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第312話 はい。へぇ、はあ、へぇ、そうなのですか。

 今日のお昼、レイが私に嫌がらせをする最後の一人を特定しました。

 罠を仕掛けている、事実が相手に露呈しているのだ、と思っていましたが違ったようです。

 新たな罠とか策とか別の方法を考える必要性がなくなって良かったです。


 さて、先程言ったとおり、これで相手の住所とか名前を特定できました。

 ですが、決して今すぐに彼女、最後の一人『ルナ』に突撃することは出来ません。

 交渉は出来るでしょうが、現状私が考えている事を実現できないのです。

 私が考える、相手の完全な隷属をね。


 なので、私は考えました。

 レイに使った不完全な隷属の魔法を、完璧な物に改良しよう、と。


 隷属の魔法、あの魔法は隷属とは名ばかりに、不完全性は色々とある。

 端的に大きな物を述べるのならば、『思い込み』以外の抑制力が存在し得ないところだろう。

 多少の痛み、具体的には全力で平手打ちされるくらいの痛みはあるのだが、それ以上の抑止力は存在しない。


 レイには『反抗したら死ぬぞ』という脅しで、反乱の行動を抑止しているのが現状だ。

 もし、死の可能性が存在しない、その事がバレたら簡単に反抗、反乱を起こされてしまうだろう。

 一人、レイだけならば構わない。余程のことがなければそれでも。

 けれども、二人ならば危険だ。

 一人に注力しているうちに、背後から討たれる可能性が高い。

 だから、致死性もしくは、抵抗したくない、と思わせるほどの痛みが必要だ。


「さて、どうした物かな?」

 痛みをもたらす、もしくは死をもたらすにしても、私には方法が分からない。

 何て言ったって、私には相手に刻む魔法、魔術が分からないのでね。


(うーん、先生に頼るか)

 わざわざ考え続けるのは、面倒なので早速頼ることにした。

「先生、先生、せんせー、いますかぁー?」

 情けないような気もするが、声を出し、先生が来るのを待つ。


 っで、三十分くらいの後、

「どうしたんだい?」

 先生がやって来た。


「えーと、ですね。魔法・・どちらかというと魔術を教えて頂きたくてですね」

「良いけど、どんなもの?」

「えーと、人を隷属させる・・・反抗したら、痛みを生じさせる魔法を」

「・・えっ?どうして?」

「いや、何というか、使えそうな機会がありまして」

「どんな機会?」

「えーと、秘密です・・では駄目、ですか?」

「いや、良いけど、教えてくれても良いじゃないか?」


(追求しないでくれぇ)

 説明を面倒に思う。


「うーん、何というか、うーん。・・・レイ、闇の精霊でしたっけ?あれを倒して、仲間にしたことあったじゃないですか」

「・・・うん、・・あったね、確か言われた気がする」

「その子の他にも利用できそうな人を見つけたのです。けど、その人がこちらに対して嫌がらせをしてくる、それに加えて何らかの術を使ってくるんですよね」

「何らかの術って?」

「魔法、魔術とかの手段以外で、透明になって、魔力を誤魔化してるんです」

「嗚呼、確かそんな相談もされたね」

「えぇ、しましたね。逃げられましたけど」

「そうだっけ?」

「そうですよ」


(コイツ、忘れてんのか)

 若干、怒りと言うより呆れを抱いた。

 まあ、どうでも良いことだったんでしょうけど。


「えーと、取り敢えず、その何らかの術が怖いので隷属の魔法を掛けようとしてる、って感じです」

「なんだか過剰な予防策な気もするけど・・まあ、良いか。教えてあげよう」

「えっ、あっ、良いんですか!ありがとうございます」


(教えてくれないと思ってた)

 今までの経験上、教えてくれなさそうだな、と思ってたので驚喜した。


「いや、君、僕が教えないとでも思っていたのかい?」

 先生の問いかける声を無視し、

「っで、どうやれば良いんですか?」

 質問をする。


「・・嗚呼、もう。分かったよ」

「っで、どうすれば?」

「えーと、血とインク、魔力を混ぜたインクで六芒星を描いて、六芒星の頂点と交点を二重線で囲んで、中心にムカデみたいな奴描いて、ムカデみたいな奴を囲むように段々と細くなっていく円を描けば、隷属の魔術の紋が完成するね」

「へー、ムカデみたいな物って何ですか?」

「何て言うか、鞭ってあるだろう。あの、傷痕を表してるのさ」

「へぇー、・・・ちょっと紙に書き写して貰っても構いませんか?」


 …………


 って事で、先生に魔術の紋を描かせました。


「・・・なんか、しょぼいですね。円と円の間とかに文字とか入れないんですか?」

「しょぼくはないだろう。文字?そんな物必要かな?」

「いや、見栄えとか・・・」

「わざわざいらない物を入れる必要性はないだろう。それに、人体に刻む、描くならこれよりもっと小さくなるからかけないと思うよ。字が潰れて」

「いや、まあ、そうかもですが・・・」

「そんなに字を入れたいなら、自分の名前でも書いたらどうだい?」

「いや、それは嫌ですよ」


 雑談を終え、ふと思う。

 一度くらい練習した方が良いよな、と。


「先生、練習したいのですが、先生に対して使っても良いですか?」

「良いわけないだろう。馬鹿なのかい?」

「良いじゃないですか。一度くらい」

「君、よく馬鹿って言われないか?」

「心外ですね。そんな事言われませんよ」


(やっぱりなぁ、無理よなぁ)

 何となくいける気がしたが、やはり無理だった。

 ・・誰か丁度よい者はいないだろうか?

 カシワギに関しては、あの組織の方々とは表面上でも対等な協力関係でありたいので除外するとして、えーと、・・レイしか良い人材は見つからなかった。


「先生、もう用事はないので、帰って良いですよ」

「そうかい。分かったよ」


 取り敢えず、先生を雑に帰し、

「レイ、早く来て下さい」

 先生を呼ぶときと同じように、空に向かって声を掛けた。


 そして、12秒くらい経ち、

「おっ、お待たせしましたぁ」

 緊張しい声が聞こえてきた。

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