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第316話 いえーい。新しいなかーま

 私は同じ学校の制服を着た、若干赤毛寄りの金髪の少女、ルナを見つめていた。

 側から見ると、縛られている少女を椅子に座って見下している私が、大変に悪人に見える状況だ。

 だが、一つ言わせてもらおう。

 私は決して悪人ではない。

 事実として、彼女を攫いはしたが、これもしょうがないことであって決して悪意によるものではないので、今一度言おう、私は悪人ではない、と。


「さて、ルナさん。貴方にいくつか質問をしましょう?答えていただけますよね」

 なんだかちょっぴり悪人然とした語り口調で問いかけると、

「ええ、ええ良いですよ。人攫いに何をされるか分かりかねますからね」

 と言われてしまった。


「まず一つ、貴方は先ほどの状況で何故逃げなかったのでしょうか?」

「あの状況で逃げたとしても、証拠があるのなら貴方は私を学院やら、憲兵に話を挙げたでしょう?そしたら、私はおしまいじゃない」

「ということは私を殺そう、と」

「少し痛めつけて、奴隷商でも呼ぼうと思ったのよ」

「そうですか」

(やられてたら不味かった、非常に不味かった。良かった。本当に勝てて良かった)


 心中で安堵をした。

 そういえばだが、現在彼女に隷属の魔術をかけず、尋問をしている理由を端的に説明しよう。

 魔術で無理矢理服従させるよりも、抵抗出来ない状況で服従させて、二回も騙された鬱憤ばらしをしたかったからだ。

 ・・・なんか、先程私は悪人ではない、と申したが間違っているかもしれないな。十分悪人だわ、私。


「二つ目の質問です。貴方はどうして私に嫌がらせを行なったのですか」

「やってない、と言いたいところだけど、白状するわ。私がやった」

「それで、理由は?」

「貴族なのに希薄な雰囲気でどっち付かずのあんたが気に入らなかった、っていうのが一つ。もう一つは、皇族に嫁入りする女、あんたをいじめてたら、貴族至上主義のこの国を馬鹿にできると思ったのさ」

「どうしてですか?」

「平民のその中でも底辺の娼婦の娘が、アンタみたいな世界を知らない箱入り娘の親の七光りを馬鹿にする、そうしたら貴族が一番、貴族が全てみたいなアンタらへのアンチテーゼになると思ったのさ」

「気付かれすらしない可能性もあったのに?」

「アンタ達にはバレてしまったでしょう?それに、バレなかったら、やはり貴族なんて優秀ではないゴミだ、と馬鹿にできる」


(貴族至上主義、か。そうなのかな?まあ、教育格差とかそういった感じもあるし、まあ、至上主義とはいえずとも、それに近しいのか。確かに)

 色々とこの国にも問題はあるんだな、貴族と臣民とに軋轢とか、と適当に考えた。


「さて、三つ目の質問。最後の質問です。貴方はどの様にして透明になっているのでしょうか?」

「・・・さあ?」

「答えて下さい」

「そう怖い顔しなくても良いでしょう?」

「・・・もう一度だけ言いましょう。答えて下さい」

「怖い怖い」

「答えるのですか?それとも、答えないのですか?」

「答えるよ。答える」


(なんだか若干ウザく感じてきたかも)

 隷属の魔術を掛けずに尋問を始めたこと、自己の鬱憤晴らしの行動を呪った。

 やはり感情的に動くのは失策か、と。


「それで、どうやってるのですか?」

「感覚」

「はっ?ふざけてます?」

「いや、ふざけてない。生まれて直ぐに使えたのさ。感覚で」

「生まれて直ぐって、誇張表現はよして下さい」

「・・・嘘じゃないさ」

「っで、本当に感覚である、と」

「イエス、だ」


(ああ、はあ、はあ。・・・ハアァ)

 口にはギリギリ溜息は出なかったが、表情は随分と苦しい顔をしていたと思う。

 ・・・真偽は不明ではある物の、透明化の技術を得れば益が得れるのでは、と思っていたのだが、無理な可能性が高くなってきた。

 ルナが、反撃の可能性を信じ、策を温存している、と考えたい物だ。


「そうですか、そうですか。分かりました」

(面倒だし、嫌だけど一端納得するしかないか)

「それで、アンタは私を解放してくれるのか?」

「しますよ。勿論。ちょっとだけ予防策を貼った後に」

「予防策?」

「隷属の魔術ですよ。貴女に色々と私の情報を流されたら困るので」

「話さない、と誓ったらそれは掛けられずに済む?」

「信用できないので無理ですね」

「どうやったら信用してくれる?」

「どうやっても無理ですね」


(よーし、やるか)

 下準備を一切していないので、下準備を始める。


 ナイフを取り出すと、

「いやっ、そのっ、痛いことはぁ~」

 狼狽えるような声が聞こえてきた。


「刺しませんよ。・・・刺して欲しければ刺しますけど、変な癖持っているわけではないでしょう?」

「でっ、出来れば刺さないで欲しいなぁ~」

「そうですか」


 適当に返事をしつつ、自分の指にナイフを刺した。

 若干痛かったが、声を上げるのを我慢し、適当な入れ物に血を垂らし、そこら辺に置いてあるインクを手に取り、血と混ぜた。


「よし、準備完了です」

 声を漏らし、ルナに近づいていくと

「りっ、倫理的にどうかしてる。やっ、やめて」

 と声を出し、縄に縛られているために結構面白い動きで後退していった。


「倫理的ですか・・・まあ、確かにそうですね。でも、それの何が問題でしょう?私は、殺人は犯していません。その一線は越えていないのです。脅迫と暴力、まあ倫理・道徳的に見れば可笑しな事でしょう。ですが、それの何が問題でしょう?」

「アンタ、可笑しいんじゃない。皇帝の定めた法律に反してる、アンタら貴族の絶対の忠義はそんなもんかい?」


(忠義?皇帝への?どうして?)

「そんなものあるわけないでしょう?だって、あったこともない神の如きお方に。尊敬はあれど、忠義などと抱くはずもないですよ」


 と言う事で、ルナに散々に文句を言われつつも隷属の魔術を刻むことに成功した。

 やったね!これで忠実な仲間が二人に増えたよ!


「くっ、ひっどい」

「まあ、生かしてるだけ良いでしょう?私以外だったら、たぶん殺されてたと思いますよ」

「アンタみたいなクズに使われるなんて・・・」

「酷いですね。私、クズではないのに」

「クズでしょ。発言から考えて」

「そうですかね。・・・まあ、そうですか」


「さて、早速ですが、貴女にお願いがあります。聞いて頂けますか?」

「断ったら?」

「諦めます」

「そう、じゃあ断らせて貰うわ」

「・・・そうですか。・・・交換条件あれば、良いですかね?」

「どんな?」

「それは貴女が決めて下さい。お金は、まあ捻出しますので」

「それじゃあ、百万くださいな」

「ひゃっ、百万!百万、ですか・・・それは無理です流石に」


 とこんな感じの交渉が行われ、結局私は十万程払うことになりました。

 ・・・どうやってお金を捻出しましょうか?

 レイに渡すお金もありますし・・・大変だ。

てことで、いじめ問題が全て解決しました!

雑だ、と言われるかもですが、これが現状の文章力の限界です。ごめんなさい。

・・・あっ、良い感じの話数になってるので、編変えます。

次編『因縁の始まり』です。

最初は、元々こっちでやるはずだったところです。

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