第206話 地図を見て、笑われて・・・・
イリナに抱きつかれて、その後は、お話をし続け、私は、睡眠をしました。
「・・・あぁ、眠いな」
私は、そう呟きながら、目を擦った。
(はぁ、ねむ。あぁ、眠ろうかな・・やめよ、時間の無駄だし)
こう心中で呟きながら、先程までもたれ掛かっていた壁から起き上がった。
(あ゛ぁぁあ゛あぁ゛肩こる。てか、痛ぇ、あぁあ、辛ぇ)
起き上がった際に気付いてしまったので、心中で呟く。
「あぁ、イッてぇ、はぁ、もう最悪。気分悪い」
眠いせいで、何故かイライラしてしまった。
(気分転換しよ。・・・そこらでも歩くか)
イライラとし続けるのは、良くないので、私は、薄暗い雑居房の中を、そこらに眠っている人々を踏まないように歩き始めた。
(・・・暗いな。嫌になる。・・・・それに静かだ。まぁ、しょうが無いか、此処に居たくて居る奴なんて居ないだろうしな・・・・。それに・・・・)
辺りを見渡しながら、思ったことをつぶやき、押し殺したような泣き声に、なんとも言えないような感情を抱いた。
(気分転換失敗だな)
過去の自分の考えに後悔を持ちながら、
「ふぅ、嫌な気分」
小さく声を漏らした。
(あぁ、それにしても、本当に辛気臭いな)
段々、倍増している嫌な気分にそう思いながらも、歩き続ける。
すると、この雑居房で珍しく見覚えのある人物がいた。
「・・こんにちは。何をしているんですか」
私は、床を見つめている男。
昨日の夜、カシワギより紹介されたマルコに話しかけた。
「あっ、あぁ、君は・・・えぇと、アリスだっけ」
自己紹介をしていないのに、何故か彼は、私の偽名を知っていた。
「・・・どうして、私の名前を知っているのですか」
気になったし、気分転換もしたかったので問いかけると、
「カシワギに聞いたんだよ。それで、どうかしたのか」
彼は、私に問いかけてきた。
「・・いえ、別にどうと言った訳ではないです。・・貴方は何をしているのですか。床を見つめて」
返答をし、質問をすると、
「特に何も。暇だから、カシワギから借りた地図を見てたのさ」
彼は、そう答えてくれた。
「へぇ、そうなんですか。・・・暇なので、見て良いですか」
暇で特にやることがないので言うと、
「良いぞ、幾らでも」
彼は、笑った調子で答えた。
「どうして笑っているんですか」
問いかけると、
「いやぁ、何て言うか、珍しいって思ったんだ」
再度、笑ったように言って来た。
「珍しいとは」
こう問いかけると、
「いやぁ、暇で地図を見るなんて、珍しいって思ったんだよ」
彼は、変な事を言ってきた。
(いやいや、見ることくらいあるだろ。前世の私、やってたよ。マジで暇なとき)
こう思いながら、
「暇で地図を見るのは、珍しくはありませんよ。多分」
私がこう言うと、
「此処に居る奴は、暇なときは、会話するか、寝てるんだ。だから珍しいさ」
こう返答されてしまった。
「はぁ、そうですか、分りました。私は、珍しい変人ですよ」
ふざけて返しながら、地図を覗き見る。
「俺は、別に変人とまでは言ってないよ」
何故か、少しだけ心配したような、恐れるような訂正する声が聞こえてきた。
(此処の子は、皆少しだけ変なのかな。冗談だろ分かると思うんだけど・・・・まぁ、殆どの人とは関わりないし、関わった子達が少し変なだけかも知れないけど)
こう思いながらも、
「分ってますよ。冗談です」
恐れるような調子の彼に言うと、
「そっ、そうか」
安心したように返してきた。
(さぁ、ちゃんと地図を見るか)
私は、心中で宣言し、現在居るであろう位置を探した。
地図には、中心に多分、本館である大きな屋敷が描かれており、そこの真横に、大きめな建物が描かれて、辺りに小さな建物が沢山と、壁のような物が各所にあった。
(多分、これだよな。この2つ以外は、こんな大きな雑居房を隠せるような建物はないし)
本館であろう建物の隣にある大きめな建物に、目星を付けた。
(・・・・これ、脱走できるのか。何重にも壁あるぞ)
私は、地図を見てそう呟いた。
目星を付けた建物には、壁が2個。
地図に映っている全体を囲うように壁が1つあるのだ。
(・・辛くないか。これは。どうやって脱走するつもりなんだ。抜け道でも知ってるのか・・・・それ以外、考えようがないよな)
こう思いながら、地図を見続けた。
(私を買った人間が、こんなに脱走対策をするとは考え辛いな。てことは、昔からこんな事をやっていたのか。それとも、元々、犯罪者でも収容していた貴族だったのか。・・・てか、そんな貴族存在するのか。私、詳しくないんだよなぁ)
こう思いながらも、頭を回し続けた。
「何か、気になった事でもあるのか」
私の隣にいたマルコが私に問いかけてきた。
(・・・質問に答えてくれるかな・・・・まぁ、聞いてみるか、一応は)
カシワギのように教えてくれないかな、と思いながらも、
「どうして、こんなに壁があるんですか。私を買っていった貴族様は、これ程の脱出対策をする知性を感じなかったのですが」
私が問いかけると、
「ぷっ」
彼は、笑った。
(何故に笑う)
そう思いながらも、回答を待った。
「お前、面白い事言うな」
彼は、笑ったようにそう言い、再度笑った。
「・・笑ってないで、教えてくださいよ」
何時までも、笑っている彼に業を煮やし、言うのだった。
もしかしたらの話しますね。
あの、もしかしたらこの作品の主人公、人道とか道徳とかそういったものから逸脱した行動をとるかも、多分予定では、この編ではない予定だけど




