第336話 ほう、勘当されそうな気がする。・・・怖いな。
今回は、一回没になりました。尖りすぎていたので。
たぶん可笑しい箇所はないと思うのだけど、あったならば教えてください。
あと、ユニーク20,000超えました、ありがとう
さて、昨日やった準備も記憶に新しい本日は、パーティーの日です。
まあ、まだまだ開催される夜には時間があるのですがね。
「眠い」
欠伸を噛み殺しながら、少しの不安でキリキリするお腹を撫でた。
うん、夜が心配で、心配でしょうがない。
「ふぃー」
ため息を吐きながら、頭の中で本日の夜のことを考えていると、
「新聞持ってきましたよ。お嬢様」
アースベルトから新聞を渡された。
(なんか緩くね?こんなんじゃなかった気がするんだけど)
突っかかりを感じつつ、
「どうも」
適当な返事をして、新聞を開いた。
そして、とても、とっても興味深いニュースを見つけた。
「ああ、そういう事か。よく分かった。お父様達が来れない理由が」
との言葉を漏らしながら、読み進めた。
昨日抱いた『領地で何かあったのかな』という疑問への解答を。
「へえ、ふん。まあ、うん」
色々と言いたいことがあるけれど、端的にナニがあったのかを纏めると、『政治的対立』ですね。はい。
少し具体的に言うならば、ブランドー侯爵家がヒルビア正教会に要請され、行っていた政策を不利益が多くなっていたために撤廃、それをヒルビア正教会が批判。
そして、ブランドー家が盟主の西方貴族連合っていう派閥が、三つに割れました。
お父様のを支持するブランドー派、久しく会ってない専属メイドのマリーちゃんの家で、私に洗脳しようとした男が当主のユーレン伯爵派、ことを荒立てたくない穏健派、って感じ割れてる。
まあ、規模的にはブランドー派が七割、ユーレン派が二割、穏健派が一割という感じ。
「うーん。まあ、これはこっちに来れないのが当然かな。大丈夫かな、お父様達」
少しだけお父様達を心配する気持ちと、
「ブランドー侯爵家の中立は終わるな」
何となくそんな気がした。
お父様が断固として主張を曲げなければ、帝国寄りの貴族に。
ユーレン伯爵、正教に意見を曲げれば、ヒルビア正教会寄りの貴族に。
たぶん穏健派に与するのが一番面倒なことになりそうだな。
優柔不断とかで信用なくしそう。
「・・・まあ、うん。・・・なんか、お父様の選択によっては私、勘当されそう」
一応は少し前、帝国寄りになった私は思う。
もし、お父様が正教寄りだった場合には、娘が敵対勢力寄りである、というのは体面が悪いだろうし、それに政に介入できないように、貴族として追われる可能性もある。
「怖いな。私、予防策とか、保険を一切準備してないし、勘当されたら、堕ちるとこまで落ちることになりそう」
擁護してくれるだろう人に見当が付かなかった。
もしも、の時用の予防策を貼るのが賢明か。
最悪、お家と敵対する可能性も視野に入れつつ。
「今回のパーティーでは、出来る限りコネを広げるか」
皇帝陛下、大公家、権力のある諸貴族に味方をしてくれるように根回しを。
・・・ハハハ、無理だな。今更だ。もう遅い。遅すぎる。
まだ時間はあるが、今更手を広げるなんて遅すぎる。
それに、私個人のため、西方貴族と敵対する可能性を看過できる奴はいないだろう。
まあ、諦観に支配されて、人脈を形成しないなんて事はしないけど。
「文でも出すか?・・・いや、やめておこう」
手紙でも出して、お父様が判断を迷って、先送りにしたら非常に不味い。
正教にうんざりしていたはずで、帝国寄りになる可能性も高いけど、もし日和見主義を抱いたら不味い。
一番信用をなくすし、失墜する可能性も否めない。
そうしたら、私だけ、の可能性だったのが、家族全体、働いている人全体にまで迷惑を掛けてしまう。
それならば、潔く一人で消えた方が賢明だ。
誰にも迷惑を掛けず、ただ一人の方が。
「・・・お父様の選択次第か」
溜息を吐き、少しの自嘲を噛みしめた。
そして、
「あっ、そうだ。もし、勘当された時用のために縄でも用意しておくか」
一応、もしもの時用のブツを用意しました。
閉じ込められたときの脱出にも使えるし、最悪の時はナニとは言わないが、それ以外にも使える。
まあ、一応やるには遅すぎるコネ作りにも失敗して、その上でお父様が正教寄りになって、その上で勘当されて、精神が可笑しくならなければ使うことはないでしょうが。
「まっ、きっと大丈夫だろうさ。貴族としてのしがらみが外れて、きっと、きっと私は喜ぶはずさ」
もしもの時の為の覚悟をしつつ、少しだけある恐怖を押し潰し、良いタイミングでやって来たメイドのアリアさんに、
「もう時間ですか。はい、分かりました」
と声を掛けながら付いていった。
さて、もう直ぐパーティーです。
遅すぎる社交界デビューに、遅すぎるコネ作り。
出遅れた人間なりに頑張りましょうか。
(お父様の選択が、私にとって素晴らしい物であることを祈りましょうか)
現実的に考えたら、お父様が帝国寄りになる可能性は高いだろう。
あの人も確か正教にはうんざりしていたはずだから。
だから、大丈夫だ。大丈夫。
安心して、もしもの時のため、これからのための人脈を形成するんだ。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
不安を落着かせよう、と努力をしているとアリアさんに声を掛けられた。
「ええ、大丈夫ですよ。絶好調です。・・・多少緊張はしますがね」
と少し深呼吸をした。
そして、
(あっ、もう時間なのか)
案外早かったな、と驚きながら着替えを手伝って貰い、
「ふぅ」
(頑張ろう。出来る限りに)
と緊張をほぐすために深呼吸を繰り返し、馬車に乗り込むのだった。
没も折角なら、の精神で活動報告で出したので。
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