第204話 自由解放軍?
「自由解放軍ですか・・・」
問いかけるように言うと、
「俺に付いてきて、詳しく説明しやる」
彼は、快活な笑顔を顔に浮かべながら言ってきた。
付いていかない方がいい気がする。
でも、何故か。何故かは分らない、だが、彼に惹かれる物があるように感じた。
(カリスマなのか・・・違う。何だ。分らない。魔法か)
私は、意思とは裏腹に、彼に惹かれ居ている精神を正すように心中で呟きながらも、彼に付いていった。
彼は、牢屋の一番、端まで歩いてきた。
(案外、この牢屋デカいな、此処までに、数分掛かった。よく落ちないな・・・もしかして、此処って、地上にある施設なのか)
私は、そう思いながらも、何故か、存在しているテントを見つめていた。
(何でこんな物があるんだ・・・多分、ボロ服を掛け合わせてるのか・・・・これが回収されてないことから、此処は、そこまで監視が来ないのか)
そう考察しながらも、彼がテントの中に入っていったので、私も続いた。
「お前らは、引け。一対一でコイツと話す」
彼は、待機していた少年少女にそう言った。
「・・・それで、自由解放軍に入る気になった」
私と彼以外が、居なくなったら、彼は、私にそう問いかけてきた。
「微塵も。君達の理念も、目的も、私にある利益も、何もかも聞いて無かったからね」
頭を横に振った後に、そう言うと、
「そうか・・僕達は、奴隷を解放し、自由を求める軍団だ」
簡単に目的と理念を説明した。
「それでは、利益は」
分っては居るが、問いかけると、
「君を此処から解放しよう」
彼は、直ぐに私に言ってきた。
「私が、貴方の仲間になる必要性は」
「君が仲間になれば、頭数が揃う」
「・・・そうですか、それでは、具体的な計画は」
「僕達の陽動部隊が、まず脱走する。その後は、隠密で脱出」
「成功確率が高いように思えませんね」
「これが、一番成功確率が高いだろう」
「そうですかね、・・今まで成功させた回数は」
「0回、此処で生まれた組織だからね」
「陽動役が使用する武器は」
「協力者に貰うよ」
「それでは、奴隷文を解除する方法は見つけていますか」
「あぁ、勿論」
「教えて貰うことは」
「仲間になるのなら」
(・・・仲間になっても、構わなそうだな、最悪、期待以下の働きだったとしても、捨てて逃げれば良い)
こう思いながらも、質問を続けた。
「その軍団から抜けることは可能で」
「あぁ、勿論」
「それでは、貴方の名前は」
「・・・カシワギだ」
一時的に仲間になることを決めた私は、彼の名前に驚いた。
(和風の名前だな。私と同類なのか)
そう思いながら、
「貴方は一体何者で」
こう問いかけると、
「さぁ、何者だと思う」
肩を竦めて返されてしまった。
「それで、君はどうする」
彼は、私にそう問いかけてきた。
(怪しいところが多い、例の謎カリスマ含め。だが、私に利益が多いのも事実だ。これには、乗るべきだな)
「一時的に、仲間になりましょう。貴方達を最大限、利用させて頂きましょう」
こう一部を強調しながら、笑顔で返すと、
「あぁ、俺達も君を最大限に使ってやろう」
私にそう行ってきた後に、
「それで、君は、戦えるか」
と問いかけてきた。
「どっちだと思います」
先程の問いに対する報復のために、私が言うと、
「さぁ」
彼は、そう返し、
「君は、何て名前なのか教えて貰えるかな」
と質問を投げてきた。
「・・・」
(どうした物か、答えるべきか・・・本名は駄目だよな、何たってこいつらが貴族に対して、怒りや恨みを抱いている可能性が高い。それならば、偽名か・・・・『アリス』これでいくか。適当に。何かしっくりくるし)
彼に沈黙を返しながら、色々と考えた後に、
「私は、アリス。ただのアリス」
名字がない、と言うことを強調しながら言う。
(・・・これは、悪手だな。失敗した、どうする)
頭を回しながらも、彼、カシワギの反応を見ていると、
「そうか、良い名前だな」
と言ってきた。
(・・・・疑われたか。・・・奴の発言に嘘の色は見えなかった。だけど、警戒するべきだな。何らかの魔法に、私の精神が毒されている可能性が存在する)
私は、こう思いながらも、顔面には、笑顔を貼り付け、
「先程、忘れていた質問をしても良い」
と問いかける。
彼は、
「あぁ」
そう、返事を漏らしたので、
「それでは、協力者とは何者ですか」
と問いかけると、
「・・・・それは・・・・・言うことは出来ない。作戦開始の時に教える」
こう返答をしてきた。
(まっ、当然よな。此処で、安易に教えてたら、裏切ることが確定したけど。色々なことを考える能力があるようだし、ヤバくなるまで付いていくか)
私は、そう思いながらも、
「分った、これから宜しく、カシワギ」
こう言いながら、彼に手を差し出すと、
「よろしく頼む」
と言いながら、手を握り返してきた。
「・・・そろそろ、離して貰って良い」
数分間、握手の姿勢を取ったまま、固まっていた私達の状況に、
(離すタイミング見失ったぁ)
と思いながら、そう発言をすると、
「あっ、すまん」
彼は、そう言いながら、急いで手を離し、少しだけ離れて、
「えぇと、そっ、そ、そうだな、君にも、僕の仲間達を紹介しよう」
焦ったように、オロオロとしながら、私にそう言ってくるのだった。
そういえばの話
現状主人公は、鞭で叩かれたせいで、切り傷、内出血とかを結構たくさんしています。
触れられてないのは、みんながみんなそんなもんだからです。




