第326話 暇だあ、・・・私、クズだなぁ、はあ。
さて、どうもこんにちは。
昨日、祖国よりになろう、と決めた私です。
本日は、特にやることはありませんが、昨日貰った手紙の一つに、今日お父様とアルが来るぞ、と書いてあったので、外出することは出来なくなってしまいました。
まあ、外出したとしてもやることはないので構いませんがね。
適当な物を食う程度しか出来ないので。
私個人で勝手に抜け出した場合を除いて。
「ふぁあ、ハア」
なんだか、話は変わりますが、とても眠いです。
昨日も手紙を書いた後、しっかりと八時間くらいは眠ったはずなのに。不思議です。
別に対して寝苦しくはないのですがね。
・・・うーん、何でだろう?考えても見当が付きません。
睡眠時間はしっかりと取ってるはずなのに・・・。
不思議で、不思議で仕方がありませんね。
「・・・何しようかな?」
このまま眠い理由をとことん突き詰めても良いのですが、どうせ分かりそうにないので、別のことをしよう、と思いました。
特にやることはありませんがね。
不思議な事にたいした課題も出ていませんので。
「ハア、何しよう。本当に。・・・やることねー」
溜息混じりに呟きつつ、暇つぶしの方法を考えます。
なんだか調べなければならない事があったような気もしますが、今は忘れておくことにします。
・・・魂だとか、なんだとか、そんな難しいことを考えたい気分ではないのです。
「うーん」
部屋を何度も、何度も弧を描くように歩きながら呟く。
座って考えるより、身体を動かした方が良いかな~と思ったので。
まあ、結果としては特に面白い事を思い付きませんでしたがね。
都合よく妙案が浮かばないってのは困りますね。
「ハア。忙殺されるってのも嫌だけど、暇すぎるのも困りもんだな」
今の自分の状況に声を漏らす。
余談だが、たぶん私以外の貴族は結構忙しい。
夏休み前から、忙しいとか、この時期はほんと嫌だ、という愚痴が聞こえてくるくらいには。
舞踏会だとか、領地への帰郷、あとは祭事とか、お家の付き合いとか、曰く色々と忙しいらしいです。
まあ、聞き耳を立てていただけなので、本当かどうかは知りませんが。
・・・ふと気になったどうでもよいことなのですが、今の時期って臣民の皆さんも忙しいのですかね?
彼らはたぶん出稼ぎ以外はたいして帰郷もないと思いますし、祭事への関わりも少ない・・・いや、少なくはないか。
出店だしたり、人によっては色々とするだろうし・・・。
でも、どうなのでしょうね?臣民の方々の事も気になります。
前世と同じく『稼ぎ時だから』と忙しい人も居るのでしょうか?
それとも、その他の時期と同じような物なのでしょうかね?
「どっちなんだろう?」
本当にどうでもよいことなのだが、非常に気になった。
気になって気になって、夜しか眠れそうにありません。
・・・突っ込みが居なければ、このギャグって寒いだけな気がしてきました。恥ずかしい。
「うーん、どっちなのだろう」
臣民の皆々様には、お盆休みみたいなのってあるのでしょうか?
・・・わっかんねぇー。
「少し、無知が過ぎるかも知れません」
流石に貴族にとっては大変大事な方々の事を、知らなすぎる気がしたので、
「ヨシッ!誰かに聞くか!」
屋敷で働いている臣民の方に突撃インタビューをしよう、と思いました。
「えーと、誰に聞こうかな?」
現状、屋敷で働いている臣民の人を思い浮かべる。
名前は知らないが、何時もお世話になってる馬車の御者さん、メイドのアリアさん、それと・・・。
さて、これ以外に居ただろうか?
「嗚呼、分かった」
人伝に聞いた話によると、この屋敷では結構の数の臣民を雇っているらしい。
無能な貴族のボンボンを一人雇うより、有能な臣民を数人雇った方が良いよね、という精神で。
・・・でも、私の知り合いはとてつもなく少ない気がします。
総勢で何人ほど働いているのかは知りませんが、話したことのある臣民の方はたぶん二人だけですから。
「・・・よし!忘れよう」
何故とは言わないが、とても自己嫌悪が湧いてきたので、先程まで考えていた事を思考の隅に追いやった。
働いてくれる臣民の方々を一切知らないのは、なんだかクズだなって思いました。
「何しようかな?」
面白い思案が、嫌悪のトリガーになるため、出来なくなってしまった。
さて、どのようにして暇を潰すべきだろうか?
「うーん」
ちょっとだけ真剣に考える。
そして、
「新聞でも貰おうかな」
クズなりにちょっとだけ時事とか、市井のこと知りたいな、って思いました。
「えーと、どうすれば貰えるかな?アリアさんとかに聞けば良いかな?」
ふと仕事を邪魔するのは申し訳ない、よく邪魔してしまってるし、と思ったりもしたので、
「うーん・・・アースベルトに頼るか」
貴族で迷惑を掛けても罪悪感を感じない奴を頼ることにした。
(流石に仕事してるかなー。大丈夫かなー)
と思いながら、適当に奴を探した。
そして、トランプを持ってる所を見つけた。
「何やってるのです?」
「えっ、あっ、何ですか?お嬢様」
「なんで隠したんですか?トランプ」
「えっとぉ」
(何やってるんだろう?トランプとアレは・・・ペンかな?)
「まあ、良いです。えっとですね、お願いがあるのですが、聞いて頂けませんか?」
彼がしている行為を問い詰めるの面倒なので、早速お願いをすることにした。
「なっ、何ですか?」
「えっとですね。新聞って貰えませんか?」
「新聞?新聞ですか?」
「そうです」
「えーと、確か談話室とかにあったはずなので、持ってきますね」
「お願いします」
分かりました、と返事をし去ろうとした背に対し、
「あっ、私の部屋に届けて貰っても構いませんか?」
わざわざ此処で待つのは嫌なので声を掛けると、
「了解でーす」
若干間抜けな返事が返ってきた。
(いや、返事雑過ぎはしませんかね?私が、スッゴい地位とかを気にする人だって可能性は考えてないのでしょうか?)
と思いながらも、既に行ってしまったために文句は言えなかった。
・・・怒るつもりはありませんが、あんなので大丈夫なのでしょうか?凄い気になります。
「さて、帰りますか」
色々と気になる事もあるのだが、私は帰路を歩いた。




