第303話 実験だ!実験だぁ!上手くいくかな?
謝罪します。
「追い込み漁編」が次回の編だ、と言っていましたが、変わります。
「手駒編」です。
理由は、考えていた追い込み方をメモし忘れ、完全に忘れたからです。
本当にごめんなさい。
「よし!」
家から届いていた手紙の返事を書き終わり、銃の内部機構を魔法で代用する例の計画の実験を早速しようと言葉を漏らす。
(えーと、外側はそうだな、適当にカリブ海の海賊が使ってそうな奴で良いか)
適当に形を決め、前世で見たはずの映画に映っていた殆どが木で作られた物を思い出す。
(適当に金属を入れとけば良いよな・・・鉄で良いかな・・・データとかないからよく分らないけど、価値が金属の中でも低い鉄が多いだろうし、それに耐久度的に心配がある純金とかは使うべきではないだろうし)
と装飾に使う金属も決める。
「えーと、うーんと、とりま創ってみるか」
頭の中でよく分らない部分を除き、ほぼほぼ完璧な程度に構造を思い浮かべる。
そして、創ろうとしたところで、
(・・・引き金引いたら火打ち石を挟んでるあれが動くようにしないといけないよな)
と名前は分からないが、昔の銃の特徴的な部分を再現しようと頭で思い浮かべる。
そして、
「・・・あれっ、これどうなってんの?」
思い浮かべている構造が絡まり、どこに何があるのか、どこにどれを置くべきなのかが分からなくなってきた。
頭の中だけでは無理があるように感じ、
「整理するか」
紙に構造を一部品一部品丁寧に落着いて移していく。
そうして、
(あれ、マジで意味が分らない。これ、本当にどうなってんの)
駄目な部分が沢山見つかった。
「うん、無理だ」
感想を漏らしつつ、こうなった原因を考えてみる。
どうしてだぁ?と。
そして、直ぐに、
(うん、火打ち石を挟んでる物を動かそうとしてるからだろうな)
これ以外考えられない物を頭に浮かべる。
「・・・どうした物かな」
火打ち石を動かすのも内部機構と同様に魔法でも良いように思えてきた、けれども、
(もし襲われたとして、焦った状況下で火打ち石のあれを動かせるのだろうか?)
という疑問がどうしても消えない。
襲われる、と覚悟を決めた状態で対面し、その状態で襲われたとして、多分私は間違いなく焦ることだろう。必ず冷静で居られないであろう。
果たしてその焦った状態で、火打ち石を常識的な力で動かせるのだろうか?
内部機構、コイツならオーバーパワーが掛かったとしても推進力となるし、ついでに撃つとしても足だろうから死なないはずだ。相手方が鉛中毒とか、敗血症とかのヤバめの病気にならなければ。
・・・いや、待てよ。
冷静に考えるとさ、地味に相手を殺さないように、私の魔法がバレないように、と思って小さめの銃を選んだのだが、普通に相手さん死ぬくね?病気で。
てか、銃声がなる訳だから、家の力で押しつぶせるくらいの騒ぎに収まるのか?
「・・・計画の杜撰さが」
とんでもなく露見している。
「・・計画の変更だ。・・でも、銃は使うか」
計画を大幅に変更することにした。
そして、数分くらい掛けて、
(・・・脅し、空に発砲するか。・・何かの合図に・・・決めた)
改めて今度は完璧な計画を立て、
「よし、頑張るぞー!」
と銃を頑張って設計していった。
…………
数時間くらい試行錯誤を繰り返した。
何十個も設計図を書いた。
何百個も頭に思い浮かべた。
そうして出された結論は、
『全て魔法で動かそう』
だった。
・・・いや、何というのか結局出来なかったのです。
それっぽい物は出来たのですが、”それっぽい”だけで完全に”それ”ではない、不完全な物だったのです。
幾ら頑張っても出来そうになく、時間も迫っている現状から考え、妥協するべきなのではないかな~と思ったのです。
「・・・えと、うん、その・・───よし!やるぞー」
なんだかとんでもなく申し訳ない気持ちになった。意味は分らないのだが。
・・・私自身に対し、思ったのだろうか?分からないが。
まあ、取り敢えず置いておこう。
「さて」
(取り敢えず創り出すか)
頭の中でカリブの海賊が持っていそうな銃を思い浮かべ、魔法で生み出す。
ごっそりと身体の一部が抉られるような感覚がした。
・・・鉄と木材、火打ち石、黒色火薬、鉛などを一気に創り出したせいだろう。
それに、仕掛けを一部省いたとしても、釘とかボルトとか色々と複雑だったのもあるだろう。
・・・一番の要因は、無駄に凝ったライフリングだろうが。
「・・・久しぶりに頭痛がする」
魔力不足、というよりただの疲れの気もするが、置いておくことにしよう。
追求し続けるのは面倒だし。
「えーと、取り敢えず」
鉛玉を詰め、火打ち石が詰められたあれ・・・思い出した、撃鉄を起こし、そして腕を伸ばし、的代わりと自分の身体を守るため結界魔法を張る。
そして、
「・・・ファイア」
短く英語を呟き、引き金を絞る動作をしながら、銃身の内部に魔力を止め、撃鉄を降ろす。
『ドンッ』
乾いた音が響き、
「うぐぅ、いってぇ、くそ」
私は声を漏らしながら、先程までは銃であった物を床に落とし、
「っぐ、大丈夫?」
手をみた。
・・・手は血まみれで、指とか掌の一部には木片、鉄片が刺さっていた。
「クソッタレ!強度が足りなかったか」
こうなった要因を叫びながら、適当な布を辺りから取り、腕を縛る。
そして、脂汗と冷や汗をかきながら、
(どうする。どうする。どうする)
今にも揮散しそうな意識の中、事後処理に迷いながら、頭を回す。
(このままだと不味い。腕が失血死はしないだろうけど、その他の要因で十分に死ねる)
焦りと共に、
「先生!先生!来て下さい!」
望みの綱を呼び、
「ぐっ、くぅ、うぅ、ぐっう」
唸り声を漏らしながら、血まみれの手に布を掛け、
「どうしたんだい?」
と問いかける呑気な声に、
「治療、出来ません、かね?」
飛びそうな意識で言うのだった。
状況説明
フリントロック式の拳銃の形をした物体の中で、強すぎる魔法を発動させたせいで耐久が足りず、弾け飛びました。
小話だが、多分主人公は銃を使うより、鉄球を魔法で飛ばした方が物理火力では強い。




