第201話 随分と面白い事をしてくれるね
今回のサブタイは、珍しく、発言から取りました。
そこまで、意味はありません。
(何だろうな、これ)
モンドは、そう思いながらも、舞い落ちた手紙を、ぼろ切れのような物を身に纏っている、気絶していそうな少女を視界の端に収めながら手に取り、確認した。
すると、そこには、何時か見たことのある、少しだけ雑で、汚い文字が、殴り書きされていた。
(ククク、あの馬鹿は、随分と面白い事をしてくれる)
心中で、小さく笑いながらも、
「起きているかい、お~い青髪、どうなんだい、早く答えなよ」
汚らしい少女に問いかけた。
すると、少しだけ、動いた後に、少女は顔を上げた。
(気絶してなかったみたいだね、多分、死んだふりでもしてたのかな)
モンドは、そう思いながらも、
「今から、青髪、君は、僕の庇護下に入った」
宣言するように、呟いた後に、
「・・それと、命令だ、そこから降りてくれないかな、君の身体は、野良犬並に汚い」
と命令をした。
「・・・・」
少女は、返事を返すことはなかったが、怯えた様子を見せながら、ベッドから降りた。
「それで良い、それじゃあ、手を挙げて」
と再度命令をし、彼女に彼女に命令を下し、面倒くさい水魔法を展開された。
すると、彼女は、恐れるかのように、手で顔を守る動きを見せた。
「挙げてくれるかな」
薄ら寒い、教え子の笑顔を再現しながらこう言うと、
『ビクッ』
と驚きながら、彼女は、オロオロと手を挙げた。
(あの子の笑顔、怖がられてるな・・・嘘の笑顔だから、しょうが無いか)
モンドは、こう思いながらも、近づいていき、作りだしていた、水の塊を、用いて、彼女の体を洗った。
数分間、怯え続ける、彼女に、面倒くささを抱きながらも、一応は、キチンと、お願いされたことを頑張って遂行したモンドは、
「・・・それじゃあ、そのベッドで寝てくれないかな」
そう言うと、最初に座っていた椅子に腰を下ろし、手に持っていた手紙を机の上に置いた。
その後、モンドは、手紙には、見向きもせずに、帰ってきた教え子に、どんな無理難題を押しつけようかと考え、混乱している少女を無理矢理にでも、ベッドに入れて、眠らせた。
その間も机の上には、
『先生へ。
奴隷の少女をそちらに送りました。
もし、成功しているのだとして、私が帰ってきてない場合は、この手紙を再度、私に飛ばしてきてください。先生は、神様なので出来ますよね。
本題です。送った少女を、保護してあげてください。お願いします。
彼女を洗ったり等々です。お願いしますよ。守らなかったら、許しませんからね。
それと、送った翌日、適当なストーリーを付けて、彼女をブランドー侯爵家としても保護をお願いします。
ストーリとしては、偶然、庭に出ていたら、彼女が迷い込んだとかです。
まぁ、時間が無いので、ストーリーは、先生がお願いします。
P.S
私の心配は、しなくても大丈夫ですよ。
最強で、尚且つ天才な私は、絶対にそこに戻りますので。
お元気で』
と雑に殴り書きされている手紙が、置いてあるのだった。
___________
最初に男の叫び声が響いた。
おねぇさんへの返答を考えていた私は、驚きながらも、牢屋の中で縮こまり、目を瞑った。
すると、何度かまた、叫び声が響き、倒れ込むような音が響いた。
怖かった。怖かった。
(おねぇさん、お父さん、お母さん)
小さく、何度も、何度も、口には出さずに、繰り返し続けた。
おねぇさんの声が響いた。
今までに聞いたことがないほどの、大きな、大きな声だった。
驚きながらも、目を見開く。
おねぇさんは、倒れ込み、私の方に優しい、暖かい視線を向けていた。
「おねぇさん」
呼びかけようとした。
だが、私の声は、喉の辺りで、静かに消えていき、突然、まばゆい、目が痛くなる場所に移動した。
(どうして、助けて、おねぇさん、お父さん、お母さん、こわいよぉ)
うずくまり、涙を流しながら、縮こまる。
フワフワとした感覚があった。
お父様と、お母様と暮らした屋敷を思い出す感触だ。
懐かしさを抱きながらも、増していく恐怖に、声を漏らしそうになると、
「起きているか、お~い青髪─────」
こう、私に問いかける、おねぇさんの声が聞こえてきた。
(おねぇさん。良かった)
私は、そう思いながらも、ゆっくりと頭を上げる。
視界には、数日間、沢山話しかけてくれた。優しいおねぇさんの姿はなく。
髪色以外は、良く似ている女の人が居た。
(おねぇさん・・・)
恐怖を抱きながらも、不思議な安心感を抱いていた私は、複雑な気分になりながらも、おねぇさんに良く似た銀髪の女の人の指示に従った。
すると、何処からともなく、水を創り出した。
それに、お父様と同じだと思いながらも、少し怖くなり、身構えると、女の人は、私の体を洗ってくれた。
銀髪の女の人は、私を洗い終わると、綺麗なベッドを指差しながら、
「そのベッドで、寝てくれないかな」
と言ってきた。
『本当に、私が寝て良いのか』
分らずに、戸惑い続けていると、女の人は、無理矢理、寝転がせるのだった。
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(・・・大丈夫か。どうだ。私は、生きてるか・・・此処は何処だ。状況を整理しろ・・)
目を瞑りながら、頭をフル回転させた。
すると、一つの結論に至った。
(多分、掴まってしまったな・・・もっと、もっと、もっと、良い案があっただろうに、私は、何をやってるんだ。馬鹿。馬鹿。馬鹿。馬鹿)
自分を貶しながらも、手を動かそうとした。
だが、手は、拘束されているのか、動くことはなかった。
(チッ、しょうがないか。どうする、魔法で鎖をぶっ壊すか)
私は、そう思いながらも、無計画に、魔法を発動させようとしたのだが、
(・・・あれ、発動できない。何でだ。どうして。奴隷の紋の影響じゃないよな。激痛がないもん。それじゃあ、どうして・・・)
まぁ、発言の通り、魔法が発動することはなかった。
次回から、新編『解放軍編』
多分、次回でキャラクターが死ぬかも。
あと、殺害シーンもあるかも。
感情移入は、まぁ、しない方がいいかもです。




