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第185話 さぁ!行こう!街へ!早く!

「お父様、お母様・・・・・」

 月光と断続的な流水の音が入り込む牢獄のように狭く、汚らしい部屋の中にそのか細い声が、救いを求めるような声が響き渡った。


 数秒の後、少女の声に返事を返すように、ただ無情に、か細い声を上げた少女の希望を打ち砕くように、風の音が響き渡り、少女の意識は暗闇の中に吸い込まれていった。


 そして、次に眼を覚ます頃には砕かれた希望を絶望に変えるかの様に、金属と金属がぶつかり合う音が少女の耳を占領するのだった。

 ___________

「さて、先生、問題です、今は何時でしょうか」

 私ことエミリー・ブランドーは目の前で鎮座しているモンド先生にそう声を掛けると、

「今は・・・・夜の12時半だね、それがどうしたんだい」

 ふざけたような、呆けたような声でそう返答する声が返ってきた。


「・・・まだ、早いですね、1時半くらいまで魔法を教えてください」

 時計を見るのが面倒臭くて先生に聞いていた私がそう言うと、

「もう大分遅いと思うけど」

 私に対して驚いたような感じに言ってきた。


「お父様達はまだ起きてるんですよ、仕事で」

 と言うと、

「君の父親は大丈夫なのかい、こんな時間まで仕事をしていて」

 先生は私にそう質問をしてきた。


「多分、このままいくと、色々怖いって感じですね、最近は少しだけ目が虚ろな事もあるので」

 私が、

(過労死とか、鬱とか・・・)

 と色々と危惧される物を考えながらそう発言すると、

「それは止めた方が良いんじゃないかい」

 心配そうな声を出してそう言ってきた。


(この神様に自分以外を心配する感情があったんだ)

 こう驚きながらも、

「多分、止めた方が良いと思いますけど、止めようにも私にはそんな事を出来る権限もありませんし、度胸も無いんです、それに最近はお父様に会う機会も殆どありませんし」

 私がこう発言すると、

「そうかい・・・忘れてたけど、魔法の練習をしなよ、僕が見定めてあげるよ」

 先生は私にそう言ってきた。


「そうですね・・・何の練習をしましょうかね」

 問いかけるように言うと、

「自分で考えなよ、僕は知らないよ」

 そんな事を先生に言われてしまった私は、適当にやる魔法を考え練習し、深夜の1時半になりました。


「あっ、もう時間ですね、行きますね、先生」

 私は椅子から立ち上がりながら、適当に前創った比較的、動きやすい世界観にあった服を着て、その上に結構ボロボロに見えるローブを羽織った。


「行ってきますね、返ってこなかったら捜索お願いしますよ」

 先生にそう声を掛けながら、私はだいぶ前に杖を掘り出したところに走って向かって行った。


 ふと、

(地味にあそこに行ってから着替えれば良かったな、そっちの方が誰かに見つかったときの言い訳もしやすいだろうし)

 こう思ってしまったのだが、まぁ、考えないことにした。無駄なことを考えてたら、色々と判断が鈍っちゃうかも知れないだろう。


 っで、誰にも見られずに私は、外に出ることに成功した。

(いえーい、隠密の天才だ・・・ふふふ)

 ふざけたことを呟きながら、この数ヶ月を使い発見した街への道順を歩き出した。

 …………

 木に彫った道しるべを頼りに歩いて行くと、街の大きな、大きな門を発見した。

 発見したのですが、何と言いましょうかね、端的に言うと私の無知無能を晒す結果がありました。

 どう言う事かと言いますとね、えぇと、結論から言いましょう、街の門が閉まってました。


(よく考えれば、そりゃあ、そうじゃん、馬鹿じゃん、スッゴい馬鹿じゃん私、そりゃあ、不法侵入者を対策するために夜には門閉めるに決まってるじゃん)

 私は自分の馬鹿さを呪いながら、先程通ってきたばかりの道を引き返していった。

 …………

「はぁ、そりゃあ、そうだよなぁ」

 私がそう呟きながら、自分の部屋の扉を開くと、

「早いね、忘れ物でもしたのかい」

 先生は質問をしてきた。


「別に、忘れ物をしたわけじゃ無いんですよ、・・色々な常識的なことを忘れていただけです」

 そう言いながら、ベッドに腰を下ろすと、

「どう言う事だい」

 意味が分らなかったのか質問が飛んできた。


「何て言いましょうかね、恥ずかしい話しなのですが、そうですね、街の門が閉まってました」

 忘れていたことを誤魔化す言い回しが思い付かず、あったことをありのまま、包み隠さずに言うと、

「・・・あぁ、確かに、そうか、夜だからね、しょうが無いね・・・・不法侵入でもすれば良かったんじゃ無いか」

 先生は犯罪を進めることを言ってきた。


(先生、それは、教育者として大失言ですよ)

 驚いたように心中で呟いた後に、

「駄目に決まってるでしょう、馬鹿なんですか先生」

 問いかけるように言うと、

「だって君は、貴族だろう、許されるんじゃ無いか」

 先生は私にそう言ってきた。


(まぁ、許されるでしょうね、お父様の領地ですし、私もちゃんと貴族ですし)

 心の中でそう呟きながらも、

「許される許されないの話しじゃありませんよ、この国は法治国家です、貴族も皇帝陛下も法の下にあります、その法を破ってしまってはいけないんですよ、例え許されようとも」

 私が先生に返事をすると、

「許されるのなら良いと思うんだけどな」

 意味が分らないと言ったように返されてしまった。


「一度でも法を破ると『あれが許されたのだからこれも構わないだろう』が連続して発生して破滅するから駄目なんですよ・・・それでは、お休みなさい」

 分らないと言った様子の先生に注釈するかのように発言した後、私は眠りにつくのだった。

補足説明

さらっと書きましたが、シャール帝国は法治国家です。

憲法の下に、皇帝があり、その下に法律があり、その下に貴族があり、その下に職人、商人、臣民その下に、身売り奴隷その下に、犯罪奴隷その下に、戦争奴隷、宗教奴隷と続いていきます。

あっ、でも国家非常事態宣言が発令されたら、皇帝が憲法の上になるよ

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