表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
334/385

第329話 いえーい、嬉しい誤算です。

 さて、昨日も色々と調べ物をしました私です。

 本日はですね、魂のようなものが複数個見えたことがあったじゃないですか、それが見間違えなのでは、という気がしてきたので、以前レイとルナへのお金の工面のために、月桂樹商店にやって来ました。

 出来ることならば、複数個の魂がある、というのが事実、もしくは私の勘違いより生まれた虚構なのかを確認するために、出来そうな魔法が載っている魔法書を見つけたいな、って思います。


(流石に、もう入るか)

 先程より、延々と扉の前で右往左往していた私は、

『コンコンコン』

 扉を叩き、

「ごめんください」

 と声を出しながら、扉を開いた。


(うへぇ、ヤニくせぇ)

 文句を声に出さないようにしつつ、店内を見渡し、店主を探した。

 そして、

(・・・あれは?なんだ?ギロチンの刃か?)

 不思議な物が増えていることに気付いた。


 斜めの刃の中央部は錆びて、思い切り叩いたら壊れそうに見える。

 ・・・これは使用済みのものなのでは?

 一体全体、どうしてこんなものが置いてあるのでしょうか?

 使用済みのものを買い取ったのでしょうかね・・・何のために?


(何か怖ーい)

 と思いつつも、店主の方に歩き、

「こんにちは、あのギロチンって何なのですか?」

 質問をした。


「どうも、・・あのギロチンは、お得意様からのもらい物でね。聞く話によると、北方にある大陸の英雄、ヴァイキングの先王の首を落としたものらしい」

「へっ、へえ、そんな物騒なものが・・・。そのお得意様とは?」

「教えられねーな」


 そう言う彼は、親指と人差し指で輪を作っておりました。

(さて、これはお金を要求してるわけだよな・・・それとも、侮辱か?)

 逡巡した後に、

「分かりました、お金ですね。どれくらいですか?」

 と問いかけると、

「五十万だ」

 流石に無理な金額を提示された。


「無理ですね。もっと安くして下さい」

「そりゃあ、無理な話だ。こっちも、命が掛かってるんでね」

「・・・えーと、三万は払いましょう。目配せで答えることくらいは、それくらいで出来るでしょう?」

「いや、二十だ。それ以下では、飲むことは出来ない」

「ドケチな事で」

「どうも」


(商人相手にケチは褒め言葉になるだろうか?)

 少しそう思った後に、

「買いたいものがあります」

 本題を切り出した。


「何を?」

「魔法の本です」

「どういった?」

「魂に関するものです」

「あるにはあるぞ」


(あっ、あるんだ。あるかなー、って来たけど、あるんだ)

 若干の予想外に驚きつつ、

「なんだか含みのある言い方ですね。ナニカあるのですか?」

 彼の発言に不信感を抱いた。


「ああ、勿論ある」

「どんなことですか?」

「とんでもなく高い」


(・・・マジかぁ、まあそうよな。専門書みたいなものだろうし、それに魔法自体使う人は少ないわけだし)

 溜息を漏らしそうになりつつ、

「一体如何ほどですか?」

 値段を問いかけると、

「相場は軽く百万は超えたはずだ」

 少し嫌になる返答をされた。


「なっ、何故ですか?」

「人口が少ないのと、多少法に触れてる黒魔術だからだ」

「・・・マジですか」

「勿論だとも」


(さて、無理だぞ。流石に、百超えは無理だぞ)

 本当に不味いな、と思いつつも、

「値段交渉できませんか?」

 と提案をした。


 返答としては、

「大丈夫だ」

 というものでした。


「えっと、ですね。一万なんてどうです?」

「安すぎる。無理だ」

「それでは、十万。この店では、立地的都合とか色々の影響により、陳腐化することになるでしょう。故に、少しでも早く損切りした方が良いのでは?」

「十万も無理だ。せめて、九十万」


(あっ、のっかってくれた。ありがとう)

 感謝をしつつも、

「二十万」

 と声を出した。


 返答としては、

「八十」

 短いもので、その後も値段交渉を続けた結果ですが、五十万になりました。


(よっ、よし。大体二分の一に)

 と一瞬喜んだのですが、よくよく考えると、とても高いように感じます。

 ・・・これ以上の値段交渉は悪手になる気がするので、流石に行いはしませんがね。


「それで金は用意できるのか?」

「・・・えーとですね。ものを売ることは可能ですか?」

「嗚呼、勿論」

「えーと、五十万なので、・・・えーと、骨董品とお酒とタバコと葉巻とって感じになりますけど」


(・・・果たして、私の魔力は持つのだろうか?)

 甚だ疑問ではあるのだが、頑張って準備を始めた。

 そして、

(これは一日では不可能だな)

 という事に気付いた。


「あのですね。名も知らぬ店主さん。お願いなのですが、用意に時間が掛かりそうなので、数日ほどキープして下さいませんか?」

「構わない」

「それで名前はなんと?」

「ローレルだ」


(あっ、教えてくれるんだ。・・・偽名かな?)

 驚き、本名なのかそれとも偽名なのかが分からず、聞こうと思ったのだが、やめることにした。


「それでは私は帰ります」

「毎度どうも。アンタが次に来るのを待ってるよ」

「さいですか」


 といった感じに、屋敷に帰りました。

 ・・・毎度どうも、っていう言葉って、二度目の来店の客に使うものなのだろうか?もっとお得意様の人に対して使うものではないのだろうか?と疑問に思ったのは別の話です。


 …………


 さて、その後屋敷の中で、沢山の物を創り出しました。

 久しぶりに魔力切れで気絶したり、全身の痛みに悶えたり、頭痛で泣きそうになったりしましたよ。


 それで、ですよ。

 商品達を創り出すのにはですね、三日ほど掛かりました。

(まだキープしてくれてるかな?)

 不安になりつつも、月桂樹商店に向かうと嬉しいことにキープをしてくれていました。

 そして、作った物達は計八十万くらいで、三十ほど手元に残りました。嬉しい誤算です。


 っで、目的の魔法書を手に入れ、ホクホクとした気持ちで帰ろうとしたところ、店主のローレルがサービスをしてくれました。

 前に訪れたときに気になった、ギロチンを売ったお得意様を教えてくれたのですよ。

 どうやら、ヒルビア正教会さんの下部組織である『審問会』とされる組織のようです。


 アッシュに貰った本の著者でもあった、という驚きが一つと、結構ヤバい組織かもな、という驚きが一つ。

 そして、もう一つ店主のローレルは何者なのだろうか?と単純に疑問を抱きました。

店主のローレルさんについて

女性の名前では?もしやローレルって女性だったの?と思った方への返答です。

勿論『オトコ』です。


由来については、花言葉の『勝利』『栄光』『栄誉』と『裏切り』『不信』と『私は死ぬまで変わりません』って奴ら全般から。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ