第317話 嗚呼、つっらい。あと若干不快です
いじめ問題を全て終わらせ、幾日か経ちました。
特筆すべき事としては、テストがありました。
二十位でした。
勉強不足感が否めませんでした。
言えることは、全て伯爵令嬢のアレナ・サヴィアさんと、新しく仲間になったルナに対する対応で時間が掛かったせいです。勉強が出来なかったのは、私に非があるわけでは決してありません。
・・・あっ、そう言えばですが、件の伯爵令嬢さんは停学になりました。
ルナの方は、その後も変わりなく登校をしています。
あと、私の生活の変化もありました。
大きな物としては、物の紛失とか破損がなくなりました。
そして、小さな物としては、ルナとお話しすることやラーラ先輩と食事をすることが増えました。
さて、そんなこんなで諸連絡は終わりです。たぶん。
「はぅ」
小さく欠伸を漏らし、適当に先生のお言葉を聞く。
(面白くない授業だなぁ、退屈だ)
と思いつつも、適当にノートにメモを取っていく。
(まっ、もう直ぐで夏休みやし、頑張ろう)
てな思いで。
あっ、夏休みが始まるのは明後日からです。
色々と楽しみですね。
ルナに払う十万ほどのお金とレイに払おうと思ってる五万くらいのお金の工面とか、色々と頑張らないことがあって大変ですけど。
(・・・十五万、十五万か。高いな。十五万って高すぎるよ。・・・どうやって集めよう?なんか、燭台でも作って売るか?・・売れるのかなぁ?・・・闇市とか、盗品商とかそう言ったグレーゾーンでも扱ってくれる人を探さないと。ハア。お金を交渉材料として許さなければ良かった)
後悔やらお金の工面の方法とかを考えていると、チャイムの音が聞こえてきて本日最後の授業が終わりました。
そうして、滞りなく終わりの挨拶をして、学校が終わりました。
「ふぅ」
息を漏らした。
(よし、変えるか)
適当に荷物を纏め、教室から出て、適当に歩いて学校から出た。
そんな所で、知り合いを見つけた。
(あっ、ルナだ。・・・あいつなら、闇市とか盗品商とかに詳しそうだな)
結構法的にグレーな部分に住んでいることから考えて、
「こんにちはルナさん」
と声を掛けた。
「げっ」
「明らかに嫌そうな顔しますね。私と貴女の中では有りませんか」
「それで何用なの?」
「いえね・・・ちょっと耳を貸して下さい」
「嫌なんだけど」
「お願いしますよ。大事なお話なので」
ルナは嫌々と言った様子で、私に近づいてきた。
「ありがとうございます」
御礼を言い、彼女の耳に近づき、
「闇市、盗品商みたいなグレーゾーンの物品でも買い取って貰える場所知りませんか?」
と問いかけ、彼女から離れた。
「・・・知らないわ」
「知らないんですか?」
「貧民街とか、中央からスッゴく離れた郊外にはあるかもだけど」
「・・・そうですか、貧民街って何処にあるんですか?花街の近くですか?」
「まあ、うん」
「何処ですか?」
「花街の北にあるわ。見るからに近寄らない方が良い雰囲気を醸し出しているところよ」
「そうですか、分かりました。ありがとうございます。それでは」
「それじゃあ、・・・ちゃんと用意してよ交換条件の品物」
「勿論用意しますよ。約束しましたから」
「そう。ありがとう」
という事で、彼女と別れ、私は家に帰ってきました。
疲れましたね・・・いや、疲れてはないか。
殆どしっかりと勉強してないし。
・・・いや、これ地味に駄目だな。学生の本分を果たしていないな。
・・・まあ、良いか。中学、高校生なんてこんなもんだろう。
一部の生真面目やを除いては。
「はぁ、ふぅ」
欠伸を漏らし、部屋の中を歩き、ベッドに頭に突っ込んだ。
嗚呼、気持ちええわ。
ホンマに気持ちええ。
寝よう。きっとよるには起きれるはず。
っで、私の意識は波のように持って行かれました。
いやあ、昨日しっかり寝た・・・記憶はありませんが、まあ寝たはずなのですがね。不思議です。
…………
「───リー、───エ───、──ミ───」
暗く心地良い空間に揺蕩っていると声が響いた。
なんだか分からないが、懐かしい声に思えるのだが、誰かが頭に浮かばなかった。
・・・誰か大事な人であったはず。最近はあってない大事な人。
・・・前世の親友?な訳ないな、あいつがこんなに真剣な声は出さない。
何もかも、よく分らないけど適当にやって成功させる男だ。
・・・それじゃあ誰だろうか?
過去の記憶により劣等感が思い起こされたりもした。
だが、頑張って負けないように頑張った。
誰だろう?分からない、分からない。
ぼやけては消える姿形に諦めを感じた。
このままでは、絶対に思い出せないな、と分かったような気がしたので、ゆっくりと目を開ける。
・・・眩しい。目が潰れそうだ。何時もより眩しく感じる。
「エミリー、エミリー、エミリー」
大きな声が耳障りに感じる。
それに、揺らされるのも不快だ。
徐々に定まっていく輪郭の奥に見える顔を見つめた。
・・・懐かしい人だな、まあ、数ヶ月程度だろうか?
(・・・ふぅ。ふぅ)
「ぐうぅぅ、ハアァ」
声を漏らし、背筋を伸ばした。
・・・ハア、眠い。
ていうか、なんでアンタは此処にいるんだ。お父様。
「おはようございます?お父様」
「だっ、大丈夫か?エミリー」
「大変に今は不機嫌です」
「ごっ、ごめんよ。エミリー」
「許しますので、身体を揺らさないで下さい。酔います。あと、ちょっとだけ待って下さい。目を覚します」
と言う事で、目を擦り、お水を飲んだりして大体目が覚めました。
「それで、どうしてお父様は来たのですか?」
お父様と対面するように椅子に座り問いかけ、
「えっとだね、それが───」
返事に耳を傾けるのだった。




