第177話 よっしゃ、私、大天才、崇めたまえ
今までやっていたことが無駄だと分った私は、少しだけ悲しい気持ちになっていたところ、椅子から落ちるなどの痛みを負い、多少正気に戻ることが出来ました。
「くぅぅ、痛い」
未だに痛むお尻を撫でながら私は、ベッドに座った。
多分、こっちの方が滑らないだろう、多分。と思ったからだ。
「さて、さて、さて、創り直すかぁ、面倒臭い」
私はそう言いながら、想像を固めた。
想像を固めながらも、
(これって、プログラミングみたいにコードを組み合わせて魔法を創ったりすること出来ないかな)
と思ったのだが、
(・・・出来るとしても、私の知能ではやり方を発見できないだろうし諦めよ、そんなのは一部の大天才がやることであって、私みたいな凡才はそんな方法を探すべきでは無い)
こう思うことによって先程まで考えていた案を否定し、魔力を見ることが出来る魔法の想像へ脳の殆どのリソースを当てた。
数時間、
(これでいけるか)
(これでいいはず)
(これ駄目じゃね)
(創り直し)
こんなのを繰り返し続け、やっと私的に見れば完璧な魔法を創り出すことに成功した。
魔力の使用量は何と、前回使っていた物の10分の1、それに加え、見える量の操作も可能、ふふふ私、天才だな、こんな完璧な魔法を経った5時間・・・数時間で創れるなんてふふふふ。
「よし、さぁ、やって見よう」
こう宣言するようにしてベッドから立ち上がろうとしたところで、比喩では無く、ガチのマジで物理的に膝から崩れ落ちた。
「グゥくぅ、がぁ、う」
意味の分らない呻き声を漏らしながら、立ち上がろうとしたのだが、また崩れ落ちた。
(はて、さて、はて、はて、はて、何故だ。意味が分らない、何故に。どうして)
少しだけ頭を回してみた。脳内に微妙な靄が掛かっている気がするが気のせいだろう。
(分らないな、意味が不明だ)
私はそう思いながら、ふと窓の方を見ると、窓からは鉄格子にぶつ切りされている光線、太陽光が入り込んでいた。
(あぁあぁ、そう言うことね、あぁ、あぁ、意味が分ったよ、了解、りょうかい)
まぁ、何と言おうか、多分だけど、原因は寝不足だと変名したわ。
(さて、どうしたのものか)
と考えはした物の
(少しだけは眠っておくか、じゃなきゃあ、最悪死ぬ)
ふざけた比喩をしながら、ベットの掛け布団を引っ張りながら、ベッドの上に潜り込み、眠りについた。
…………
「おはよっう、ござます」
少しだけ・・・・アホほど眠いのを我慢しながら、私は小さく、耳元で聞かなければ聞こえないくらいの声量で呟いた。
(眠い、意識がぁ、夜更かしのせいだ、クソ、寝るか、いや、でも、ご飯を作って貰っているはずだ、それを無下にすることになるんじゃ)
私はそう思いながら、目を瞑ったら意識が飛びそうになるのを我慢してベッドから立ち上がり、
『パン』
と鋭い音が響き渡るほどの勢いで頬を全力で叩いた。
「・・・・痛いな、うん、ホンマ痛い」
私はそう小さく呟きながら、部屋を出てトイレに向かって行った。
「はぁああぁ、くっっそ、眠りぃ」
意味の分らない言葉を呟きながら、ベッドに座っていると、
『コンコンコン』
扉を叩く音と、
「お嬢様、起きていらっしゃいますか」
問いかける声が聞こえてきた。
「・・・・・・」
(あれ、今何時だ、待て待て待て、何時もそんな事を言わないよな)
私がそう思いながら懐中時計を取り出し、時間を見ると・・・・
(くそぉぉぉ、何でぇ)
まぁ、反応的に分ったと思うが・・寝坊していた。しかも今、お昼だ、時間的に。
(やっちまった、やっちまったZE、さてさて、さて)
心の中で呟きながら、
「どうぞ、お入りください、マリーちゃん」
私が通す言葉を開くと、
「失礼します、お嬢様」
心配したような顔のマリーちゃんが入ってきた。
「だっ、大丈夫ですよ、何にも無いですよ」
これから問いかけられる質問を予測した私がそう返事をしても、未だにその視線から心配の色が消えることが無かったので、
「それで、どうかしたのですか」
問いかけると、
「あっ、お嬢様、お昼ご飯の準備が出来ました」
マリーちゃんが私にそう言ってきた。
「そうですか、分りました、少しだけ、部屋の外で待っていて貰っても構いませんか」
私がそう言うと、
「構いませんが、どうかしたのですか、お嬢様」
と問いかけられてしまった。
「いえ、その、特に何もありませんが、服を替えていないので」
と私が出て行って貰いたい理由を言うと、
「お手伝いしますよ、お嬢様」
マリーちゃんは私に言ってきた。
「別に大丈夫ですよ、一人で着替えられます」
こう私が言うと、
「分りました」
何故だか少し不満そうな顔をされてしまった。
その後は、特に何も無く、着替え終わり、お昼ご飯を食べ、部屋に帰る途中でお父様に出会い、
『何かお手伝いできることはありませんか』
と問いかけたりしたのだが、
『大丈夫、エミリーは遊んでおきなさい』
こう言われてしまったので、自分の部屋に戻ってきていた。
「さて、さて、さて、眠い、本当に眠い」
私はこう呟きながらも、
(やるかぁ、例の魔法を)
と小さく心で呟き、椅子に腰を掛け、
「ふううぅぅっぅぅ」
大きく深呼吸をした後に、魔法を展開した。
「うぅん、まだ、大丈夫」
頭痛と目の痛みにそう声を漏らしながら、目を大きく開けると、何時もは視界が全て埋まるというのに、今回は一部、隙間から床が見えているので、
「しゃっあ、成功だ、やっぱ、私は天才だ」
と小さく叫びながら、
(皆の者、崇めたまえ、この私を大天才とな、ぐははははは)
寝不足の狂ったテンションのせいでそんな事を思うのだった。




