第253話 本を借りに行くぞー!皇子殿下
(ふひぃ)
二限目が終わり、放課が訪れ、眠気が湧いてきたので心の中で息を吐く。
現実で吐くべきだし、心の中で吐く意味なんぞ存在しないだろう。
そんな事は分かってる。
分かっているのだが、何故か、本当に何故か、頭が回っていないのか、吐いてしまった。
「次の準備」
小さく呟きながら、鞄の中から教科書を取り出そうと、手を適当に突っ込む。
そこで気になった。
(次の授業ってなんだ?)
と。
(あっれぇ、次、本当になんだっけ、移動授業だっけ)
思案をしていると、
「次ってなんだっけ」
「次は・・・・歴史だな」
と声が聞こえてきた。
(よし。歴史だな。私は分かっていたぞ。本当だぞ)
心中で意味も分らないことを呟きながら、突っ込んでいた手で、歴史の教科書を取りだした。
っで、その数分後、先生が入ってきて、チャイムが鳴って授業が始まった。
(さて。歴史か。何をやるのだろうか。多分、オリエンテーション以外やってないはずだよな)
心中で思いながら、入ってきた先生を見つめる。
ちなみにだが、入ってきた先生は、担任のマティアスだ。
あの人、どうやら社会の教科担任らしい。
聞く話によると、魔法やら、楽器やら、芸術関係も出来るとか。多彩だね。
それでそのあとは、特筆すべき事はなく、退屈な授業は終わりました。
授業で教えられた皇室の始まりの歴史については、阿呆ほど自習したので、覚えきって何にも楽しくはなかった。
小話的なのは、結構面白かった。
先程が三限目だったので、適当に四限目の準備をする。
次は国語だ。これも、たいして面白いことはないと思う。
何故ならば、先生が結構堅苦しい。
多分、人の粗探しが好きな人だと思う。
(はあ、まだ四限目か)
若干の面倒くささを感じた。
だが、まあ授業が始まり、先生の板書を適当にメモしたり、話を聞き流して、時々メモをする。
そんな事をしていたら、いつの間にか時間がたち、チャイムが鳴り響いた。
何故か、先生は続行しようとしたが、クラスの陽キャの大反対で終わることになった。
(あの先生、馬鹿なのか。お昼ご飯食べないといけないのに、授業を続けようとするなんて)
心中で思いながらも、若干不機嫌そうに教室から退室する先生を見た。
(・・・・ご飯食べるか)
先生が退室して、数十秒後に思い、席を立ち上がった。
(結構、まだ話してる人いるな)
クラスの席に座り、駄弁っていた人達に思いながらも、食堂に行って、何時ものご飯を食べて教室に戻った。
今回は何時もより、体感ではだいぶ早く食べて教室に戻ってきている。
理由としては、昨日皇子殿下と約束した事があるからだ。
(これでやっと図書館に行けるぜ)
心中で楽しみにしながら、小さく欠伸をしていると、
「やっ、やあ、エミリー嬢」
背後から声を掛けられた。
(あっ、思ったより早い、もうちょっと時間あると思ってた)
心中で思いながらも、
「あっ、はい。宜しお願い致します。カイル皇子殿下」
急いで立ち上がり、頭を下げて数秒の間を開けて頭を上げた。
皇子殿下は、少しだけ気まずそうにした後に、
「そっ、それでは、案内してやる。ついてこい」
緊張したような声の調子で言い、私に背中を向けてきた。
(声デカいなぁ。張り切ってるなぁ)
と心中で思う一方で、
(声デッカ、やめろよ。殿下のせいでクラスの人の視線集中したじゃん)
怒ったように喚いたりもしたが、私は大人しく彼の背中を追った。
何故か妙な視線を感じたからだ。
(皇子殿下が私に話しかけたのに対しての嫉妬かな)
とも思いはしたのだが、それは何となく違った気がした。
(嫉妬と言うよりも、怨嗟?怨恨?よく分らないな・・・・でも、絶対良い気持ちの感情ではないよな。恨むみたいな、何か私襲われそうだな)
(私、何かしたっけなぁ、今の所、特に何もしてないはずだけどな・・・・)
心中で一瞬悩み、
(まさか、皇子殿下に着いてきたヤバい奴のヘイト買ったのかも知れないな)
あるかも知れない事を考え始めると、
「エミリー嬢」
緊張を漂わせた声で言ってきた。
(このお方はどうして此処まで、緊張しているのだろうか。意味が分らない)
訝しげに思いながらも、
「どうか致しましたか」
彼に問いかけると、
「その、なんと言おうか」
絶妙に早口になっていた。
(大丈夫かこの人。流石に緊張しすぎではないだろうか。初対面でもあるまいし)
心中でこんな事を呟いた。
本当はもっと嫌みったらしいことを言っていたのだが、それは秘密だ。
私が私の事を嫌いになりそうな内容だったから。
・・・・話を戻すが、皇子殿下はスッゴい緊張して押し黙ってしまった。
(待って、待ってくれよ。この空気感地獄過ぎ)
心中で焦るほど地獄な空気感で、私達は歩き続け、図書館に中に入った。
(やった、やった。こんな所にあるんだ。うわぁ、本の匂い)
心中で思いながら、興奮した。
表情は多分、今までにないくらいに嬉しそうな表情だったと思う。
だって、現に今世の五本指に入るくらいには嬉しい。嘘だけど。
(うわぁ、凄いなあ、本が沢山ある)
心中で思いながら、再度眺めていると、
「えっ、エミリー嬢」
緊張した声が聞こえてきた。
「あっ、カイル皇子殿下。本当にありがとうございました」
御礼を言うのを忘れていたので言い、
「なんでしょうか」
少し間を開けて問いかけた。
(いやあ、馬鹿な事したなぁ、私)
心中で若干後悔しながら、彼の声を待っていると、
「その、なんというかっ・・・・」
モジモジしていた。
(あんたのキャラに合わないぞ)
と思いながらも、頭に?マークを浮かべたような表示で、彼を見つめていると、
「いっ、何時か手紙を送る。待っててくれ」
と言い残し、走り去ってしまった。
(緊張しすぎじゃね。私、何か嫌われるようなことしたかな)
心配になりながらも、
(さて、それじゃあ、本をすぐに選ぼう。じゃないと終わっちゃう休み時間が)
と思い、本を探した。
途中で、
(此処って本借りること出来るのかな)
心配になったが、適当な家に無かった本を選び、先生の格好をした小さな、私より少し大きい程度の女の子に、
「本を借りることは出来ますか」
と問いかける。
すると、
「出来る」
ちょっと間を置いて返されて、
「名前は?」
と問いかけられた。
「エミリー・ブランドーです」
彼女に言うと、
「そう。本貸して」
と返され、私は大人しく本を貸した。
それで何らかの事を紙に書き殴り、
「一週以内に返してきて」
と言う声と共に本が返された。
「ありがとうございます。必ず返します」
彼女に言いながら、
(この子って先生なのだろうか?まあ、いいや)
と思い、私は教室に急ぎ足で帰っていった。
ちなみにだが、私が借りた本は『戦時論』というタイトルだった。
『戦時論』
の内容説明あるか分からないので、書くと、
『戦時中における、内政とプロパガンダ、対パルチザン、性質』
についての本です。
一応は、この論を基本に動く可能性はあります。
ちなみにだが、『戦争論』のオマージュである。
内容はたぶん、違うと思うが。




