第310話 辛いし、面倒いし、はあ、大変だ。
「ふぁあぁあ、はあ」
大きく欠伸をし、目を擦った。
・・眠い。非常に。眠い。
昨日の夜更かしが原因だろう。辛い。
(つっらぁ、マジで辛い。ああぁぁあぁ!辛い!)
発狂しつつも、ベッドから這うようにして降りた、といより落ちた。痛い。辛い。
動きたくない、と言うかのように動かし辛かった身体を無理矢理起こした弊害だろう。多分。
「きょうも、頑張るぞ。うん」
小さく呟き、床に落ちた姿勢でも睡魔に襲われたので、直ぐに手をつき立ち上がった。
一瞬クラクラとした。
「はあ、・・・よし!」
深呼吸をするように溜息を吐き、
(・・・今日は、うん。罠、成功すると良いな。相手の油断を誘うために、いつも通りの行動を取る、うん)
今日のことを頭に浮かべる。
そして、数分後、
『コンコンコン』
と扉から音が聞こえた。
「どうぞ」
「失礼します。お嬢様、お手伝いに参りました」
「毎日、ありがとうございます」
「侯爵様から賜ったお仕事ですので」
「そうですか」
特に感情の込められていない会話をし、着替えを手伝って貰った。
・・・まあ、『手伝って貰う』と言っているが、実情はただ指示に従って立ったり座ったり、ときには腕を上げているだけだが。
さて、そんなこんなで朝の準備が終わり、私は馬車に乗り込んだ。
そして、特に何もなく町を走らせて、学院に到着した。
(・・昨日から変わっていなければ、今日も既にロッカーは荒らされているはずだ。奴は、もう罠に引っかかってるかな)
心中でそう思いながら、
(地味に、毎回毎回だけど、鍵付きのロッカー壊されてるんだよな)
ふとそんな事を考えた。
一応、毎回壊されてるロッカーは学校の備品だ。
ロッカールームみたいな所に置いてある生徒一人につき一つ貸し出される物だ。
まあ、大抵の貴族は使わない代物で、従者を連れていない私のような人間や、金のない貴族、後は平民程度しか使っていない物だけどね。
でも、それでもさ、壊すのは駄目なのではないかな?常識的に考えて。
・・・良いのかな?いや、な訳ないよね。
たぶん、私に弁償金でも払わせたかったのかな?
伯爵達とか、最後の一人の奴とか。
てか、地味に思ったのだけどさ、人目の付かないロッカールームなんだからさ、警備とかしっかり付けるべきなのではないのかな?
ないだろうけど、金品とか置いてる人居るかも知れないじゃん。
それに、私みたいな事が他にも起こる可能性はあるわけだし。
・・・マティアス先生に相談でもしようかな?
心中でそう思いつつ、ロッカールームへと歩を進めた。
色々と物思いにふけりながら。
それで、はい結果です。
・・・まだ相手が来てませんでした。
(変だなぁ?もしや、バレてしもうたか?)
ないとは思いたい事を考えつつ、教室に戻ることにした。
現状、相手が罠に掛かっていないのならこちらからは動けない。
相手が動くまで、こっちは待ちの姿勢を貫くしかないのだ。
っく、相手が分からないなんてこんなに辛いのか、初めて知った。推測すら付けれないのは辛い。
…………
授業を何時間か受けました。
そして、お昼の休みになりました。
(よし!早速、レッツらゴー)
椅子から立ち上がり、ロッカールームへ急いで向かおうとしたところで、
「エミリー嬢」
と後ろから呼ばれた。
(・・・この声は皇子殿下だな)
と声の主の姿を思い浮かべつつ、
「どうかされました?皇子殿下」
後ろを振り向き、返事をした。
(なんだか、偉そうに感じるな。自分の発言が)
若干の後悔をしつつ、皇子殿下の表情を見ると、気分を害してはいなさそうだった。
(良かった。うん、良かった)
安堵しつつも、目の前の皇子が口を開くのを待つ。
すると、
「一緒にご飯を食べないか?」
とお誘いを受けた。
(・・くっ、ロッカールームに最初に行きたいのに)
と思いつつも、これ以上無礼を働くのは許されないだろう、と思い、
「構いませんのなら喜んで」
丁寧な言葉を選んで言う。
そして、皇子殿下とお昼ご飯を一緒に食べることになった。
何時もは食べないような高そうな料理を出され、それに少しずつ手を付けていく。
(いやあ、罠は成功したのか?)
どうしても心配になってしまった。
だから私は、必死に考えた。
どうにかして此処から罠の状態を確認する方法を。
(どうする。どうする。レイに確認を取るか?・・今此処で、突然呼ぶのは可笑しいから無理だ。どうする、トイレに行くとでも言うか?・・・いや、ないであろうがそれで相手の機嫌が悪くなったら、非常に不味い状況になるから駄目だ)
などと色々考え、
(あっ、地味に位置を追跡するGPS的なあの魔法の現在地で分かるじゃん)
と保険の存在を思い出した。
(使ってて良かった。保険)
嬉しくなりつつも、それを一切顔には出さずに、適当な相槌を皇子殿下に行い、魔法を確認する。
(・・動いてないな、まだ行動はなしか)
一切の動きはなかった。
・・・これはバレた線が濃厚か。罠を張って待ってるのがバレてるって面倒だな。
非常に面倒臭くなる予感を感じつつ、
「ええ、そうですね」
「そうなのですか、驚きです」
だのと思っていないような感想を相槌として漏らした。
(・・・私、だいぶ最低かもな、折角誘ってくれたのに一切向き合わないのは)
ふと嫌悪感が湧いてきたので、
(一端、罠については放っておこう)
と思考の隅に追いやり、皇子殿下としっかり話をし始めるのだった。
読み飛ばしておkの雑談
多分、この段階で私の人生の中で読んだ一番長い本である『カフカ』の『城』の2倍くらいになりましたね。日本語訳の物。
流石に完結まで急いだ方がいいのかなぁ、と思うのですが、まだまだ私が一番描きたい、第三部への下準備が終わってないのが現状です。多分、下準備終わったら、若干の蛇足が入って、第二部は終わりになります。
ちなみに、第四部は完全に蛇足です。私の自己満の為です。
あっ、地味に世界一長い本を調べてみたところ、960万9000字みたいですね。
・・・よし、まだまだ大丈夫だ。




