第296話 分からない。分からない、分からない分からない分からない。・・・駄目だな。こりゃあ。
魂、そんな概念が本当に存在したとして、『今』の私が来る前、『元』の私それは何処に行ってしまったのか。
疑問を抱いた私は悩み、
「死んだのか?」
ありそうな物を考えついた。
(何らかの理由、それで死んだ子供・・・。その場合って、私は動く死体になるんじゃ?本来の命が潰え、残った肉塊、それに魂が入り込むって、そんなのゾンビとか、亡者とかになるんじゃ)
現在の自分の肉体、状態それに疑念を抱くと同時に、
(まさか、そんなこと・・・。きっと、私が何らかの事柄によって別世界の輪廻に取り込まれた)
(きっと『元』の私なんて存在せず、『今』の私の為の身体が形成されたのだ)
短絡で、楽観的な考えが頭に浮かぶ。
けれども、
「本当にそうなのか?」
どうしても楽観バイアス、正常性バイアスが働いているように思える。
「あり得るのか?そもそも『転生』、この世界に転生したのは何故だ」
「私の『前世』の記憶、それは本物なのか?意識は本物なのか?」
自分の存在に疑念が湧く。
「・・・私は何者なんだ?一体全体」
段々と靄が掛かり、思考を抑えていくように感じる。
「魂が輪廻転生・・・、異世界の輪廻に巻き込まれた。どうしてだ?」
「元々、輪廻の輪になかった存在、それが突如輪廻に混じって容易に身体は用意出来るものなのか?」
「死体に魂が潜り込んだ?」
「元々『私』以外の魂は存在しえない?」
「私、『前世の私』、記憶それが本来は存在しない、幻想なのか?」
「それとも、私の体、その中に二つの魂が存在しているのか?」
・・・分からない。全くと言って良いほどに分からない。疑問は深まるばかりだ。
まるでほの暗く、冷たい海に落ちていくように。
思考が絡まる。
冷静ではないのかも知れない。
「・・・『前世の私』コイツはどうして死んだんだ?と言うか、コイツは本当に死んでいるのか?」
絡まりグチャグチャになっていく思考、その中で確かな疑問が生まれた。
「あり得なくはない」
過去の自分、転生した直後、その時の短絡的な阿呆らしい、冷静ではなかった考え、それで『転生』などと結論づけた。
それは、本当に正しいのだろうか?
「まず『異世界転生』その概念があり得るのか?『輪廻転生』『魂』それ自体も存在しうる存在なのかどうか、それが不確かであると言うのに」
疑問から疑問が生まれる。
そして、新たに生まれた疑問から更に疑問が生まれる。
無限ループの地獄、それに落ちていくような悪魔の証明を立証しようとしているような、そんな感じがした。
「・・・『乗り移る』が正しいのか?魂が」
『前世の私』それに悪霊のような印象を抱き、
「どうにかして、魂を確認するか。魔法で、怖いけど」
やることを決めた。
「・・・やるか」
適当な探知をするための魔法を使用し、それを自分の身体に染み込ませ、魂という物を探していく。
これで本当に見つけることが可能なのか、本当にそんな物は存在するのか、そう言ったことは定かではない。
だが、
「どっちかな」
妄信的に信じ込み、そして、ついにそれらしい物を見つけた。
「・・・デカい?」
一瞬、魔力の大きな塊・・・違うな、魔力に似た何かの塊にその感想を抱き、すぐに、
「いや、違うな。どういう事だ?」
なんだか違和感を感じた。
「・・・これが魂なのか?胸の中央らへん、心臓の辺りか」
場所のことを考えていると、違和感の正体に気づき、
「どういう事なんだ?」
到底信じられない事実に声を漏らす。
その魂だ、と思われる存在は、一つの塊などではなく、一つの塊を下敷きにするように、幾つも積み重なったいるのだ。
それは到底一つ二つではなく、何個も何個も積み重なっているのだ。
「意味が分らない」
そう思うと同時に、
(・・・これは、今の私では解決できること、理解できることではないかもしれない)
不安感を強く抱いた。
「これが、『魂』だと仮定した場合、私は一体何者になるんだ?」
もし先程考えていた事、魂が精神、その人物を司っている、その仮定を事実とした場合、どの物が本当の私の存在なのだろうか、その疑念が頭を支配する。
「何者だ?」
「どうして複数個も?」
「何故転生を?」
幾つも疑問が浮かび、それが頭の中でグルグルと回る。
そして若干の目眩を感じた。
クラクラと頭が回る。
「・・・駄目だ。駄目だ駄目。このままでは駄目だ。可笑しくなる」
頭を抱え、駄目だ駄目だ、と同じ言葉を繰り返す。
このままでは本当に駄目になる。
何故だか、とてつもなく触れてはいけない気がする。
頭が可笑しくなる気がする。
「私は、何も見ていない。何も知ってはない。私は正常だ。正常で、異常ではない。異論は言わせない。私は普通だ。至ってまともな人間だ。今までのは全て気のせいだ」
自分を洗脳するように繰り返し、先までの疑問を頭の外に追い出していく。
そして、数時間、若干ではあるが、冷静さを取り戻し始めた。
「・・・これは私だけで触れるべきではない。私は別に、魂だとか、転生だとか、輪廻だとか、そう言った物の専門家ではないんだ。触れるべきではない。それに、この状態が異常であるとは言い切れない」
深呼吸をしつつ、
(少し調べるか。嫌がらせの問題を解決して、夏休みに突入したところで、図書館に通って)
小さく、『前世の私』しか分からないように呟くのだった。
閑話を含めたら300話ですって、凄いですね。
話しがまとめれてなくて笑えますね。
休載も複数回ありましたが、読んでくださりありがとうございます。
題名は変える、変える言うてましたが、愛着が湧いたので取りやめます。
縦読みも完成しましたね、これからは本題をすごく進めれるよう精進します。




