第287話 ハア。違和感
教会からの使者が来て、数日が経ち、今日もいつも通り学校に登校しました。
この数日間、私は若干の違和感のような物を感じ、今日、今この時、一限目も始まっていない今、その正体に気付きました。
違和感の正体、それは、
(いじめ)
「激化したな」
この事実だ。
(どうした物かな)
私は頭を悩ませながら、内部に何かよく分らない物が、ぶちまけられているロッカーを見る。
「流石に」
(舐められすぎたのかな)
貴族として、いや、人として舐められていると感じざる終えなかった。
(うーん。正教会側の人間にやられたのか、はたまた私を舐めた愚者にやられたのか)
どちらか見当を付けることは出来ないが、
(複数人と考えて、見せしめに誰か本当に潰そうかな)
今後の対応を決めた。
正教会側の人間、舐めている愚者だとしたら、舐めて仕掛けたらどんなことになるか、それを見せつけ、気軽に手は出せなくなる。
単純に私が嫌いな人間だったら、まあその後も続くかも知れないが、更に見せしめを作れば良い話だろう。
色々と考えつつ、
(ロッカーどうしよ。重要な物は入ってないから良いけど)
中から滴り落ちる白だったり、赤だったり、黄色だったりする液体を見つめる。
(片付け、私がやらなくちゃならないのかな)
頭を悩ませながら、どうにかして片付けの方法を、
(うーん。雑巾でも使うか。・・でも、その場合這いつくばることになるし、貴族としてどうだろうか)
等々と考え、
「まっ、誰かに頼むか」
小さく呟き、ロッカーの扉を閉めた。
そして、収納の魔法でロッカーの中身を片付け、
「あっ、すいません。此処汚れているので、片付けて頂いても構いませんか」
清掃員のおじさんに頼み、教室に急いだ。
教室に着き、準備をすると直ぐに授業が始まった。
まあ、まじめには受けず、
(さて、どうやって犯人を特定し、見せしめにしようかな)
と考えはしていたが、多分バレていないと思う。ちゃんと受けていなかったこと。
私の演技力は凄いからね。どれくらい凄いかというと、凄く凄いよ。語彙は終わってるけど。
ええと、そんなこんなで嫌がらせの犯人に対する措置を考え続け、
(決めた)
と呟く頃にはお昼の放課となっておりました。
「お腹空いた」
欠伸をかみ殺しながら呟き、
(ご飯。ご飯。ごっはーん)
ルンルン気分で呟きながら食堂に向かって歩いた。
あともうちょっとで食堂に到着する。
そんなところで、先生に、
「授業しっかり受けてなかったように見えたけど大丈夫か」
と問いかけられたりはしたが、無事に食堂に到着することが出来ました。
(えーと)
いつも通りのご飯を貰い、定位置と化しているほどに毎日座っている場所に向かった。
(うわあ、もう座られてる)
既に座られていた。
(マジか。・・まあ、そう言うこともあるわな)
若干残念ではあるが、遅れてしまった自分のせいなので、直ぐに適当な近くの席に座った。
(地味に、先生よく分ったな)
席に腰を下ろし、ご飯に手を付け始めたところで思う。
(しっかり授業受けていなかった、それは事実だけれども。よく分ったよな。私、演技してたんだけどな。受けてる。・・・自信なくすわ)
先程から続けて考え続けていると、
『ヒソヒソ』
とした声と、妙で嫌な視線を感じた。
(誰だ)
辺りを見渡す。
けれども、声がする方や視線の元が分からなかった。
何たって此処には人が多いからね。
声を聞き分けようにも、多すぎてよく分らないし。
視線を探ろうにも、嫌な視線以外もあるから分からないし。
(ハア。何か、陰口でも叩かれてるのかな)
溜息を漏らしながら、ご飯を食べ続けた。
美味しかったです。
ご飯を食べ終わった後は、いつも通り図書館によって本を借りました。
それで後は特に何もなく、五、六限は終わり、学校が終わりました。
疲れました。凄く。何時もより周りを見て、犯人を特定しようとしていたので。
部屋に帰り、椅子に腰を下ろした私は、
「はあ。眠い」
声を漏らしながら目頭を揉む。
「えーと。取り敢えず。えーと」
(あの、あれ、あいつ)
ちょっと前に色々あって倒した黒髪の少女、あいつを思いだしながら呟き、
「来い。命令だから」
宙に呟いた。
(地味に、あいつ魔法使って来れるのかな)
若干疑問ではあったが、
「まっ、大丈夫か」
あの後、例の黒髪の少女を下した後、先生に教えて貰ったことを思い出し、呟く。
色々と思い出した先生曰く、例の黒髪の少女は精霊とか言う種族らしい。
面白い事に私の得意魔法、闇魔法の。
(地味に『自分の司る魔法の属性で負かされた』この事実って、だいぶ屈辱的なことだよな)
と笑ったように漏らしつつ、例の少女を待つ。
そんなこんなで数十秒の後、
「・・・あと、十秒かな」
制限時間は一分間だというのに、まだまだ来る余地がない奴に言葉を漏らす。
「ハア。舐められてる」
若干面倒だ、という気持ちを抱きつつ、カチ込みに行くために椅子から立ち上がったところ、
「申し訳ありませんでした!」
煩い謝罪の声が、部屋の中に響いた。
(うるっさいな。耳が潰れる)
文句を漏らしつつ、
「待ちくたびれましたよ。・・そこの椅子に座って下さい」
近くの適当な椅子を勧めるのだった。
あっ、そういえばここら辺の話、胸糞展開になるかも。
まあ、でも一つ言えるのは、主人公が直接手を下すことはないです。
死にはしないと思いたいんですけど……




