第247話 法律的に結構グレーな行為
「あぁ、嗚呼、眠い」
小さく言葉を漏らし、私は目を擦った。
(・・・・今、何時だ。カーテン閉めてないよな、確か)
部屋は薄暗く、太陽光は入り込んでいない。
その事から、未だに朝ではないことは分かった。
だが、正確には何時か、分からないので頭を回した。
(・・・・う~ん。起きるか)
小さく心中で呟き、ベッドからゆっくりと降り、
「うっ、うん。うっ。ふっ、ふぅ」
欠伸をしながら呟き、適当な椅子に腰を下ろした。
「さて、今は何時かな」
目を擦りながら、ランプを付け、部屋の時計を見た。
・・・現在は、夜の0時半くらいだった。
(う~ん。微妙)
心中で呟くと、
『グゥ~、キュウ~』
とお腹が鳴った。
「お腹空いた。ご飯、貰えるかな」
小さく呟きながら、椅子から立ち上がり、部屋の扉を開けると、そこには蠅帳が被されている物があった。
(なんだこれ)
疑問に思いながらも、蠅帳を取ると、高そうなパンと、冷めている為、ちょっと不味そうなスープだった。
(あっ、ご飯だ。・・・それにしても、不味そうだなスープ)
心中で呟きながらも、ご飯が載ったトレイを運び、机に置き、油が固まり浮いているスープに、パンを突っ込み、
(正直言って不味いな。胃がもたれそう)
と思いながら、食べ切った。
「ふぅ、お腹いっぱい」
対してお腹いっぱいではないが、お腹いっぱいだと思い込むために呟き、
「さて、どうやって暇を潰そうか」
頭を回した。
(そうだな。・・・外にでも行こうか。・・・いや、でもな外に行っても、観光は出来るが、買い物は出来ないんだよな。金を持ってないから)
此処まで考えた所で、
「そうだ。金を稼げば良いのか」
と声を漏らした。
(さて、どうやって金を稼ごうかな)
数分間考えた結果、素晴らしいほどの妙案が浮かんだ。
「よし。完璧だ」
私はそう考え、売る物を魔法で創り出すために、想像をし始めた。
・・・さて、私の考えた金策、それが如何なる物か端的に説明をしよう。
『酒を造って、スラム街の人間に安く売りさばく』だ。
法律的、安全性は大丈夫か?
と問いかけられれば、安全性については、ちょっと危ういが、まあ大丈夫だろう。知らんけど。
法律に関しては、業務許可関係の法律は、スラム街とかだと適用外だし、お酒の製造に関しては、微妙な気もするが、一応は大丈夫なはずだ。
お酒を配って回り、寄付を受けるだけであって、販売をするって訳ではない、って感じに言い訳すれば大丈夫っしょ。貧民への寄付のための行動は、黙認されることも多いらしいし。
(よし、どんな酒を造り出そうかな。ウィスキー、ワインどっちにしようかな・・・・取り敢えず、酔える酒って事が重要だよな・・・・よし、ウィスキーを創り出そう)
こんな感じで、創り出す酒を考え出し、
(密造酒になっちゃうけど、大丈夫だよな)
と考えが、頭をよぎったのだが、
(まあ、大丈夫なように作れば良いか)
こう考え、一抹の不安をなかったことにした。
…………
不安を消し去り、数十分間で、沢山お酒の瓶を作りだした私は、
「よし。準備完了」
小さく声を漏らし、
「先生居ますか」
と声を出した。
先生を呼んだ理由は、もし襲われてしまって魔法を撃ってしまったら、殺しかねないため、もしもの時の防衛手段として先生を連れて行きたかったからだ。
「居るけど、どうかしたのかい」
私が声を発し、1,2分経った後に、返事が聞こえてきた。
「先生。私、外に行こうと思うのです」
早速話を切り出すと、
「君に変身して、君の代わりになれ、って言いたいのかい」
前回の事から考えたのか、問いかけられてしまった。
「いえ、そういうわけではありません」
「それじゃあどうして」
「先生についてきて欲しいんです」
「どうして」
「もしもの時の護衛兼囮に」
「嫌だよ。ていうか、君が魔法使ってやれば良いだろ」
先生は拒絶の言葉を出すと、ちょっと私から離れた。
(酷い)
と思いながらも、
「殺しちゃうかも知れないでしょう」
先生を連れて行きたい理由を話すと、
「加減をすれば言い話しだろ」
と当然なことを言われてしまった。
「混乱した私に出来るとお思いで?」
先生を馬鹿にするように言うと、
「・・・無理そうだね」
若干の憐憫が混ざった視線で言われた。
(ひっでぇ)
小さく呟きながら、
「だからです」
と言う。
すると、
「じゃあ、どうして外に出るのか、その目的を教えてくれないかな」
と質問を投げかけられた。
「そうですね・・・・金儲けのためです」
「金儲け?金儲けって、金を稼ぐあれかい」
「はい。その通りです」
「どうやって?」
「此処帝都には、貧民街あるじゃ無いですか」
「あるね」
「そこで酒を売るんです」
私の計画を話すと、
「君。やってることが、マフィアとか、ギャングと一緒じゃないか」
諭すように言われてしまった。
「それに何か問題でもありますか」
まあ、多少法律的な問題はあると思うが、それ以外の問題はないと思うので言うと、
「人道って言おうかな。君、暴利行為をしようとしてるんじゃないか?」
と問いかけられてしまった。
「そんな事はしませんよ。勿論。薄利多売で稼ぐんですから」
私が疑い深い先生に対し、説明の言葉を返すと、
「それを酒でやったら、治安悪化の原因として、捕まると思うよ」
と言われてしまった。
「いや、ないでしょ」
先生に対し、すぐに言うと、
「捕まることはあると思うよ。見たことあるし」
と返されてしまった。
(どうする。やるべきか・・・やって捕まるのなら、・・・・でも、金が・・・・もしヘマして捕まったら、貴族としての信頼、家族からの信頼を失う・・・・・端金よりかは・・・・でも・・・・)
私は悩みに悩み、
「分かりました。やめます」
と返し、ベッドにダイブして、睡眠を取った。
主人公の考えた、貧民街で酒を薄利多売で売る。
この行為は、この部で普通に行うようになります。
単純に利益を出し、敵を貶め、最悪転覆して欲しいな、ってノリで。




