第283話 はへぇ、なにそれ?...えっ、ヤバクネ?!
「えーと。なになに」
本を読んでいるといつの間にか寝落ちしてしまい、起き上がった際に落ちた読んだ記憶のない手紙を手に呟く。
「えーと。『入学記念パーティーのお知らせ』・・・は?何それ」
知らない物が出て来た。
結構な冷や汗を流しながら、重要そうな語句を口に出しながら、読み進めていく、
「・・・・『社交界デビュー』..『入学式と同日に開催』..『皇帝陛下主催』────」
・・・正直言ってクラスメイトの皆が、大抵全員仲良さそうな理由が分かった気がしました。
「こんな物あったのか。知らなかった」
と声に漏らしながら、
(他の皆は既にデビューしてて、私はして居ないわけだろ。結構、不味い状況何じゃね)
顎に手を添えながら考える。
(...いやいやいや、そんな訳)
現実逃避するために、色々考えてみたのだが、
(...いや、普通に駄目だよな。よく考えなくても分かるけど)
唐突に冷静になり、更なる冷や汗を流した。
(どっ、どうする。いっそのこと、社交界デビューしない貴族令嬢っていうので行くか)
馬鹿なことを考えた後、直ぐに、
「駄目に決まってるよなぁ」
と言葉を漏らした。
(ブランドー侯爵家自体は、多分私が継ぐことはアルが生きている限り、有り得ない。でも、このまま行けば王家に嫁ぐ都合で、色々と問題があるんだよな。伝手もないし、巧妙な嘘を見抜く目もない、利用されるか、王家に見限られて捨てられる可能性があるし)
と悩みながら必死に考え、結論を出した。
「やっべぇ。出来る限り早くにどうにかしないとやべぇ」
と。
(さて、どうする。どうするべきだ。一体、何をすれば良い。どうすれば良いんだ。何が正解だ。最善策は一体)
焦っているせいで思考は纏まらないが、それでも頭を回した。
何故なら、落ち着いたとしても策が浮かぶ気はしなかった。
それに加え、一端考えるのをやめると、最善策から遠のいていく気がしたからだ。
(・・・最善策。近々行われるパーティーに出席するか。・・・何時行うか分からねぇ、それに誰が行うかによっても不味いことになりそう)
と考え、駄目そうな主催をあげることにした。
(正教会のパーティーは私が、干されるから駄目。後は中小の貴族も駄目。後は良くない噂が多い貴族のも駄目。皇族寄りの貴族も駄目。外国を重視する貴族も駄目────)
とあげていくと切りがないことが分かった。
「くっ、家の立場の都合でムズい」
私はこう呟き、
(中立だから難しいよ)
家の方針を恨んだ。
ブランドー侯爵家は聞く話によると完全に中立らしい。
時々皇族に手を貸したりして居るが、そっちに寄っているわけではなく中立らしい。お父様と聖女様曰く。
どれくらい頑なに中立を貫いているかというと、昔は禁輸措置とか、受けたこともあったらしい。
ちなみに、その禁輸措置は、戦争をちらつかせてやめさせたらしいよ。
「さてどうした物か」
私は大いに悩み、知っている中立の貴族であり、地位が高く、家の仲が良い人達のことを考えた。
結果としては、マリーちゃんの家『ユーレン』伯爵家くらいしかなかった。
だが、
(ユーレン伯爵家か・・現在の当主がキモくて嫌なんだよな。それに、聞く話によると外国を重視する貴族らしいし現当主は。最近、政界で嫌われる動きを繰り返してるらしいし。やめた方が良いよな)
と思い、選択肢から除外しようと思ったのだが、
(あの人の祖父さんは、中立の貴族で、家同士が仲良いよな)
このことを思い出した。
「あの人、パーティーとか開いてるのかな・・・微妙だよな」
会ったことは数回ある程度だが、開くほどに他の貴族との関わり合い、それを求める様な人物ではない、と言った印象を受けた。
「無理かもな...ちょっと文通するか。お父様経由で」
駄目そうだなと思いつつも、
(それじゃあ後は・・・)
記憶を探ってみる。
だが結局は、まともなのは見つけれそうになかったために、
「・・・大公家に頼るか」
最終の案を呟いた。
そして、
「でもなぁ」
ちょっぴり怖いので呟きを漏らす。
大公家は現状三つあって、仲と勢力の地位は殆ど同じ。
でも、私が関わるとないとは思うけど、勢力の均衡が崩れる可能性がある。
何たって、一応ブランドー侯爵家は、西側の貴族連合のトップであるからだ。
「ないとは思うけど・・・」
流石に怖かった。
勢力の均衡が崩れると、こちらも大きな不利益を被る可能性があるのに加え、国家自体が危うくなる可能性もあるのだ。怖いだろう。
「・・・どうした物かな」
手詰まりを感じ、
「はあ」
溜息を漏らし、
(いっそのこと次の皇帝主催のパーティーまで、何にも出席せずに居るか)
爪を噛みながら考える。
「はあ。お父様とか、アリアさんに相談してみるか」
私一人では手に余る。
ついでに言うと、私一人の判断で決めるのは色々と危ない、と感じた為に呟いた。
「手紙書くか。はあ。何て書こう。言い訳から始めるのは、やめた方が良いよな」
と頭を悩ませながら、お父様宛の手紙と、マリーちゃんのお祖父さん宛ての手紙を必死に書き続け、
『コンコンコン』
扉が叩かれ、
「お嬢様、起きていらっしゃいますか」
と問いかける声が、聞こえる少し前に書き切ることが出来た。
「あっ、はい。起きていますよ」
(・・・地味に、私夕食を寝過ごしてなかったんだな)
と時計見ながら思いつつも、手紙を手に持ち扉を開き、扉の前に立っていたアリアさんに言った。
そして、
「アリアさん。相談と手紙を、お願いしても構いませんか」
と話を雑に切り出し、経緯とどうすれば良いのかを相談し始めるのだった。
・・・いやあ、恥ずかしい。
自分の失敗を赤裸々に話すなんて。
本当に、本当に恥ずかしい。
小話1
ブランドー侯爵家に対し、禁輸措置起こしたのは、皇族と公爵。
理由は、男爵の時点で武力だけはあったので、勢力下に入れたかったから。
小話2
ブランドー侯爵家には敵が多い。
理由は上の関係とか、ちょっぴり悪いことをしたことがあるから。




