第331話 レッツゴー、旧知の仲間の元へ
えーと、魂を見る魔法を使いました。
結果としては、下敷きになってる奴が大きくなった以外の変化はありませんでした。
何でだろうか、と肥大化した原因や、一番大きな奴が私なのかどうか、とは気になりはする物の、それ以上に気になることが、ふと出て来ました。
「そう言えば」
(同じ『転生者』・・・転生者って呼称で良いのか?・・・『動く死体かな』、相応しいのは・・・まあ、いいや。私と同類であるカシワギはどうなのかな?私と同様かな)
だいぶ前に手紙を送ったきり、ずっと連絡を取ってない自由解放軍の最高指導者の名前を思い浮かべた。
「会いに行くか。久しぶりに」
と考え、そして、
(てか、あの人生きてるよな?)
子供達の、それも学もない集団が生存できているのかどうか、というので逡巡した。
「まあ、大丈夫か」
だいぶ前ではあるが、見に行ったときは生きていたのでそう思うことにした。
・・・たぶんだけど、何らかの病が流行らなければ大丈夫っしょ。きっと。
(よーし、行くか)
善は急げの精神で、早速行くことにした。
まあ、行ったとしてもそこまで後悔することはなさそうだしね。
多少罵倒される可能性はあるのだけど、まあ構わないよね。
「レイ、貴女ってこの後は空いてますか?」
「えっと、何がですか?」
「予定ですけど、空いてますか?」
「えっ、えーと、・・・空いてます」
「そうですか、出来れば出良いのですが、古い知り合いの元へ遊びに行こう、と思っているのですが、貴女も付いてきて貰っても構いませんか?」
自作の魂を見る魔法は使えるのだが、折角なら昨日購入した魔法書に書いてあった魔法を使いたい、ということでレイに提案をした。
私の魔法でも大丈夫な気もするのだけどね、やっぱり勿体ないからね。うん。
「それで、どうかな?」
未だに返事を返さない彼女を急かすつもりで、再度問いかけると、
「おっ、お供させて頂きます」
嬉しい返事を聞けた。
なんだか嫌そうなのは気になるのだが、まあ無視で良いだろう。
「よし、行きますか・・・ちょっとしたお土産でも持って行った方が良いかな?」
突然訪れた上に、何も持って行かないのは憚られるので、少し考えた。
けれども、良い感じの帝都土産が思い付きそうになかった。
「レイ、何かお土産に言い物知りませんか?」
「土産物ですか?・・えっと」
「分からなそうですね」
「すっっ、すいません」
「いや、大丈夫ですよ。突然聞いてしまいましたし」
(さて、何をお土産に渡そうかな・・・。実用的なナイフとか、あとはそうだな。・・・お酒、かな?)
前者はほぼ自給自足だから、必要かなって思い、後者は水は少しだけ危険かなって思ったので選びました。
「ナイフと酒」
小さく反芻して思ったのですが、ナイフと酒だったら、別に買わずとも自分で作った方が早いかも知れませんね。
(・・・ナイフは四十、酒は薄いビールが一樽くらいで良いかな?たぶん)
創造魔法を行使し、実物を闇の魔法の倉庫に突っ込んだ後、
「さて、行きますか。レイ」
呆けた様子の彼女に声を掛けた。
すると、
「あのっ、土産物なのに買っていかないのですか?」
との質問が飛んできた。
・・・まあ、私的にも自作だったら何処でもよくね、とは思うことには思うのですがね。・・・でも、思うのですよ、ビールは知りませんが、ナイフってたぶんというより絶対に高いじゃないですか。
所持金三十万ですよ。無理ですよ。大量に用意するのは。
「良いじゃ無いですか。良い感じのお土産も思い付かなかったわけだし・・・。つべこべ言わずに行きますよ。良いですか?」
「はっ、はい。勿論構いません。・・・あっ、あの、どのようにして移動するのですか?」
「魔法ですよ。転移魔法ってあるでしょう」
「そっ、それって、危ない物なのではないのですか?」
「今の所は、成功率百パーセントですし、怪我したこともないので大丈夫ですよ」
(失敗したら、死ぬはするけど、まあ、うん、きっと大丈夫。うん)
取り敢えず、全力で拒否される原因になりそうな情報は伏せておくことにした。
「ヨシッ!それでは行きますよ!」
「えっ、あっ、やっ!」
レイの手を掴んで、カシワギに繋がっている魔力の線を辿った。
そして、そこから一キロくらい離れた記憶が正しければ、流れが緩やかな沢があるところに目星を付けて、
「失敗したら、ごめんなさいね?たぶん、苦しくはないはずだから」
との声を漏らしながら、魔法を発動させた。
そして、
「ぎゃああ」
スッゴく煩い声を耳元で聞きながら、沢の水に軟着陸した。
(あっ、冷たい)
足に触れる水に思い、
(・・・てか、耳が痛い。うるっさいよ。流石に、そこまでビビらなくても良くないか?成功率百パーセントなのに。今の所)
キーンと耳鳴りがする為に文句が出そうになった。
「おーい、レイ、目を開けて下さい」
そして、目を瞑り、私の腕に抱きつく少女に声を掛けた。
・・・前世の男としての感覚が残っていたのならば、興奮とかも出来たのでしょうかね?
私、そっちの欲は結構枯れてるので、抱きつかれて痛いくらいの感覚しかないのですが・・・・
まあ、私の欲求などどうでも良いことは取り敢えず置いておき、
「行きますよー。おーい、聞いてます?・・・聞いてますかー?おーい、ねえ、聞いてよ」
目を瞑ったまま、気絶したかのように反応をしない少女に声を掛けた。
そして、
「・・・あっ、これは駄目だな。気絶してそう」
本当に何にも反応のない彼女に諦め、
(おんぶできないかな?・・・いや、でもレイの方がデカいんよな。何をとっても)
どうしようか、と悩み続け、結果としては、魔法で浮かしながら、おんぶすることにした。
「さあ、行きますか・・・若干、重い」
魔法で浮かしているというのにも関わらず、少しだけ重く感じたが、我慢をしてカシワギ達の元へと歩くのだった。
第274話『おぉ。強い。でも、官軍は私だったみたいだね。』に文章追加しました。
2話くらい後の話に若干関係してるので、追加した文章載せます。
何らかの矛盾点、可笑しな点を今までの所で見つけたら報告をお願いします。絶対に修正します。
『そして、帰ろう、という所で一つの妙案が思い付いた。
「そうだ!貴女が隷属する代わり、と言ってはなんですが、私個人で出来る範囲で、貴女の願い事を叶えてあげましょう」
との提案をする、そして帰ってきた返答に対して、
「ええ、・・・はい。分かりました。──────ですか、ハハハ、貴女結構可笑しいですね。分かりました」
笑うのだった。』




