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第356話 拗らせてしまったよ。鈍痛に疼痛

「・・・なんか、喉痛いな」

 昨日、ローブの罪人と会い、声を張った影響なのか、とても喉が痛かった。

 本日は珍しく眠気がないのに残念で仕方がない。


「ケホッ、ケホッ」

 数度咳をしながら、

(ああ、喉が・・・。空気、乾燥してたのかな)

 ベッドから降り、水を貰いに行った。


「何か、寒いなー」

 肌寒さに身震いしながら、未だに夏であるはずなので、

「どうしてだ?」

 疑問を呈したが、理由に心当たりはなかったので諦め、

「誰か居ませんか?」

 食堂に入りながら声を出した。


「あっ、お嬢様、おはようございます」

「おはようございます、アースベルト。・・・アリアさんは何処に?」

「少し前に外出しました」

「だから見なかったのですね。お願いなのですけど、お水取って頂いても構いませんか?」

「はい、分かりました」


 嬉しいことに持ってきてくれるようなので、適当に椅子に腰を下ろし、

(・・・なんか、何かは分からないけど、なんだか、ナニカが変な気がする)

 本当に理由は不明なのだが、疑問を思い浮かべた。


(寝起きだからかも知れないが、なんだか頭がフワフワするというか、気持ちの悪い感じというか・・・)

 よく分らない体調を言葉に表そうとしていると、

「・・・ケホッ」

 短く咳が出た。


「はあ、よく分らない」

 再考しているのだが、未だに考えつく余地すら見えずにいると、

「持ってきましたよー、お嬢様」

 間の抜けた声が聞こえてきた。


「ああ、どうもありがとうございます。・・・あのっ、どうして顔を見つめてるのですか?少しばかりなのですが、恥ずかしいのですけど・・・」

「なんだか気のせいかも知れませんが、宜しいですか?」

「なんです?」

「顔色、少し悪いように見えて」

「・・・そうですか?」

「普段の顔色を覚えていないので、不確かではありますが」


(・・・おい!お前、一応は今は私の従者では?)

 マジか、と思っていると、

「手鏡持ってきますね」

 奴は走って食堂から出て行った。


「・・・風邪でも引いちゃったか」

 あともう直ぐ、具体的には明後日には、皇子殿下達を招くというのに少々、いや、だいぶ不味い状況だな、と焦燥を抱いた。


「ずっと続いてた寝不足で弱っていた状況に加え、昨日の外出での疲労、それと人と触合ったのダブルパンチで、ダウンしちゃったか」

 昨日の行動に一切の後悔はないのだが、ちょっとばかし他の選択肢もあったのかな、と考えてしまった。


 少しの不安に、

(明後日までに直すことは出来るだろうか?)

 悪い可能性を思い浮かべ、

「・・・まっ、まあ、風邪であるならば変に拗らせない限り大丈夫だろう」

 病は気から、とも言うので可能性を否定した。


「今まで、変に拗らせたことは殆ど無いし、きっと、たぶん大丈夫なはずだ。うん」

 後付けで理由を考えていると、

「持ってきましたよ、お嬢様」

 アースベルトの声が聞こえてきた。


「どうも」

 適当に返事をし、手鏡に映る自分の顔を見た。

 そして、

「あっ、うん、確かにそう言われればその通りですね」

 若干顔色が悪いように思えた。


「ああと、うーん、どうしよう」

 このまま眠った方が良さそうに思えるのだが、扁桃腺が腫れているのか、少し痛いだけで、頭痛も発熱もないように思えるし・・・。


 眠るべきか、と多少悩んだ後、

(まあ、大丈夫かな。殆ど終わっているみたいだけど、手伝えることも確かにあるだろうし)

 信用していないわけではないのだが、人に任せっきりにするのもどうかと思ったので、

「アースベルト、何か手伝えることはありませんか?親睦会について」

 と問いかけ、無事にお仕事を貰え、その日はそのまま手伝いで一日を終えました。


 …………


 なんだか体調が悪かった日の翌日、

「ゴホッ、ゴホッ、グフッ」

 咳をしながら、ベッドから出られずに居ました。


 色々と言いたいことはありますが、結論から言いますと、拗らせました。

 頭も痛いですし、唾を飲み込むのも辛いです。

 ついでに、鼻水のせいで声も可笑しいし、呼吸も大変にし辛い。


「嗚呼、ああぁぁ、どうしてこんな事に・・・。昨日、大人しく眠っとけば良かった」

 気持ち悪さに、頭痛の疼痛といおうか、鈍痛というか、痛みに悶えながら声を漏らす。

 そして、咳が出て、死にそうな思いをしました。


「・・・明日、大丈夫かな?」

 風邪で怠くて考えたくないし、それに風邪由来の頭痛とは違う頭痛も発生するし、ついでに言うと耐え難い腹痛も起きてしまうので、忘れていたいのだが、陛下にわざわざ頼んで開かせて貰うというのに、考えなかったり、忘れたりするのは無責任だと思うので対応策を考えた。


「どうにかして開催、伸ばして貰おうか」

 まっさきに思い付いたのだが、皇子殿下含め皆暇ではないだろうし、次に時間を取って貰うのは難しい様に思えたために、この案は却下した。


「えっと、ゴホッ。・・・私は欠席して、っケホッ、えーと、誰かに進行をして貰おうか」

 現状、計画が露見しないために、今回の親睦会の開催理由を知ってるのは、アリアさんとアースベルトの二人のみ。

 これ以上、話を話して露見する確率をあげるのは少々嫌なので、あの二人のどちらかに任せるしかないだろう。


「・・・アリアさんに任せたいけど」

 呟きつつ、

(でも、あの人は平民の方だから)

 無理だろうな、と諦めた。


 そして、

「アースベルトか、アースベルトかぁー」

 もう一人の名前を口にした。


 なんというか、別に、アースベルトも信用できないわけではないのだが、色々と怖いところがあるのだ。

 ギャンブルで負け続けてもやめるつもりがない、みたいな精神性だったり、少しだけ馬鹿っぽい所があったりと・・・。


「はあ、でも、ああ、うん、まあ、アースベルトしかないよな」

 一瞬、モンド先生に替え玉をお願いする案も浮かんだが、逃げられそうなので諦め、

「はあ、次に、誰か来たらアースベルトを呼んできて貰うか」

 と決定するのだった。

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