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第2話 成長

 父親の頬ずりは絶対に長引く。

 体感では十分程度だと思う。知らんけど。


 誰か助けて~と発言するのもいいのだが、この言葉ではたぶん誰も来ないだろう。

 最初は止めてくれたんだよ。でも、最近は皆いつもの事だ、と諦めているっぽいよね。ほんとやめて欲しいよ。これ虐待では? ……まあ、良いか。

 さて、それじゃあどうすればいいか、それは至って簡単だ。


 寝ればいい。

 寝たら嫌なことから大抵の逃れられる。

 それに加えて時間が経つのが早い。だから父親が飽きるまで寝ればいいのさ。

 いやあ、画期的だ。やっぱり、僕は天才だわ。


 心中で大変に自画自賛をした。

「エミリー返事をしてくれないか」と声が聞こえたような気がした。だが、まあ気のせいだろう。それよりも実験の方が重要だし。


 俺の思考は、誰にも邪魔させないぜ!

 ……少し馬鹿らしくて恥ずかしいわ。……さて、まぁ前述したこの方法には一つ、たった一つだけ弱点がある。

 それはまぁ、なんだ。あれだ、あれ。眠気が来ないことがあるって言うあれさ。

 まあでも、子供の身体では来ないだろう。多分、うん、そう願おう。


 まだ試したことがなくて、実用性が確立はされていない。けど、この作戦なら絶対に行けるはずだ。多分、うん。

 よし、そうと決まれば早速実行しよう! あれだあれ、善は急げとも言うしな。

 決めて直ぐ実行できるいい男、改めいい女の僕は、目を全力で力強くとじ合わせた。

 だが、眠気が訪れることは無かった。


 どうしてだ。どうして眠気が訪れない。

 そんな事を考えても理由は明白だった。

 頬ずりがウザかったのである。


 僕は邪魔に耐えながら、眠気が訪れるのを待った。

 するとこんな声が聞こえた。

「ごめんよ、無視しないで」と諦めの声である。

 どうやら考え事をしている間に、何かを言っていたようだ。


 少し考えた。これを僕の勝利と言って良いのか、と。

 ……なんか知らんけど無視をされてる、と勘違いをしたみたい。

 ……うん、まあ勝ちだろ。よし!僕の考えた作戦はすっごい大成功をした。

 うん、そうだ。そうに決まっている。ちょっと恥ずかしいが、僕の作戦は成功したんだ。


「もう、これからはやめてよね」と怒った声音で父親に返事をした。

 呂律が回っていなくて、迫力がないがそんな事は今は関係ない。


 それで悲しそうな顔をされた。だが、今度はその作戦に絶対に乗らないぞ! と決意を固めていたので、無視をし続けた。

 すると彼は達観したように言う。「そうか、駄目か。娘の成長は早いな」


 何を言ってるんだ、と思っていると彼は部屋から飛び出していった。

 なぜ飛び出したのか、と更に謎が深まった。

 疑問に残り続けたが、そんな気分なのかなと思うことにした。

 気になって、問いかけたらあの人はまた僕のことを騙すかもしれないしね。僕は同じ失敗はしないのである。


 さて、父親が飛び出していった少し後、母親が部屋に入ってきた。

「大丈夫?」と心配するような声音である。


 心配するくらないならば助けろよ、と思った。

 しかし、何とも申し訳なさそうな声で憚られた。

 見た目が若そうだと、何となく遠慮してしまうのである。何ともだらしがないけど。


「うん、大丈夫」と、私は彼女に返事をした。

 そして、幾許か彼女と会話をした。

 主に話題は父親についてである。彼はどうしてあんな変人なのか、とね。

 すると、彼女は少し濁すように言った。「あの人は、まあそういう人なのよ」


 ……僕は疑問に思った。そういう人って、なんやねん……。





 ……さて、そういえば忘れていたのだけど。

 家庭教師が週に何日か付くらしい。詳しい日数は知らない。教えて貰えなかった。

 どんな人だろう、すっごい美人さんかな? それともイケメンお兄さんかな? とずっと気になっていた。

 だが、私の予想は裏切られ、すっごいキッリっとした渋いおじさんだった。


 前世の特に小学生くらいの頃なら、憧れを抱きそうなすっごい渋くて、格好の良いおじさんだった。少し、厨二病の波動が甦っていた気がしたよ。

 それで、おじさんは週に2~3回だけ、授業をしに来てくれるそうだ。


 一度目の授業を受けた感想としては、全部武術だからすっごいきつかった。けど、それでも僕はこの人を尊敬することにしていた。

 なぜか、それは……この人は名前は知らんが、単純に格好いい。知識がすっごいあるし、力が強い。そして日本人の憧れ高身長、という尊敬せざる終えない人だからだ。あと、時々すっごい優しい。


 ゆえに、僕はこの人を師匠と敬って呼んでいるよ。

 でも、不思議なことに師匠と呼ぶと怒られるよ。ほんと不思議だね。

 前世の僕だったら、美少女に師匠と呼ばれたら嬉しいのにな。


 ___________


 さて、また何年か経った。

 ……まぁ、冗談だが。

 本当はたった、1年のみしか経ってない。


 はい。ということで、僕は6歳になりました。

 そして、この世界には魔法なる不思議存在があることが判明しました。


 魔法って何だ。

 ここまですっごいネット小説的なのだから、きっと魔法は僕にも才能があるんじゃないかと思って心を踊らせていた。

 だがどうやら15歳までは魔法を使えないらしい。曰く、何だか危ないらしい。

 たぶん精神が安定していないから云々だと聞いた。


 うん、僕は精神安定してるからセーフだな、と喜んだ。しかし、どう足掻いても15からじゃないと無理らしい。曰く慣習なんだとか……。


 悪しき慣習なんて打ち崩してしまえ! と心中で毒づきはした物ものの、きっとラノベやらの主人公達みたいに、俺にも何か才能があるはずだ。と考えて、話を終わらせることにした。前世の才能がなかった故のトラウマが掘る起こされるからね。仕方ないね。うん。





 あっ、あといつかは忘れたけど、お師匠様と話をしました。

「私のお父様とお母様の爵位は何なんですか」と知らなかったので聞いたのです。

「お前知らね~のか」とちょっと驚かれました。


 しょうがないじゃないか、と毒づきながらも言う。

「知らないです、お父様達が教えてくださらないので」

「そうかぁ~じゃ、言っていいのかぁ?」と、お師匠様は悩んでいる様子だった。


 少しの間「う~ん」と唸り声が流れ、彼は閉じていた瞼を開けた。

「まぁいっか、言わない奴らが悪いしな! あいつらの爵位はな、今は侯爵だ」と事教えてくれた。

 勝手に教えるとかは良いのだろうか、と少し疑問に思いつつも会話を続けた。

「侯爵だったんですか?お父様もっと爵位ひくそうなのに・・・」

「あっはっは、お前ほんとおもしれぇ~な。自分の父親にそんな事は言わねーだろ」と笑われてしまった。……だってあの人、すっごい変な人じゃん。貴族っぽくないじゃん、と文句を言いたくなった。

 そうして膨れていると、彼は付け加えるように言った。

「まぁ、確かに、あいつの元々の爵位は、低いからな」


少し疑問に思い問いかけた。

「どう言う事ですか?」

すると彼は、しまったという顔をしていた。

「あいつはなちょっと前にあった、戦争で大手柄を取ったんだよ」

そこまで煮えきれない返答に、私は質問を続けた。

「戦争ですか」


「まぁ、お前にはまだ分からないだろうし、分からなくてもいいんだ」

「どうしてですか? 知りたいです」

「おめぇにはまだ早いんだ。うーんと……10歳になったら教えてやろう」

「約束ですよ」

「嗚呼、約束だ」


 約束ではなく今知りたいのだが、まぁ約束を引き出せただけまだいいか。

 少し不満は残りつつも言った。「分かりました」と不貞腐れながら。


 父親の詳しい情報を知るのは少し望み薄かな、と思いつつ私は問いかけた。

「じゃぁお母様の爵位は何だったんですか」

 片方が無理ならば、もう片方もいってみようの精神である。

 さあ、教えてくれるかな!


「あいつの爵位はな、公爵令嬢だったんだよ」と普通に教えてくれた。


「そうだったんですか?」と、ある程度予想通りだったが、良い感じの相槌を打つ。

すると、彼は気分が良くなったのかこんなことを付け足した。

「まぁ驚きだよな。あいつは昔な、何だっけか……。あー、あれだ。『氷の公爵令嬢』なんて、呼ばれてたんだよ」


 お母様にそんな大層な通り名があったのだ。ていうか、そんなに冷たさあるかな、と凄く驚き問いかけた。

「どうして氷の公爵令嬢なんて言われてたのですか」

「それはなぁー」と彼は、背後に居る本人様に気付かずに、言おうとしたところでその頭が叩かれていた。


結構鋭い音が鳴っていた。

……こわ、こりゃ氷より鬼だろ。

 少し引いていると、その考えを読んだようにお母様は言う。

「さっき聞いたことは忘れてね」

 といつもの優しいようで、冷たい声で釘を刺された。


 ああ、なる程確かに冷たいわ。氷だね。

 背筋が凍るような感覚に納得をして返事をする。

「なっ、何も聞いておりません」

修正終わり 2024/07/24

少し文体が変わりました。ごめんなさい。言訳としては、久しぶりにこれを書いたからです。文学小説が楽しすぎる。

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