第256話 遅刻の恐怖
授業が終わりました。
(ふぅ、やっと六限が終わった。これであとは先輩との約束を果たして、帰って寝るだけだ)
私はそう思いながら、物を纏め椅子から立ち上がったところで、異変に気付きました。
(あれっ、どうして誰も帰る準備してないんだ)
と言う物です。
一体、何故なんでしょうか?学校は六限ではないのですか?
(あれっ。どうしてだ。意味が分らない)
混乱しながらも、一人だけ荷物を持って立っているのは恥ずかしいので椅子に座り、
(どうしてだ)
と記憶を辿っていった。
結果、理由を思い出した。
(そう言えば、日曜日は七限だった)
と言うことを。
(そうかぁ、七限か。七限かぁ。忘れてた)
心中で呟きながら、
(はあ、休みは・・・・来週の日曜日だけか)
と残念に思いながら呟いた。
ちなみにだが、この学校の休みは、春期・夏期・冬期休業、それと月の第二日曜日だけだ。
と言っても、まあ第二日曜日に普通に学校があることも多いそうなので、第二日曜日は一応は休みとされているだけで、本当は休みではなかったりする。
まあ、休みがあるだけマシだよね。社会には休みがない仕事だって存在するんだから。
(はあ、次って何の授業だっけ)
私はそう思いながら、鞄の中に腕を突っ込んで聞き耳を立てていると、
「次は、えーと。・・・嗚呼!そうか、次は理科か」
と言う声が聞こえてきた。
(あっ、ふーん了解)
心中で呟きながら、理科の教科書を出した。
ちなみにだが、理科の教科書は沢山あるぞ。
物理学、化学、生物学、地球科学、天文学って感じで教科書があるぞ。面倒臭いよな。
現在出しているのは、化学だぞ。
(化学。結果とか、色々知ってると退屈なんだよな)
純粋に思いながら、小さく欠伸をして先生が教室に入ってくるのを待った。
・・・・・数十分経った。だが、何故か先生は現れていない。
理科の先生は若くて、結構まじめそうな人なので遅れるなんて驚きだ。
国語のあの嫌みったらしい先生、体育の脳筋先生、担任で理科のマティアス先生だったら心配はしないのだがあの人は凄く心配だ。
(大丈夫かな。職員室に呼びに行くべきなのかな)
と思いながら、結構ソワソワしそうになる。
(呼びに行かなかった、って事で起こられたらどうしよう。・・・でも、呼びに行くのは何か。なぁ)
心中でこの状況への心配も湧いてくる。
(いやあ、普通に怖い。他の子達も結構落ち着かない様子だし)
仲良いグループの人達が、
「お前、呼びに行けよ」
「えぇ、嫌だよ」
と言い合っているのが聞こえてくる。
(こんな時こそ皇子殿下。さあ、レッツゴーだ)
と心中で思いながら、この場で一番地位の高い人の方を見る。
・・・・あの人も友達なのか、取り巻きなのかよく分らないが、じゃれ合っていた。
(まっ、まあ、皆中学一年生くらいだもんな。うん。しょうがないよな。うん)
心中で思いながらも、
(どうする。どうする。どうする。どうする。マジで、マジで怖いんだけど)
若干、と言うよりだいぶ焦りが増えた。
いやあ、怖いっす。怖すぎッス。はぁ、お腹痛い。正露丸作れば良かった。もしくは別の薬。
そんなこんなで更に数分。
(ふぅ。マジでどうする。これ、今更呼びに行っても遅いよな。どうする。本当にどうする。マジでどうする。このまま授業終わるかも。マジでどうする)
本当に詰んだみたいな現状に焦りっていた。
(これ、本当に。結構。リアルにマジで、ヤバクネ。大丈夫じゃないだろ。絶対に)
本当に焦った。冷や汗も出たし、脂汗とは微妙に異なる変な汗も出たし、肌が粟立ったりした。
(いやあ、これ。これマジでやばい。どうする・・・体も震えだした、ふぅ。マジで怖い。怒られるかも。呼びに行けば良かった。呼びに行ってればぁ)
後悔をして頭を抱えそうになった。
そんなこんなで、後悔をし続け四分後。
『ドタドタドタ』
と大きな足音が聞こえ、大きな音が立てられ扉が開いて、
「皆、ごめん。忘れてた。本当にごめん!」
先生は開口一番に頭を下げながら謝った。
他の皆が、
「いいよ~」
的な事を言っているのを聞きながら、
(めっ、珍しい。先生が謝るなんて)
先生という種族は、自分に非があっても謝るのは少ない、そう言う考えを抱いている私は驚き、
(でもこっちも悪いしなぁ、何かちょっと申し訳ない)
申し訳なさを抱いていた。
いっそのこと
「お前ら。呼びに来いよ」
的な感じで怒鳴ってきたのならば、こんな気持ちを抱かずに、
(ごめんなさい)
やら、
(うっわ、うっざ)
とか思えるのだが、謝られると流石にこちらが申し訳なくなる。
「えぇと、皆ありがとう。本当にごめんな」
と先生は今一度謝ると、
「教科書とノート前の続き開いて。巻きで行くよ。巻きで」
こう言い、授業を始めた。
…………
っで、まあ七限は終わりました。
(いやあ、本当に巻きだった。凄いくらいに巻きだった)
先程の授業の感想を抱きながら、私は教室を出た。
理科の先生は、本当に授業を早く進めていった。
大学にいる本当に早い教授を彷彿とさせる速度だった。
いやあ、なんというか凄いね。どうやったらあんなに口が早く回るのでしょうか?私には一切分かりません。
・・・それに、どうしてクラスメイトの人達は、余裕でついて行けていたのでしょうか?凄すぎます。私にはついていくだけで手一杯です。
「ふぅ」
小さく息を漏らし、私は二年生の教室まで歩いて行った。
先輩との待ち合わせ場所は決めていなかったはずなので、突撃しようと考えたのだ。彼女の教室に。
今回は緩い話ですね。はい。
次回はちょっといじめのお話。
追記2023/07/02、2:01
主人公の各先生への思っていること。
社会:担任の先生、多才
国語:偏屈で頭デッカチなおじさん
理科:優しめの好青年。頭が良い。
数学:太った教えるのはちょい無能、興味深い話をするセンスは超有能
外来語:だいぶ無能。感覚的なことを言語に表そうとして失敗してる。
体育:脳筋の狂った奴。
図書館の先生:可愛い無愛想な人。




