表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/385

第197話 前提条件の崩壊、代替案の作成

 化粧をした女は、その後、私を、ジロジロと気持ち悪く、舐めるように見つめ、

「絶対に、届けてくださいませ」

 こう声を漏らし、この牢屋から出て行った。


 先程まで、値段に戦々恐々としていた私は、

(待てよ、マジで、私、売られたの、マジ、てか、奴隷の紋って何)

 こう混乱をし、

「・・・売ったの」

 問いかけるように、突っ立ていた、不潔男に視線を向ける。


「・・・やぁ~と、てめぇ、みたいなクソガキと、さよならできる」

 男は、私の視線の意図を感じとったのか、そう発言し、どっかに行ってしまった。


(やばい、やばい、当初の計画が、狂った。時間を掛けて、例の女の子と、仲良くなるはずなのに。・・・どうする、どうする、どうすr。・・・どうする。どうやって、動く。どうやって、動くべきだ。どうやって動けば・・・・)

 売られるまで、2,3日と制限時間が、定められてしまったために、私は、焦って頭を回した。


 ・・・数時間、頭を回し続け、壊れてしまった計画、その代替案を考えた。

 考えたのだが、結局は、まともな、成功する可能性が高く、被害が少ない案。

 それが、思いつけることはなかった。


(どうする、どうすれば、どうやれば、何が正解なんだ)

 私は、迷いながらも、立ち上がろうとし、

『ガシャン』

 と音を立てながら、倒れてしまった。


(忘れてた、拘束具、付けられてたんだった、あぁぁ、もう、あぁぁ、もう、もう、もう)

 非常に大きな、吐き気さえ抱く、そんな苛つきを覚えながら、そう思った。その後、

(どうやれば、どうすれば、売られない・・・)

 頭を、再度回し始めると、耳障りな、うざったい、大きな、大きな足音が聞こえてきた。


(何だよ、邪魔だ)

 私は、こう小さく、心中で、呟くと、

「─────」

 何かを言う声と共に、牢屋の扉が開いた。


(・・・邪魔だ、邪魔だ、邪魔だ、うるさい、ウザイ、ウザイ)

 私は、更なる苛つきを覚えていると、

『ガシャン』

 金属音が、何度か響き渡り、今まで、枷をされていた身体が、解放された。


(・・・・何の意味があるんだ)

 先程まで、代替案を考えるのに、必死だった私の思考は、その疑問を抱いた。

「ありがと、・・何の意味があって、外したの」

 邪魔になりそうな疑問を、問いかけると、

「飯だ、何度も言わせるな、殺すぞ」

 こう言われてしまった。


(・・・そう言うことか)

 納得しつつ、

「そう」

 小さく返事をすると、不潔な男は、木の器を置いて、どっかに戻って行ってしまった。


(さて、一応、食べるか)

 私は、心中で、そう呟きながら、黙々と器の中身を食べた。

 …………

(落ち着いた、さて、どうするか)

 ご飯を食べ、少しだけ落ち着いた私は、そう思いながら、再度頭を回した。


(私が、買われたのは、この顔のせいだ、それ以外、考えられないよな)

 買われた理由を考えた私は、

(それじゃあ、この顔がグチャグチャにでもなれば、買われないのか。・・・・もう、遅いか、買われてるはずだから。・・・これは、最終手段か。・・・そっ、それじゃあ、どうすれば・・・・)

 と数分間、考え続けたのだが、結局、最善策は思い付くことが出来なかった。


(あの女の子に会わないと、もしかしたら、2,3日の間に、心を開いてくれるかも知れないし)

 私は、そう思いながら、牢屋から出て、彼女の部屋に向かった。


「ご飯、食べますか」

 笑顔を顔に貼り付けながら、そう声を掛けると、

『コクンコクン』

 彼女は、少し私を、

『ジーッ』

 と見つめた後に、頭を縦に振った。


「そうですか」

 私は、ご飯を渡すと、彼女は、黙々と食べ始めた。

 …………

 数分後、彼女が食べ終わり、沈黙が続いていると、

「おっ、おねぇさん」

 私とは違う、か細い声が響いた。


(誰だ・・・・)

 一瞬、警戒を抱き、

(って、まぁ、この子、以外居ないか)

 当然のことを思い、

「どうしたの」

 短く問いかける。


 すると、

「おねぇさんは、居なくなっちゃうの」

 こう問いを返された。


「・・・」

 一瞬、私は、返答に迷い、

「どうでしょうね」

『分らない』

 とでも言うような、演技をし、そう言う。


 すると、

『何処にも行かないで』

 こう言うような、縋るような、救いを求めるような、哀れな視線を感じた。


(・・・・この空気は、駄目だ。いけない)

 こう視線とともに、感じた私は、

「何か聞きたい事ありますか、私が答えられる事なら、なんでも答えてあげましょう」

 極めて陽気な、先生と話している時くらいの声で話しかける。


「・・・」

 彼女は、

『どうしてそのような事を問いかけるのか』

 それが、分らないように、頭を動かした。


「兎に角、何でも聞いて下さい」

 私は、無理矢理にでも、空気を変えたいので、再度問いかけると、

「・・・おねぇさんは、どうやって、入ってるの」

 質問をしてくれた。


(ありがと)

 心中で小さく呟きながら、

「そうですね・・・」

 答えても良いのかどうか、これを考え始めた。



(駄目な気がするんだけど。だって、普通に、魔法って確か、一五歳からだよね。それで、私は、九歳だよね・・・駄目だね)

 話してはいけないことだ、と判断した私は、

「ごめんなさい、それは、話せません」

 と答える。


『どうして、教えてくれないのか』

 こう非難するような、悲しそうな視線が突き刺さった。

「ごめんなさい。本当にごめんなさい」

 その為、私は、こう謝罪の言葉を漏らすのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ