第345話 少々ちょっと考えます!親睦会について
「ハア」
溜息を吐き、ベッドに飛び込んだ。
・・・本日は色々とありました。
今までに比べ、特別に日が長かったようにさえ思います。
皇帝に、皇子と私の婚約破棄が告げられ、そしてその後色々と交渉をして・・・
(・・・さて、誰を親睦会に呼ぼうか)
既に、専属護衛のロナルドと侍女のマリーちゃんの両名には、帝都への帰投の要請を行い、そして元聖女のフランさんと、元騎士団長のエーゼフの両名には『帝都の屋敷でパーティーを開きたい、なので領地に帰っても、留意していて欲しい』という旨の手紙も出した。
「あとは、誰を呼ぶべきか」
私の知り合いであり、協力してくれそうな貴族が他に思い付かず、言葉を漏らす。
やはり、交友関係をもっと広げるべきであったか・・・。
「どうしたものかな」
大公家達、という案も浮かびはしたのだが、彼らに頼るのは難しい様に思えた。
単純にファイアウェル家を除き、まともな交友関係などないし、協力を仰ごうにも、たぶん計画を話さなければ重い腰を上げることはないだろう。
だが、
「計画を伝えるのは無理だな」
現状、大公家にこの話が伝わっているのかが分からない。
それなのに、個人の判断で露呈させたら、最悪私の首が飛ぶ。
皇帝が今の所は、内々で済ませよう、と考えている可能性も考えられるから。
「はあ、悩ましい」
無力感に打ちひしがれつつ、
(ファイアウェル大公家は招待したら、来てくれるだろうか?・・・明日の茶会で、出来る限り仲良くなり、招待する大義名分を・・・。いや、茶会に招待してくれた事の礼にこちらも招待する、なんていう大義名分でもいけるのではないか?)
新たに招待できそうな貴族を見つけた。
「ハア。・・・これで、私含めて計八人。内何人が蹴るかな?」
椅子に深く腰を掛け、目を瞑りながら、溜息交じりに声を漏らした。
「大公家には、蹴られそうだな。・・・七人か」
まあ、親睦会だしこの程度で十分だろう、と考えていると、
「やあ、やあ、やあ。何をしているんだい?」
先生がいつの間にか現れていた。
「ああ、どうも」
「それで、何をしているんだい?」
「考え事です」
「悩みごとかい?僕が、相談に乗ってあげよう」
「・・・どうして、そんなに嬉々としてるんです?」
「ハハハ、まあ、良いじゃないか」
(人が必死に考えていると言うのに)
少しだけ、嫌気を起こした。
「えっと、まず婚約破棄したんですよ───」
「へえ、まあ、君達仲良くなかったからね」
「・・・確かに事実ではありますが、話を遮らないでくださいよ」
「ハハハ、ごめんよ」
(何故に、コイツはこれ程までに元気なんだ)
少し疑問を感じつつ、
「それで、皇子殿下と新たな婚約者との仲を取り持つことにしたんですよ」
経緯を話すと、
「何か変なことしてるね」
純粋な感想を返された。
「ええ、まあ、そうですね」
「あと、気になるのだけど、君自身はその破棄になにか思うことはないのかい?」
「なにか思うこと、ですか?」
「うん、『悲しい』『悔しい』『辛い』とかあるだろう?」
「・・・少しの悲しみと、今は二人を結びつける為に辛い思いはしてますね」
私の返答に、なんだか変な唸り声を上げ、
「まあ、いいや」
微妙な返事をされた。
「なんです?言いたいことがあるなら、言ってくださいよ」
不満を漏らしたのだが、
「いや、何でもないよ。忘れてくれ」
教えてくれそうになかった。
「ハア」
溜息を吐き、怒らないようにしよう、と心がけていると、
「それで、僕に何か相談はあるかい?」
と言われ、
(怒るなー怒るなー)
頑張って耐えつつも、意地悪をしよう、と、
「そうですか、そうですか。・・・それでは、親睦会に招待できそうな誰かを紹介してくださいな」
頼んでみた。
(まっ、無理だろうけど)
嘲笑を送ろうとしたところで、
「うん、分かった。ちょっと確認するよ」
予想外の返答をされた。
「はっ?えっ?」
疑問を呈していると、
「君、もしや出来ないと見込んでたのかい?」
訝しげに見られた。
「・・・いえいえ、そんな事はありませんよ」
「その間は、私はクロです、と喧伝してるようなものだよ」
「・・・酷い冤罪ですね」
「限りなくクロに近い冤罪かもね」
「ハハハ、えーと、そっ、それで、その紹介してくれる人は誰なのですか?」
このままでは不味いな、と気付かされたために、話を変えると、
「あっ、そうだったね。えーと、大賢者だとか言われてる子だよ。君も顔を合わせたことはあるだろう?」
無事成功したことに安堵して、その後、
「大賢者様ですか?」
不審を返した。
(大賢者様というと、図書館の先生だよな)
顔を思い浮かべながら、
「あの人って来てくれるんですか?というか、私、あの人に嫌われてると思うのですが」
言葉を続けた。
「まあ、君は嫌われてるかもね。煩いから」
「・・・一言余計では?」
「でも、あの子は来てくれると思うよ。押せば折れてくれるからね」
「あのっ、無視をしない───」
「まあ、安心しなよ」
さっきの意地悪の仕返しなのか、話を無視されてしまった。
・・・肝が小さいな。
「ハア」
一度溜息を吐き、
「それじゃあ、任せますよ。先生」
と笑って返すと、
「うん、任されたよ」
ふざけた調子で返し、部屋から出て行ってしまった。
「ハア。・・・先生に頼りっきりではいけないな」
小さく漏らし、他に呼べそうなものたちを考え、そして、
「ルナにレイ、それとアースベルトとかもいけるな」
爵位を持たない知り合い、それと完全にド忘れしていたものたちをあげていった。
そして、
(・・・ルナとレイは招待受けてくれるかな?無理強いはするつもりはないけど、ルナには金銭要求されそうな気がする)
「ハア、大丈夫かな」
嫌な予感に溜息を漏らすのだった。
この編の終わりについて。
親睦会やったら、ダイジェスト入れて高等部の編にします。
最重要キャラは出し終えたので、中等部ではそう大切な部分がないので。
あっ、でも庶民・人民議会は重要かも。前振りとして。




