第178話 はぁぁ、マジか、まじかあぁ
新たに創り出した魔力を見る魔法が成功したことに先程まで、大変喜んでいた私は、
(それじゃあ、調整機能はどうだろうな、成功してるかな)
と思いながら、失敗していたら悲しいので、試そうかどうかを思案していた。
(いや、でもなぁ、でもなぁあ、試さなきゃ、成功してるか分らないしなぁ、でもなぁ、失敗してたら、なぁ)
色々考え続けた挙げ句、私はどうするかを決定した。
「よし、試すかぁ、試すかぁ、試すかあぁ、ふぅ、試すか」
何度も決めたことを呟きながらも、やっぱり怖いので、右往左往を何分間か繰り返し、
「こんな事やってても変わらんよな、よし、やったる」
覚悟の言葉を宣言し、怖がりながらも、先程からずっと展開し続けていた魔力を見れる魔法の調整機能を試した。
・・・・・結論から言おう、調整は可能であった。
だが、失敗だと言えるであろう。
何故ならば、この調整は、最初の見える量を100と仮定したら、現在の状態は0であるからだ。
いやぁ、何で、こんな極端なんだ。
「ぐああぁ、失敗、マジかぁ、失敗かぁ、やり直しかぁ、やり直しかあぁ、やり直しかぁ」
微妙に声が裏返っていながらも私は、そう声を漏らし、目を閉じ、その上に腕を乗せた。
「マジかぁ、マジかぁ、マジかぁぁ、・・・ぁぁ」
私は小さくそう声を漏らしながら、泣きそうにな思いになってしまった。
・・・・数分間、瞼の上に腕を乗せた状態で止まり続けていた後に、
「よし、よし、よし、こんなことして時間を無駄に浪費していても意味が無いな、失敗したなら再挑戦だ、創り直そう」
私はこう宣言するかのようにして、
「ここをこうだろ」
「此処駄目だな、創り直し」
「よし、こんな感じ、・・・あれ、駄目じゃね」
「もう一度、やり直し」
大本は前回と同じで少し調整の所を変えた魔法を何度も創り直し、4時間、既に太陽は地平線の先に沈んでいる。
「よし、やるぞ」
もう何度目か忘れた宣言をし、再度、魔法を展開した。
「見ることはやっぱり出来たな」
少しだけ怖くなりながらも、見える量の調整をしてみた。
頭の中でレバーのような物を徐々に上の方に動かしていき、見える量の基準を増やしていった。
「よっっっしゃ、っっしゃあああ、成功だ、成功した、いっった、いけた、いけた、やった、やった、私、やれたんだ、やったぁ」
そう喜びながら、私は、ガッツポーズをするように拳を天に振り上げ、ジャンプをして体全体で喜びを表した。
「やっぱり、私は、天才だ、大天才だ」
自分にそう言葉を漏らしながら、目に滲んでいた失敗を繰り返していたときに浮かんで放置していた。悔し涙だろうか、私には分らないが、それを振り上げていた拳を下げ、勢いよく拭った。
「いってぇ、あ゛あぁ゛ア゛ぁ」
地味に手が顔に当たってしまったために、私は叫び声を上げた。
(マジで微妙に痛い、ぐぅ)
当たった部分を抑えながらも、ベッドに飛び込んだ。
(やったー、やったー、やっと、やっと、これで、先生にワープの魔法を教えて貰える)
私はそう小さく呟きながら、眠気が少し辛くなったので、寝ようとしていると、
『コンコンコン』
扉を叩く音が聞こえてきた。
(・・・・待て、今、夜ご飯の時間なのか、マジか、えっ、マジで、)
驚きながらも、
「・・・・・・どうぞ、お入りください」
扉を叩いた音に対してそう声を掛けると、
「失礼します。お夕食の準備が出来ましたのでお呼びに参りました」
こう言いなマリーちゃんが入ってきた。
「そうですか、分りました」
私がそう返し、ベッドから立ち上がろうとすると、
「お嬢様、どうか致しましたか」
質問を投げかけられた。
「どうもありませんよ」
私が、
(何故にそんな事を問いかけると来るんだ)
気になりながら返答を返すと、
「そうなのですか」
納得していないと言った様子で返された。
(どうして、そんな事を思ったんだ、本当に分らないのだけど)
私がどうしても、本当にどうしても、気になってしまったので、
「マリーちゃん、どうして何かあったのかと気になったのですか」
と問いかけると、
「いえ、その、何と言いましょうか、お嬢様の目の辺りが腫れているように見えたので」
こう返されてしまった。
腫れている・・・・・・
心当たりがあった私は、
「本当に、何でもありませんよ」
とリアルマジで、何も問題が無かったために言うと、
「お嬢様・・・・・」
心配そうな視線と声が私の体に突き刺さった。
「えっ、いや、本当に何でもありませんよ」
私が、多分、魔法の失敗での涙で腫れたであろう目のことを思いながら言うと、
「何かあったら、言ってくださいね」
流石にこれ以上問い詰めるのは失礼だと思ったのか、マリーちゃんはそう言いながら、私をなんとも言えない、心配と疑惑の色が混じった視線で見てきた。
「さて、と、ご飯食べに行きますか」
私はそう言いながら、マリーちゃんの視線を無視し、食堂に向かって歩いて行った。
夜ご飯は何時もと変わらない味でした。
っで、その後も、視線を無視し続けていた私は、部屋に帰ってきてすぐに、
「先生、いますか」
と問いかけの言葉を投げかけるのだった。
補足説明
主人公が再試行を繰り返した回数は、120回くらいです。
成功に時間が掛かったのは、多分ですが、主人公が凡人だからです。




