第337話 パーティー会場に到着です!
本日は皇室より招待して頂いたパーティーの日です。
そして、今日は色々と人脈を広げないといけない日です。
可能性自体は少ないのですが、お父様がヒルビア正教寄りになったら、勘当される可能性があるため、保険に護ってくれる人脈を作らないといけないのです。
まあ、何というのか、西方貴族を敵に回す可能性を犯してまで、私の味方をしてくれる人がいるのかは分かりませんが、取り敢えず頑張ります。はい。
・・・口は汚くなってしまいますが、たぶん私の味方をしてくれる人は、結構なお馬鹿さんか、策士、もしくは私の体目当てなゲスな人でしょうね。コッワ。
「ハア」
少し溜息を漏らし、馬車の外を眺めた。
窓の外には、大きな水堀あり、その中心には大きな城壁が直立し、そしてその奥に大きな大きな、ブランドー家の屋敷の何倍もあるように思える城が見える。
(反乱とか、侵攻を受けた時用の対策なのかな)
少し・・・いや、だいぶ汚れた堀の水を見ながら考える。
なんだか凄く浴びたら危険そうに見える。とんでもない病原体が潜んでそうで。
・・・てか、思うのだけどこの城の構造変だな。
私が無智なだけかも知れないけど、王城を囲むように壁と堀があって、その外に貴族達が過ごす城下町と平民が過ごす町、それでそれを囲むように更に壁と堀、っでまた町があって壁と堀って・・・。
(なんだか変だよな・・・。無理矢理の拡張でも続けたのかな?)
などと考えていると、
「お嬢様、大丈夫ですか?」
心配性な声が聞こえてきた。
「ええ、大丈夫ですよ」
(溜息と色々と変な事考えてたせいかな)
少しだけ申し訳なく思いつつ、メイドのアリアさんに返した。
・・・あっ、今回付いてくる従者は先程言ったとおりアリアさんです。
専属メイドのはずのマリーちゃんは、聞く話によると当主の命令により、帰郷しました。
あと護衛はアースベルトです。
護衛、と言うよりも次期当主、軍人としてって理由が大きいように思えますがね。
あっ、そういえば、専属の護衛であるロナルド君は帰郷です。
曰く訓練のためらしいです。
それ以外は何も言われてないので知りません。
まあ、専属の二人はどっちも殆ど任を解いてる節があるので、どうでも良いことかもですが。
・・・さて、あれこれと考えていますと、馬車が止まりました。
そして、
「到着したようです。お嬢様」
とアリアさんから言われた。
「そうですね」
適当な返事をしつつ、
(えーと、えーと、挨拶をする順番は、皇帝皇后両陛下、大公殿下、それでえーとあとは適当は公爵位の人にえーと、えーと、っでその後は皇子殿下と合流して、ちょっと話したりして、人脈形成を頑張る)
という感じに挨拶をする順番を頭の中でまとめていた。
そして、
(あっ、カイル皇子殿下とどうやって合流しようか?)
一切の打ち合わせをしてないし、少しだけ迷った。
・・・てか、スッゴい久しぶりに婚約者の名前思い浮かべた気がする。
まあ、まあ、どうにかなるだろう。
と流れに任せよう精神を持ちつつ、
「宜しくお願い致します」
王城のメイドの人に付いていきました。
何というか、まだ少し時間があるらしく、控え室に案内されている、という感じです。
っで、控え室に到着して思いました。
(趣味悪いなー)
と。
そして、一つ売るだけでも、結構な値打ちが付きそうなほどに、部屋中に高そうなものがちりばめられているために、半自動的に声が漏れ出てしまった。
(うわあ、金かかってるなー。高そう)
「随分と豪勢ですね」
のように。
「侯爵家にはお力がありますから」
「ハハハ、そうですね」
(軽んじられてないことの証明か・・・怖いなー)
少しだけ心拍の音が大きくなった気がした。
いやあ、怖いですね。本当に怖いです。
高鳴る心臓を抑えよう、少しでも落着こう、と椅子に腰を下ろした。
そして、近くに置かれてる姿見に映った私を見た。
(・・・少し表情が硬いな)
にーっと手で笑顔を作り出したり、表情筋だけで喜怒哀楽を作りだした。
うん、大丈夫だ。思った通りの表情が作り出せる。
「ふぅ」
少し息を吐きだし力をぬき、ダラーッと椅子に体重を任せた。
(うん、大丈夫。出来る。うん)
目頭を揉みながら、成功を思い浮かべた。
そんな事をしていると、
「お嬢様」
ちょっと強めな声が聞こえてきた。
「すいません、すいません」
謝りながら、姿勢を直した。
どうやら力を抜きすぎていたようだ。
そうして、少しだけメイクを直して貰ったり、着崩れていた所を直して頂いていると、扉が叩かれた。
(あっ、もう時間かな)
と思い、対応しようとしたら、アリアさんが扉を開いて対応としてくれた。
「お嬢様、もう直ぐのようです」
「そう、ですか。・・・えーと、贈答品、贈答品」
高い紙でラッピングされた少し前に用意した贈答品を手に取り、
「よしっ、さあ行きましょうか」
扉を開けてくれているアリアさんに声を掛けつつ、部屋から出て、案内をする、というお城の従僕に付いていった。
それで、開け放たれた重そうな扉の前に着きました。
っで、
「行きますよ。お嬢様」
急かすようなアリアさんの言葉に、少し止めてしまった歩みを再び勧めた。
すると、すぐに目の回る金額が使われているであろう会場に到着した。
夜だと言うのにキラキラと金属を反射させる程に明るく、そして夜の落ち着きを感じさせぬ煩い会場に。




