー、黒いなー、怖いなーって思いながら。




 ・・・・・・・・・さて、疑問に思うのだが、私はいつまで此処にいるんだ?

 死んだはずだよな?

 なんで視点が変わらんの?


「あれれぇ、可笑しい」

 いつまで経っても視界は変わらず、ただの暗闇だ。

 死んだら一体どうなるかは知らないが、永遠にここに幽閉されるなんてことはないだろう。

 ・・・なっ、ないよね? えっ? ないはずだよね?

 頭可笑しくなるよ? 私、本当に壊れちゃうよ。


「えっ、えっとー。だっ、誰かぁー! 誰かぁー! 聞いてますかー! おーい、聞いてんなら答えろ!」

 いや、えっ、これ、えっ? マジ?


 流れることはないのだが、冷汗が流れた感覚がした。

 ついでに、肝が冷える、というか、お腹がずっしりと重くなると言うか、色々と恐ろしい考えが、頭をよぎったのだ。


「はあ? まって、はあ? えっ、えっ?」

 魔法を行使し、逃げようとした。

 だが、まるで魔力が底をついたかのように、頭痛と嘔気を催すだけで終わる。


「えっ、やっば! まって」

 こんな所で意識を霧散させるなど嫌だ!

 頭痛に耐え、走った。


「いやっ、なんか! 何か、くっさい! マジ臭い、ナニこれ?」

 走り続けて数分後、とても辺りが臭くなった。

 何て言うか、酸っぱい? 近いのは、腐臭なのかな?

 ・・・あっ、気持ち悪くなってきたかも。


「あっ、・・・うえぇえ」

 酸っぱい臭いと頭痛、それにより喉の辺りに貼り続けてた吐き気、コイツが段々強くなっていった。

 そして、耐えきれずに決壊してしまった。


「うっ、げぇえぇ────────



 ──────────────────

 ──────────────




「・・・きぶんが悪い」

 小さく漏らし、瞼を開ける。

 すると、今までにはなかった光が飛び込んできた。


「・・・はあ?」

 疑問を呈すと、

「だっ、大丈夫ですか!」

 煩い声が聞こえてきた。


「あっ、はい、大丈夫、かもです」

 レイに適当な返事をしつつ、

(生きてたんだ。・・・生きてたんだ)

 実感が湧くことはなく、何度も繰り返した。


 そして、

「・・・なんか、臭くないですか?」

 酸っぱい臭いに耐えきれずに声を漏らした。


「えっと・・・」

「何やったんです?」

「えーと・・・」

「ほっ、本当に何やったんです? 怖いんですけど! 何かけたんです」


 服からする腐臭に恐怖を抱いた。

 本当にヤバいものを掛けられたのではないか、と。


「えっと、気付け薬を・・・」

 悩んだように答える彼女に、

(えっ、こんな臭いしたっけ? 気付け薬って)

 少々疑問を呈したが、

「そう、ですか」

 深く触れるのが若干怖く、適当な返事で終わらせた。


(そう言えば、よく私生きてるな)

 生きていることに疑問を呈し、掛けられた毛布を上げてみた。

 すると、右足は影のような魔法が貼り付き、応急措置のようなものがされていた。


「応急処置でもしてくれたんです?」

「えっ? いや、してませんよ」

「そうなのですか? それじゃあ、これは?」

「えっと、貴女が()()()したのでは?」

「いや、そんなはずありませんよ」


 意識を失っていたし、魔力も殆ど無かった。

 それに、即興でこんな魔法を創り出すことは出来ないだろう。

(・・・誰がこの魔法を?)

 よく分らぬ状況に、疑問を呈すのだった。

前回の描写について。少しグロい話です。


本当は魔物さんが、主人公の足を食う描写を入れようとしてました。

ですが、それはアウトなのでは? と疑問を呈し、やめました。

主人公を虐めたかったんですけど、ちょっぴり残酷すぎるかなーって。

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