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第238話 誤解を解き、幾年が過ぎた。

 おねぇさんと会えた。

 お嬢様の部屋に行き、お嬢様の指示に従い、目を瞑ると私を、地獄(牢屋)から出してくれた人と再会できた。

 嬉しかった。凄く、凄く。

 でも、近づこうとするとお嬢様に止められてしまった。


 そして椅子に座らせられると、おねぇさんは、

「さて、先生。嘘を明かしましょうか」

 私に言うようで、誰に言っているのか分からない言葉だった。


(嘘ってなに?先生?お嬢様の事かな?)

 心中で思いながら、

「嘘って?」

 と小さく声を漏らすと、

「あぁ、分かったけど・・・」

 お嬢様は今まで聞いたことのないほどに、怪訝な表情をし、嫌な声を出していた。


(お嬢様。大丈夫かな)

 と思いながらも、おねぇさんの方を向き直ると、そこにはお嬢様がいた。

(どうして?さっき隣に居たのに)

 心中で思いながら、横を向こうとすると、

「私。エミリー・ブランドーとして。初めまして、アンリマ・ウィンズリーさん」

 冷たい嘘のような、何処か人を引きつける笑顔のような表情で言ってきた。


「どういう意味ですか、おねぇさん?」

 意味が理解できなかったので、問いかけると、

「貴方の横にいる人は、エミリー・ブランドーではない、という話です」

「はっ、はぁ?」


 未だに意味が理解できずに、微妙な返事を返してしまう。

 すると、彼女の、おねぇさんの瞳の奥に、冷たい光が一瞬見えた。


 冷たい光を直ぐになくしたおねぇさんは、

「先生、魔法を解いてください。姿は何時もので良いですよ」

 私に聞かせるように、お嬢様に声を掛けた。


「もっと他にもやり方があったんじゃないか?」

 お嬢様は今までとは、多少異なった冷たい声で言い、私の目の前に出た。


「どんな方法が?」

「それは・・・」

「思い付かないのなら、言わないでくださいよ」

「・・・・」


 おねぇさん。・・・エミリー様は、先程まで座っていた椅子から立ち上がり、

「せんせ。はやく解いてくださいよ」

 と呟く様に言い、お嬢様・・・先生と呼ばれた人物に迫った。


「分かったよ!戻れば良いんだろ。戻れば!」

 先生と呼ばれた人物はそう怒るように言い、純白の髪色から、その髪色を漆黒に変えた。

 エミリー様は少しだけ、驚愕したような表情をしたのち、

「こう言うことです。実は、アンリマさん、貴方を助けたこの子と私は、逆だったのです。ごめんなさいね。今まで騙してて」

 手を合わせるようにして、片目を瞑り、頭を下げた。

 ___________

(いやぁ、予想外。確かに、そんな選択肢もあったな。いやぁ、考えてなかったよ。視野が狭まっていたのか、・・いや、単純に思案する能力がなかったんだな)

 心中で思いながら、私は彼女に頭を下げ続けていると、

「えっ、えっ、えっ」

 分かっていない様子だった。


(適当にシナリオを考えて、話すか・・・地味に、これでこの子と私は、結構近しい存在になっちゃったな)

 と呟きながら、彼女の話す適当なシナリオを考え、口を開いた。

 …………

「へぇ~・・・、はっ、そうだったのですか。教えて頂きありがとうございます。エミリー様。それとボンド様」

 彼女は私に頭を何度も、何度も頭を下げ続けた。

(もう、大丈夫かな)

 心中で呟きながら、扉の解錠をし、

「どうぞもう良いですよ」

 扉を開きながら言った。


「あっ、あっ、その、エミリーお嬢様。あっありがとうございました」

 彼女はそう言いながら、何度も頭を下げ、部屋から出て行った。


(もう大丈夫かな)

 心中で呟いたのち、扉を閉め、ついでに鍵も閉め、

「アドリブありがとうございました」

 先生と彼に言い、ベッドに腰を下ろした。


「どういたしまして、大変だったよ」

 彼はそう言いながら、少女の姿のまま、先程まで私の座っていた椅子に腰を下ろした。


 ・・・彼と協力し、アンリマ・ウィンズリーを騙したシナリオはこうだ。超絶省略して言おう。

『私は外に行ってみたかった。

 なので、彼女モンドに協力して貰った。彼女は私に化け、私は彼女に化けていた。

 彼女の知り合いの魔女に協力して貰って、姿を変えていた。

 外に出て、攫われて貴方と会って、あぁだこうだした』

 だ。


「あぁ、終わった終わった。これで、大概の誤解やら、なんやらかんやらは解けました。っしゃぁ」

 小さく漏らしながら、ベッドに頭を勢いよく下ろした。

 そして、ずっと気になっていたことを口に出した。


「先生。もしかしてですが、あの子。アンリマさんのこと気に入りました?」

「どうだろうね?」

「図星ですか?」

「そんなはずがないだろう。僕はそんなにチョロくないですよ」

「雰囲気が気に入ったんですか?」

「だから違うって」

「本当に?」

「本当さ」


(絶対、嘘だと思うんだけどなぁ)

 心中で思いながらも、私は

「さいですか。了解でーす」

 と雑な返事をし、瞼を閉じた。

「君、信じてないだろ」

 うるさい声は聞こえるが、私は無視し眠りについた。


 ・・・えぇと、そのあと。何と言いましょうか、マリーちゃんに起こされて、ビックリしながら、ご飯を食べ、魔法の練習をしました。

 っで、その翌日、武術をして、

『才能ねぇな』

 とお師匠様に馬鹿にされ、そのまた数日後、勉強も再開され、頑張りました。

 騎士団長ヨーゼフさんには、

『神童だ』やら『頭が良い』

 など褒められました。嬉しいですね。


 はい。っで、その一日後マナーの練習も再開され、私は厳しめな練習に絶望しながらも頑張り、夜にはずっと魔法の練習をして、・・・そんな楽しくない、普通で、平凡な、貴族らしい生活をしていると、数年が経ち、私は12歳になりました。

 そう!12歳。12歳です。学院に入学する時期なんです。

 嬉しいですね。弟アルは、4歳になったよ。

はい。ヌルッと終わりました。

第一部完です。

次回からは、第二部『帝国立ルノー学院中等部編』です。


折角なので、この物語のことを言いますね。この物語は、

『クズで終わってる主人公が、他者から奪い、自分の為、国の為、家族の為生きるお話』です。

基本、主人公は、誰かを救うことはありませんし、救われることはありません。騙し、騙されって感じです。

メインは、政治と宗教戦争のお話だったりはする。

あっ、あと主人公死亡、主要キャラ死亡が微レ存。

一応は今のところ決めてる完結を目指したいんだけど。


連絡

次話は19日に出ます。

理由:ストックを溜めるため。

   ないのは精神衛生上良くないのです。ごめんなさい。

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