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第300話 んっ?んぅ~?そうですか。無理っすよね。利益ないですもんね。

「銃?銃ってあの火薬で鉛玉を打ち出すあれかい?」

 確認を取るように言ってきた先生に対し、

「えぇ、はい。まあ」

 若干曖昧な返事を返す。


 すると、

「ナイフとか、そう言った短めの刃物を持てば良くないかい?」

 私も一度は考えたことを言ってきた。


「それでも良いとは思うんですけど、体格差で押し切られたら終わるじゃないですか、私の体型と体格を見てくださいよ。ほら」

 両手を広げ、貧相な胸を張り、同年代の女子の中でもだいぶ低めの身長、小さめの体格を見せびらかすと、

「・・・ああ、うん。そうだね」

 なんだか面倒臭そうに言ってきた。


(酷い!こんな事をする原因は貴方が言ったことなのに)

 馬鹿みたいに心中で文句を叫んで、

「なので銃器が欲しいわけですよ」

 先生に言うと、

「君の従者を頼るとかすれば良いんじゃ無いのかな」

 と返された。


「従者を頼る、ですか・・・」

「出来るだろう、だって君、貴族なんだから」

「・・・信用できないじゃないですか」

「どうして?君の家の仲間だろう」

「私が現在直接雇っているわけではありませんし、相手のライフラインや給与を握っているわけではありません、その為裏切られたり謀反を起こされる可能性があるわけです。怖いじゃないですか」

「信用しなよ。君に付き従う奴も居るだろう。専属のあの二人とか」


(あ~あ、先生、馬鹿だな)

 侮辱しつつも、

「あの二人、マリーちゃん、ロナルド君、どちらも頼れませんよ。彼らとの縁や仲はたかが知れています。それに比較的信用を置いているあの二人に裏切られよう物なら私、多分泣きますよ」

 頼らない、と言うより頼れない理由を言う。


「多分、裏切らないと思うけどな」

「・・・先生、私はその”多分”が怖いんですよ。・・・人間の心というのは直ぐに移り変わる物ですもの」

「彼らは違うと思うけど」

「そうかも知れないですけど、そうじゃないかも知れないじゃないですか。”裏切られる”その可能性は確かに存在してしまっています。それが怖くて、怖くて仕方がないんですよ。私、臆病者なので」


「そうかねぇ」

 なんだか納得していない声を聞きつつ、

(しょうがないだろう。私、他人を信用できない不甲斐ない腰抜けなんだから)

 言い訳をして、

「それで先生、銃器を持ってたり、作り方を知ってたりしませんか」

 話を本題に戻す。


 そして返ってきた返答は、

「持ってないし、作り方なんて物は知るよしも無いよ。魔法を使った方が強いし、興味は微塵もないからね」

 と芳しい物ではなかった。


(そうか、そうだよなぁ)

 溜息交じりに漏らしつつ、

「それじゃあ知ってそうな人とか知り合いに居ませんかね」

 先生の知り合いに頼ろうとすると、

「居ないね」

 返答は短い物であった。


「はああぁあ、どうした物かな」

 大きく溜息を吐き、別の案を探す。


(自分で一から設計するか・・・無理だよな。そんな時間はないし、作れるような知性もない)

(家の物を拝借するか・・・あるとは聞くけど、バレたら非常に不味いし)

(街に居る無法者でも襲って強奪するか・・・負けたら不味いし、口止めも面倒い)


 等々と色々と案を出し続け、そして数分間悩み、素晴らしい妥協案が浮かんだ。


「銃器の外装を使いつつも、発射とかは魔法でやるか」

(本来は火薬の爆発力で出すエネルギー、それを魔法での推進力に変えて鉛玉をぶっ飛ばす)

 と言う物だ。

 どうだろう素晴らしい物であろう。

 まあ、出来るかどうかは分からない、ただの机上の空論ではあるが。


「・・・明日やろう」

 実際に可能かどうか、それの検証と、可能だった際の練習を明日の自分へ丸投げした後、

「先生、ありがとうございました。妙案が浮かんだので今日は終わりです」

 と御礼の言葉を言い、

「僕、何もしてないだけどな」

 先生の返事を聞き直そうとしたところで、

(確かにそうだな。先生何もしてないな)

 と思ってしまった。


「そうですね。先生、何もやっていませんね。今の感謝取り消します」

「いや、別に取り消す必要性はないだろう」

「なんだか意味もなく感謝するのは嫌な気分なんですよ」

「そうかい、そうかい。分かったよ」


 先生のなんだか変な不貞腐れたような、そんなよく分らないふざけたような返事を聞き、

(あっ、呼んだら来てくれはしたか)

 感謝するべき事を見つけた。


「・・・やっぱり取り消すのを取り消します」

「一体どういう風の吹き回しで?」

「最近無視されてましたけど、今日はやって来てくれたので」

「ああ、すまないね。来れないことがあって」

「いえ、別に大丈夫ですよ。たいした問題ではありませんし、自己解決できるような些事だったので」

「それじゃあどうして呼んだんだい?些事で」

「どうして、”どうして”ですか・・・」


(どうしてだろうな。分からないな。解決への道筋を直ぐに見つけれなかったからか?・・・分からん)

 先生の問いに関する答え、それは思い付きそうになかった。

「まあ、良いじゃ無いですか。どうでも良いことを重箱の隅をつつくように問いかけないでくださいよ」

 おちゃらけた様に言い、

「それじゃあ、また」

 別れの言葉を先生に掛けるのだった。

そういえばの話。読み飛ばしおk。

「仔羊狩り」編は、あと数話で終わります。

そのあとは、「手駒」編です。

その次は、「因縁の始まり」編です。

っで、その次は高等部編になる、と思いたいですが、未定です。


あとがきの補足、

「追い込み漁」から「手駒」編に変更します。

理由は、追い込み方を考えていた時の計画をメモるのを忘れ、完全にド忘れしたからです。

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