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第354話 魔法の光、目と耳がぁああー!

「おっ、少年、待っていたよ」

 庶民院議長が連れてくる私よりも背の高い、少年という形容よりも青年という形容があいそうな男に手を振る。


「おっ、お待たせ致しました」

「いえ、構わないよ。さて、それで本題だが、この剣を借りても構わないか?」

「はっ、はい!勿論であります」

「ありがとう、貴男は?えーと、名前はなんですか?」

「ブルータス、です」


(何か、少し厳つい名前してるな)

 失礼なことを思いながらも、

「ありがとう、ブルータス、少々借りますね」

 お礼を言い、抜き身の剣を手に持ち、

「議長様、開けてください」

 と声を掛け、鍵を開けて貰い、牢屋の中に入った。


 そして、不安定なほど薄く、探知が困難な防御魔法を張り、ついでに防音のために適当な魔力の壁を作り、

「先程ぶりですね、犯罪者さん」

 こちらに背を向けている男に声を掛け、後ろ手に扉を閉めた。


「てめぇは!あの、クソガキ」

「ハハハ、随分な物言いですね。重犯罪奴隷が私に『クソガキ』などと」

「殺してやる」

「出来るものなら、やって見てくださいな?」


 過去の腹いせに煽っていると、

「てめぇ、なんざ魔法が使えたら、一瞬で挽肉にしてやる」

 面白みのない言葉で返された。


「ならば、使ったら良いでしょう?」

「出来たら、てめぇは生きてねぇよ」

「奴隷の魔術でしょう?アレは、私の知り合いに焼き切って貰いました」

「はっ、何言ってんだ?」

「さきの裁判で、一時熱さを感じたのでは?」

「・・・ああ」


(もしや気付いてなかったのかな?・・・私の魔法の扱いが上手くて、痛みを感じないすご技が出来たとかだったら嬉しいけど、んなわけないよな)

 少々自画自賛をしてから、

「あっ、でも魔法が使えるから、と抵抗しようものなら、私の知り合いに攻撃されるので気を付けてください」

(私が魔法を使える、という事実は知られたら困るし、知り合いと言えば良いだろう)

 と思い、存在しない知り合いを出しながら脅迫をした。


 だが、

「てめぇとてめぇの知り合い、どちらも殺すから問題ねえ」

 自信過剰なのか、はたまた自棄的なのか阿呆らしいことを言ってきた。


(・・・少し、脅かさないといけないな)

 調子に乗っていて、聞きたいことも聞けなそうだ、と思ってしまったので、

「そうですか、ならば私に魔法を撃ってくださいな。私は避けませんよ。ただし─────」

 言葉を続けようとしたところで、目の前で白い光が爆ぜた。


「チッ」

 煩い舌打ちに、

「おやおや、話を遮っておいて、その程度ですか?」

 挑発をしながら、入室時に魔法を貼る判断をしなかった可能性に少しの恐怖を抱いた。


「もしや、その程度、な訳ではありませんよね?」

 何も返さぬ男に続けながら、

(防御魔法が弾け飛んだな。不安定すぎたか。・・・もうちょっと太く貼って、そして探知魔法も起動しないとな)

 魔法を張り直し、相手が次にどのような魔法を撃ちだしてくるのかを観察した。


「あれれ、何もしないのですか?」

 三秒ほど時が流れ、相手が動くことはなく、純粋に疑問を呈すと、

「くたばれ」

 短い言葉とともに、魔法が五、いや六個ほど飛翔した。


「くっ」

 短い閃光と爆音にやられ、目と耳が少々狂った。

(不味いな、非常に不味い、次は攻撃か?はたまた、逃亡か?)

 焦りながら、

(・・・硬度に問題はなし)

 防御魔法の確認を終え、探知魔法を展開した。


 そして、地を蹴った。

 あの男の元へ。


 牽制のためか、または私にトドメを刺すためか、どちらかは知れないし、もしかしたらそれ以外のものかも知れない魔法を防御魔法で、一つ一つ潰して、魔法を置き換えていった。

 円錐状の容易に人の肉体を貫き、殺す事の出来る魔法に。


(嗚呼、頭が痛いな)

 脅かすためとはいえ、ふざけた、普段の自分なら嘲るような行動をしたせいだろう。

 わざわざ一つずつ魔法を潰すより、立ち止まって、相手を狙い撃ちにする、もしくは弾幕で倒す方が如何に効率的か、少し笑えてくる。


「狂ってる。頭が可笑しい!なんで笑える?」

 感覚的にはもっと遠かった記憶があるのだが、思っていたよりも近かったらしく、目と鼻の先と言っても良いほどの至近距離で叫ばれた。


「ええ、私も思います」

 確かにこの状況で笑っているのなら可笑しいな、自分でも思いつつ、混乱しているのか動かぬ男を押倒し、産み出した魔法の先を全て奴の顔に向けた。

 そして、

「次はナニをしますか?」

 剣を向けながら問いかけた。


(嗚呼、目が利かないから分からないけど、可笑しなものを見る目で見られてそうだな)

 何故に一足先に耳が治ったのか、どっちらかというと目の方が先に治って欲しかった、と未だに少し『キーン』と響く耳を呪いつつ、

「さて、もうありませんか?」

 魔力も何もかも探知できなかったため問いかけた。


「てめぇは!お前は何をしたいんだ?俺を殺す気か?」

「どうだと思います?」

「おっ、俺を殺してみろ、お前は絶対に俺の後ろ盾に殺されるぞ。良いのか?良くはないよな」

「面白みのない脅し文句ですね。貴男はさきの裁判でも、裁判の拘置所でも意欲的な救出されることはなかった。ということは、貴男にはたいした価値がないのでは?」


 全て憶測で彼に問いかけると、

「チッ」

 それを肯定するかのような舌打ちが返答として返された。


「分かり易いですね」

(ブラフ、という可能性はないに等しいだろうな)

 知性を感じなかった故に思いつつ、

「幾つか聞きたいことがあります。答えてくださいますか?」

 顔に向けていた剣を、喉に突き付けて問いかけるのだった。

補足──戦闘がとてもわかりにくいので──

さて、分かり難かった戦闘の解説です。

敵の魔法を潰して置き換えながら、走って押し倒しました。

はい、ただそれだけです。戦闘描写が苦手過ぎて、長くなりました。

ちなみに、主人公が得意な飽和攻撃をしなかった理由は、相手の土俵で闘った方が精神攻撃も出来るのは?という考えです。

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