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第294話 冷たい先生、熱い先生

 今日も今日とて、登校した私は、

「くっ」

 小さく欠伸をしながら、昨日の事を思い出す。


 昨日、夕方頃に私はレイが未だに特定できてない奴、あいつが魔力を隠している方法、それを必死に考えた。

 結果としては、一人では思い付かず、先生に頼ることにした。


 それで結果として、どうなったと思います?

 ・・・私は先生なら、きっとどうやって居るのか、それが分かると思っていたんです。

 だって、あの人は、例え猫の姿形をしていて、性格が結構悪くて、最近ずっと大賢者様と寝泊まりをしていても、神様ですもの。


 でもね、結果としてはね、先生も分からなかったんだよ。

「分からないね一切」

 と言われたんだよ。

 あっけらかんと適当に。


(腐っても神様だろ。あの人。神様って全知じゃないのかよ。てか、十数日も会わずにいて、あの対応かよ)

 昨日の事を思い出し、心中で文句を呟く。

 すると、それからはいきなり不満が爆発したように漏れでてきた。


 しかもあの神様は、一緒に考えることもしてくれなかったんですよ。酷くないですか?

 一緒に考えて、的なニュアンスのことを言ったんです。

 でもね、

「僕も忙しいから無理だよ」

 ってそれだけ言ってどっかに行っちゃったんですよ。

 酷すぎませんか?


 先生に文句を沢山漏らしながらも、そのドロドロとした黒い感情を表に出さないように努力をした。

 特に何事も起きていないというのに、いきなり表情を怒りに染めてしまったら、ただでさえクラスメイトとの間にある溝が更に深まってしまうからね。

 それに、折角ここまで作り上げてきた冷静沈着な令嬢、このイメージが壊れてしまうのは嫌だしね。


(私の人生の成果が全て壊れるような気がするし)

 心中で言葉を漏らし、低いとも高いとも言えないチャイムの音を聞き届ける。

(もうすぐ三限目が始まるな)

 若干漏れ出そうになる欠伸、それを噛み殺し、視野を移し、窓の外を見た。


 窓の外は、いつも通りの吸い込まれるような青空で、フワフワと浮かぶ雲が所在なさげに彷徨っている。

「・・・天気良いな」

 小さく漏らし、チャイムが鳴ったというのに未だに教室にいない教師の存在を考える。


(どうしたんだろう。遅刻かな)

 若干の心配を抱きつつも、外の情景を見続けた。

 理由は特にない。

 強いて理由づけるのならば、外を憂うように見つめる少女、これってなんか良いなって思ったからだ。

 後は、飛んでいく鳥を見たりで暇つぶし。


 そんなこんなで外を見続け、五分間。

 結構煩い音を鳴らし、扉が開き、

「それじゃあ、授業を始める」

 と言いながら、国語の先生が何時もの様子で入ってきた。


(・・・謝らないんだ。・・まあ、一のAクラスは嫌われてるみたいだし、しょうがないのかな)

 諦めるように思う気持ちとともに、

(謝れよ。こちとら、そちらの都合で授業の時間が、何分か遅れてるんだぞ)

 若干ながら憤慨する気持ちがあった。

 多分、少し前に先生への不満が爆発したために、沸点が低くなっていたのだと思う。


(嗚呼、何か凄まじく先生の顔が、うざったくて憎らしく感じる)

 表情筋を少しだけ動かすが、特に口を開いたりはしなかった。

 ・・・だって、このクラスで何やかんや言うのは恥ずかしいし、怖いもん。しゃあないでしょ。

 変な目で見られるかも知れないし、誰も味方してくれないかもだし。


 もし自分が何かを言って、クラス全員から見つめられるのを想像し、若干だが嫌な気分となり、少しだけ冷や汗が出た。

 嗚呼、想像だけでも怖すぎる。

 私、小心者過ぎる。


(貴族なんだから、もっとしっかりと動けないといけないんだろうな。本当は)

 何故か、更に嫌な気分になるのを感じつつ、

(・・・でも、私の性根は前世で培われた物だし、しょうがないよね。うん。きっと)

 と考え、それ以降考えないようにした。

 なんだか、もう既に凄く嫌な気分だったから。


 ええと、私が嫌な気分になり、俯き机を穴が空きそうなほどに見つめていると、

「先生、貴方は遅刻しました、それなのにも関わらず、謝罪の言葉を口にしない、それが教育者、いえ大人の風上にもおけない行為である、その事がお分かりにならないのでしょうか?」

 比較的な大きな声が、発せられた。

 今回声を上げたのは、珍しくも皇子殿下だ。


 示し合わせたように、続く文句を聞き、

(いや、本当に珍しいな。他の人が非難してから、いつもは非難するのに)

 感嘆を抱き、それと同時に、

(いつも立場、立場って宣ってるけど、この場合どうなるんだろう?いつも通りに、教える立場、教えられる立場って感じに怒るのかな?・・・この人はどっちだろう?プライド高そうだし)

 と国語の先生への疑問を抱いた。


 それで、結果としては、

(あっ、顔がみるみると赤くなってる)

 先生は顔を赤く染め上げ、

「えぇ、えぇ、そうですね。風上に置けませんね。申し訳ありませんね」

 不貞腐れたように謝った。


(大人しく謝るんだ。期待はずれ。・・・大人が皇室の人間に、怒りをぶつけ、連れていかれる場面が見たかったな)

 残念に思う気持ちと同時に、思ったより相手のプライドがなかったことに驚い───


「私が風上におけないのなら、貴方達も『教えを請う立場』としての風上におけませんね。貴方達も───」


 ・・・やはり、私の予想通り先生はそれ相応のプライドがあったようだ。

 なんていうか、情けないな。自分が元凶なのに、こちら側を猛批判するのは。

 少し憐れみ、こんな感情を抱いてても意味はない、と思ったので、

(どうすれば最近、縁が薄くなってきたモンド先生と仲戻せるかな)

 と多少自分の悪いところを治す決心をした。

 例えば、自己中なとことか、先生に頼りすぎてるところか。

・・・関係ないけど、小話『日本的な国はこの異世界に存在するの?』について。

気になる人も居るかも、ってのが上辺で、マジの理由は忘れないようにメモ。

本題に戻します。日本的な国はある。『葦』って名前。

本編に直接関わることは、殆ど無いけど、同盟は結ぶ。

同盟のイメージは、枢軸。

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