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第210話 判断の変更

『何かあったのか』

 こう問いかけるカシワギの声に対し、

「暇だったので来ました」

 と答えると、

「そう」

 彼は、そう言い、あとは特に言葉を発しなかった。


(あぁ、暇だな)

 そう思いながらも、そこで数時間を過ごし続ける。


 凄い眠気が湧き始めた頃。

「あぁ、アリスちゃんだ。どうかしたの」

 少しだけ苦手な少女の声が響いた。


(まぁじか、私、ちょっとあの子苦手なんだけど)

 そう思いながら、無視をするのは利益がないので、

「いえ、特に何もありませんよ」

 と返答を返すと、

「それじゃあ─────」

 彼女は、私に近づき、キラキラと目を輝かせながら何かを言おうとして、

「止まれ」

 優しく、何処か厳しい声が、聞こえ、彼女の首根っこが掴まれ、確かロベルトと言うはずの少年に連れて行かれた。


「あれは、何をしてるのですか」

 意味が分らなかったので、カシワギに問いかけると、

「さぁ、何だろうね。僕は、仲間を増やしてって指示を出してはずだけど」

 彼も理解していないことが分った。


「・・・話は変わりますが、─────」

 私が話しかけよとしたところで、

「アリスちゃん。あとで遊ぼうね」

 遠くから、声が響いてきた。


「・・・・はい、分りました」

 少し迷ったあとに、テントから体を出し、返事をして、また中に戻ってきた。


(えっと、あの話を聞こう)

 先程、問いかけようと思い、声を出そうとしたのだが、

「・・・・・」

 まぁ、話の切り出し方が、分らなくなってしまっていた。


(あぁ、やっべぇ、どうした物か)

 と思いながら、散々悩み続けていると、

「どうかしたのか、話を続けろよ」

 救いの手を差し伸べてくれた。


「分りました」

(ありがとう)

 と心中で呟きながら、返し、

「ノラって人物を知っていますか」

 こう私に恐怖の感情を抱かせた少女のことを問いかけるのだった。

 ___________

 体全体に突き刺すような痛みが響く。

 あの子は、大丈夫だろうか。


「くっ、う」

 耐え難い痛みに小さく漏らしながらも、起き上がり、あの子を探しながら、歩き回った。

 数分間ほど歩を進めると、小柄な、妖艶な黒髪を靡かせる、人形のような印象を抱かせる少女を見つけた。


「アリス」

 私は、小さく彼女の名前を呟いた。

 ___________

「知ってるよ。勿論」

 彼は、そう返答を返してきた。

「どんな人物か教えて貰って良いですか」

 更に問いかける。


「まぁ、色々はあるけど、クズなゴミ野郎」

 と彼は、大分冷たく言い放った。

「と言うと」

 気になるので、更に問いかける。


「あの女は、裏切り者だ。俺達を。此処の奴ら全員を裏切ってる。屑野郎だ」

「何をしたのですが。具体的に」

「あいつは、密告をした」


「・・・アリス。君は、どうしてそんな事が気になったんだ」

 彼は、未だに少しだけ冷たく言ってきた。

「その、先程会ったんです。彼女と」

 返答を返すと、

「そうか、気を付けろよ。あの女に気に入られたら、死んでも逃れられないぞ」

 若干の恐怖が孕んだ声で忠告をして、

「あっ、そうだ。君にお願いをしても良いかな」

 彼は、妙案が浮かんだかのように、私に言ってくるのだった。

 …………

 そして、今現在、ノラと会った辺りまで再び来ていた。

 理由としては、

(何らかの切り崩せる糸口でも見えないかなぁ)

 と思ったからだ。


 多分、現状、陣営を壊すことは可能そうだ。

 だけれども、彼女自身を壊す。

 ・・・表現が良くないな。

 彼女の内通者としての地位を破壊するとでも言おうかな。

 ちょっと違うかも知れないな。


 ・・・えぇと、まぁ、目標は、

『協同体における彼女の地位の破壊』

『内通者としての地位の破壊』

 取り敢えず、この2つだ。


(よし、頑張ろ)

 こう思いながら、誰かに話を聞こうとすると、

「アリス」

 と声が聞こえてくるのだった。

 ___________

「んっ」

 彼女は、そう小さく、驚くように声を漏らしながら、私の方に体を向けた。

 そして、

「あっ、イレーネさん。・・その、大丈夫でした、か」

 と言いながら、駆寄り、私に問いかけた。


「えっ、その、勿論よ」

 私は、少しぶっきら棒に返してしまった。

「そう、ですか。良かったです」

 彼女は、際立つような笑顔で言ってきた。


「とっ、当然よ」

 再度、ぶっきら棒になってしまった返答をすると、

「そうですか」

 彼女は、『凄い』と言うように、笑顔で返答をしてきた。


「あっ、貴方は、ずっと此処に居たの」

 問いかけることにした。

 彼女のような可憐な子は、色々と危ない。

 だから、迂闊に近づかないように注意しようと思ったからだ。


 彼女は、少しだけ、押し黙った後に、

「駄目。でしたか」

 こう問いかけてきた。


「・・・えと、その、危ないから、その、これからは、やめましょうね」

 待ってくれていたかも知れないのに、強い言葉で注意しては、あまりにも彼女が可哀想だと思い、私が回答を返すと、

「ごめんなさい。それでは、イレーネさんとこれからはどう会えば良いのでしょうか」

 と再度の質問を投げかけてきた。


「えと、そうね。・・・私が、アリスを探し出すわ」

 こう答えるのだった。

 ___________

 自分が探し出す。

 こう言ったイレーネに対し、

(・・利用できるかもな。ノラの知り合いなのに加え、私が気に入られている可能性が高い。利益が高いよな。よし、利用する価値があるな。それにもし使えなくても裏切れば良いしな)

 と思いながら、彼女と一番最初にあったとき。


 その時に下した。

『まともに利用できないから、利用をしない』

 と言う判断を翻すのだった。

地味な話しますね。

多分、第一部この編で終わりになるかもです。

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