第242話 着替えとクラス
試験が終わり、その後は特に何もなく、私は寝ました。
そして翌日、
「お嬢様、お届け物です」
とメイドさんに言われ、
(届け物ってなんだ。初めてじゃね)
心中で呟きながらも、
「ありがとうございます」
彼女の手からそれを受取った。
お届け物というのは、封筒だった。
「差出人は誰かご存じですか」
蝋で止めてある手紙の裏表を見て、彼女の問いかけると、
「学院様からです」
と端的に返され、
「失礼します。お嬢様」
彼女は挨拶の言葉を残し、どっかに行った。
「学院。学院ね。クラスの手紙か?いや、あり得ないよな。早すぎ。それじゃあどうしてだ」
心中で呟きながら、机まで歩き、ペーパーナイフを手に持ち、手紙を開いた。
(ほうほう)
心中で適当なことを呟きながら、手紙を読み進める。
内容としては、まず最初に社交辞令のような物が書いてあった。
そして、手紙の下部にクラスとかが書いてあった。
(スゲぇな。ブラックなのかな。一日で送ってくるなんて。相当ブラックだよな。大丈夫かな教員の皆さんは)
心中で呟きながらも、
(はあ、マジか)
自分の入れられたクラスに対し、言葉を漏らさざる終えなかった。
「はあ、よりにもよってAクラス。Aクラスねぇ。ホンマ最悪やわぁ~。なんでやろな、・・・倫理の問題、そこまで配点ないのかよ」
言葉を漏らし、腰を椅子に下ろし、頭を机に突っ伏した。
(最悪だぁ、いじめられるかも。私、弱いからなぁ精神力)
これからの事に尋常ではないほどの緊張や、恐怖を感じ、
(あぁ、胃がぁ、胃がキリキリする。うぅ)
お腹が痛くなり始めた。
…………
世の中、どれ程嫌なことがあろうと、時間という物は無慈悲に進んでいく物で、数週間が経ち、入学式の前日となりました。
幸い主席ではなかったようで、挨拶などの仕事を任せられなかったのは良かったです。
それにしても胃がキリキリします。何ででしょうかね?本当に嫌な予感がして辛いです。
「あぁ、お腹痛い」
小さく声を漏らす。本当に明日が嫌だからだ。
明日は多分、やったとしても教師の挨拶がメインだろうし、そこまで警戒しなくても良いと思うが、怖い物は怖いのだ。しょうがないだろう。
「はあ」
溜息を漏らすと、
「それ程嫌なら、行かなければ良いだろう」
と先生に言われてしまった。
「確かにそうですけど・・・何と言いましょうか・・・・行かないは行かないで、怖いんですよ」
先生に返答をすると、
「面倒くさ」
と言われてしまった。
(たっ、確かにそうだけどさ。言わなくても良いじゃん。直接さ)
心中で思いながらも、ウジウジしていると、
「そう言えば君。入寮の話ってどうなったんだい?」
と問いかけられた。
入寮の話とは、ちょっと前に勧誘の手紙が届いた、って話だ。
「あぁ、それなら蹴りましたよ」
私が先生にすぐに返答をすると、
「どうして?」
当然の質問が返ってきた。
「いや、何か怖くないですか?一人部屋を貰えるらしいですけど、何かあるかも知れないので」
(いじめが起きたら、部屋に侵入されて、物を盗まれる可能性もあるからね)
心中で思いながら、彼に返答をすると、
「でも、此処からだったら、ちょっと遠くないかい」
と気にしていたことを言われた。
「まあ、そうですけど・・どうにかなるでしょう。きっと」
短慮なことを言うと、
「う~ん。でも、相当面倒くさいことになると思うよ」
彼に言われてしまった。
(まあ、確かに馬車で登校することになるしな。だって、しょうがないじゃん、一応は上位貴族だし、徒歩登校なんて危なくて駄目だろうし)
心中で呟きながら、自分の立場に対して、うんざりとする気持ちを抱いた。
いつか、この立場とか、しがらみとか全部捨てて逃げてやろう。
「まあ、そうですけど、・・どうにかなるでしょ。きっと」
先生に返事を返すと、
「楽観的すぎるんじゃないかな」
と言われてしまった。
「良いんですぅ~私はこう言う人間なんです。それに全寮制じゃないから問題ないんですぅ~」
先生に小言を言われるのも飽きたので、話を終わらせるつもりで言い、ベッドの中に入り、その後は先生の発言を全て無視して眠りについた。
…………
「あぁ、ねむ」
眠りから覚め、まとまりが付かない頭で言葉を漏らす。
マジで眠いわ。
目を覚そうと私はベッドから降り、ちょっと体を動かした。
そしてそのあとは、適当にお水を飲んだり、おトイレに行ったり、ちょっと予習をしたりした。
『コンコンコン』
私が一通り、やることが終わり、着替えようと制服を手に持とうとしたところで、扉が叩かれた。
(朝ご飯かな。それにしてはちょっと早いよな。いや、早くはないか、6時だし)
心中で漏らしながらも、
「どうぞ」
と扉を叩いた主に声を掛けると、
「失礼します。お嬢様。お着替えのお手伝いを致します」
有無を言わせない物があった。
(何かちょっと失礼じゃね)
心中で不思議と感じながらも、
「一人で着替えられるので大丈夫です」
私が言うと、怪訝な表情をされ、
「お嬢様がお一人でお召し物を替える、その行為は看過できかねます」
と言われてしまった。
(何故だろうか。意味が分らない)
疑問に思いながらも、顔には出さず、
「どうしてでしょうか?」
笑顔で返すと、更に怪訝な表情になった。
(なんて思われてるんだろう)
と思いながら、彼女の返答を待っていると、
「お嬢様はこれより、数多の貴族様がおられる学院に参るのです。それなのにも関わらず、お嬢様のお召し物に問題があれば、お嬢様が軽く見られるのに加え、ブランドー侯爵家全体の品位も疑われるのです」
と返答を頂いた。
(まあ、確かにそうだな)
納得できたとともに、
(貴族って面倒くさいな)
という思いが、大きくなるのを感じ、
「分かりました。それではお願いします」
と言い、私は彼女の身を任せるのだった。
本当に貴族というのは面倒くさい。
嫌になるよ。個々人の行動が、家全体に影響を与えるなんて・・・まあ、これは平民もか。




