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第202話 運送、雑くね?

はい。新編です。

(落ち着こう。一端落ち着こう。一端、そのほかのことを纏めよう)

 先程、魔法を使おうとして、何故か不明だが、使えなかったために、混乱していた脳内を落ち着かせるように呟き、色々な感覚を研ぎ澄ませた。


『ガタガタガタ』

 地面が、不規則に揺れている。


(馬車か。それとも、何か別の移動手段だよな・・・)

 ゆっくりと目を開きながら、心中で呟く。

 視界には、微妙に漏れ出ている光によって、照らされた箇所が見えるだけだった。


(・・・木の箱。私よりも、少し大きい程度の・・・これは、多分、使えない理由には関係ないよな)

 こう思いながらも、体をモゾモゾと動かして、小さく空いている穴に、目を近づけた。


(・・・小さすぎるな、流石にこれは、無理だ、見れねぇ。・・・耳に集中力割くか)

 流石に無理だったので、耳に殆どの集中力を割くことにした。

(・・・・何か聞こえる気がする・・・何だ)

 私の耳には、微妙に、小さく話す声が聞こえてきたような気がした。


(聞こえないな・・・車輪の音と、時々ある、多分、石か何かを跳ね飛ばす音がうるさすぎる)

 理由を呟いた後に、

(よし、諦めるか。どっかに到着した後に、行動を起こそう)

 と決定をするのだった。

 …………

 馬車は、数時間走り続け、そして、揺れ続け、喧しい音を鳴らしていた車輪は、完全に動きを止めた。


「・・い、気をつけろよ、落としたら、首が飛ぶぞー」

 この若干しわがれた声が、段々と近づいてきた。

「はっ、はい・・・これって、何が入ってるんですかね」

 若々しさを纏った声も、聞こえた。


「あぁ、お前は知らないのか・・・玩具だよ」

 しわがれた声は、そう問いかけに対して返答を返した。


「玩具。・・・どうしてそんな物を」

「知らねぇ、てか、知りたくねぇよ、んじゃ、運ぶか」

 返答の声が響くと、私の体に浮遊感が起こった。


(ぎゃあああぁ、怖ぇ、待って、マジで怖いんだけど、落とすなよ、落としたら、お前らを絶対に呪ってやる、今後一生・・・)

 此処まで思ったところで、悩んだ。どんな呪いを掛けてやるべきかと。


(どうしようかなぁ・・・まぁ、よし、落としたら、お前らに今後一生涯、来世も含めて、恋人が出来ない呪いを掛けてやる)

 少し悩みながら、小さく、呟いた。


 その後は、数分間、持ち運ばれ続け、私は、どっかの部屋に放り込まれた。

(イッタ、イッてぇ、馬鹿が。此処まで、慎重に運んできたくせに、どうして、どうして、最後に雑になるんだよ、馬鹿なのか、それとも、阿呆なのか、馬鹿なのか)

 文句の言葉を漏らし続け、数分間、放置されていると、

『ガタッ』

 と言う音が鳴り、先程まで、微かに光が入り込んでいたところに、バールのような金属製の何かが差し込まれていた。


「ッン」

 驚いて、声が口からは、そんな声が漏れ、

(ぎゃあああ、あっぶね、馬鹿だろ、馬鹿だろ、バカバカ馬鹿、ホント馬鹿、マジで、本当に、本当に、マジで、マジで。マジで。マジで。馬鹿だろ、危ないだろ)

 心中では、絶叫を漏らしていた。


「薬の効果が、切れてたか」

 小さく、そんな、私の大っ嫌いな声が聞こえてきた。

(あっ、てめぇ、ローブの魔法使いか。絶対に許さないからな)

 私は、怒りの心を抱きながら、そう思っていると、何かよく分らない呟きと共に、私は、牢屋に転がり落ちた。


(今なんて言ったんだ。ウォラーレか。よく分らなかったんだけど)

 そう、よく分らない呟きの事を考えながらも、転がり落ちた時の体勢から、立ち上がろうとすると、

「動くな、そして、魔法を禁止する」

 この声が響き、私の体からは、力がそれ以上入ることも、抜けることもなく、動けなくなってしまった。


(やめろー)

 心中で、叫びながらも、奴を睨んでいると、何も言わずに、どっかに行ってしまった。


(・・・・待って、マジで、本気で言ってるの、私、この姿勢のままなの)

 現在、意味の分らない、体勢のままで居続けることに、恐怖感を抱きながら、

(ふざけんなよー、早く解けよ、てか、・・・ほんと、ふざけんなよぉ)

 心中で、文句の声を叫ぶのだった。


 何故か、少しだけ、不思議な感情が湧いてきた。

 多分、抱かないようにしていた心配やら、恐怖やらそんな感情だろう。


(はぁ、・・・・これから、どうなるんだろうな。先生大丈夫かな・・大丈夫なのかな、私は。生きれるのかな)

 一度心配になってしまうと、色々更に、心配やら恐怖が湧いてきてしまった。

(はぁぁああ、やめだ、やめ、こんな事考えた所で、何の足しにもならない。私脳みそにある記憶領域を無駄に占領するだけだ。よし、やめだ、やめ。別のことを考えよう。そうだ、そうしよう)

 心中で、大きな、大きな、そんな声を上げ、思考を絶えず色々なことで満たし続けた。


 数時間、そんな事を続けていると、

『コツコツコツ』

 一定のリズムで響く足音が聞こえてきた。


(何だ。一体。・・・誰だ。ローブの魔法使いの足音じゃないよな、感覚が違うし・・・それじゃあ、一体誰なんだ)

 知らない足音にそう思っていると、牢屋の格子を覗くように、一人の少年。

 私と同年代ほどに見えつ男の子がいた。


(何だ、誰だ。何者だ)

 警戒をしながら、少年を睨むと、彼は、

『ニタァ』

 と効果音が似合いそうな、気味の悪い、反吐が出そうな笑顔を浮かべるのだった。

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