第166話 目的が分らない?どうして私を操ろうとしていたんだ?
「よういっしょ」
私は、そう言いながら、椅子に腰を下ろした。
先程まで、例のクソ伯爵の暴言を聞いていたのだが、不快感を感じたので、部屋に帰ってきたのだ。
座ってから、少し経った後、私は頭を回していた。考えているのは、あの伯爵の発言だ。
(あの、言葉の意味ってなんだ)
私は、そう思いながら、あいつの言葉で気になったところを
「えと、確か『どうやって、言い訳すれば』だったよな」
と口に出してみた。
(どういう意味なんだ。誰かと繋がっていたって事になるのか・・・・・地味にそれ以外考えられないのか、伯爵家の財力で『人を操る』なんていう、頭の可笑しい能力を持っている道具を手にすることは難しいよな・・・・家宝とか、自分たちで掘り起こした物とかなら別かもだけど)
私はそこまで考えた所で、何個か気になった事が出来た。
「私を操って何をしたかったんだ。それに、誰があの無能にそんな道具を与えたんだ」
これ以外にも気になる事はあるのだが、主要な2つを呟いてみた。
・・・・考えても、分からない事だよな、いや、でも、どうするか、考えておいて方が良いか、どう思おう・・そう、分った、考えてみることにする。確かに、そっちの方が良いよね。考えておいた方が。
考えることにした私は、妙に醒めている頭をフル回転させて、まず、私を操る意味を考え始めた。
(えと、地味に、クソ伯爵に命令した奴がいたってのは確定で良いか・・・・さて、私は操る意味か、権力欲だよな、それ以外だと、支配欲か・・・・)
色々と考え続けて、私は何個か、日記帳に日本語でメモをしてみた。
(1)私に擦り寄る為説
(2)婚姻を結び権力を手に入れたかった説
2つを考えつけた。他にもあったけど、流石に、あり得ないのも多かったからね。・・・本当に思い付かなかったわけじゃ無いからね。信用してよ。お願いだから。
「取り敢えず、一個ずつ考えていくか、それ以外方法無いし」
私は、万年筆で日記帳の端を何故か、叩きながらそう呟いた。
「はぁ、面倒臭い、でも、一個ずつ潰していくしか無いよなぁ、面倒い」
どうしても、面倒臭さを感じてしまったのでそう呟き、
「水、水、飲も、喉渇いた」
生理的欲求に逃げるようにして呟き、水を創り出し、飲んだ。
「ふぅ、よっしゃ、やったるわ」
ウジウジしていようと、解が分るわけないので、そう宣言をして、思考を巡らせた。
(まずは、『私に擦り寄る為説」・・・ありそうなんだよな、・・・でもなぁ、その場合は、どうして、操る道具を用意したんだった話になっちゃうんだよな)
私は、そう考え、少し頭を抱えた。
えっ、どういう意味かだって。
あぁ、微妙に分りづらかったかも知れないけどね、あのクソは私の事を舐めてたんだよ。スッゴい見下してた。多分、私の事をそこらの子供と同一視してたんだよね。
まぁ、その場合だと、可笑しな所も出てきちゃう気もするんだよね。
あいつは、多分、私の見立てでは最善策を考えられるような人間だとは思えないんだよね。だって、借りた部屋っていう盗聴されていても怪しくない部屋であんなことを言う人間だもん。まぁ、本当は無能の振りをしている可能性もあるけどね。
それに、多分、プライドも高いと思う。
私の事、それと、ブランドー侯爵家全体を見下している発言も何回かしているからね。
・・・これって、やっぱ、間違っている可能性が高いな、あのクソは少し思っている可能性があるけど、これが主目的とは思えない。
あいつは、私の事を見下しているのに、加え、私に擦り寄るのだったら、わざわざ、操るための道具を使う必要性は無いし。
それに、この程度で、そんな道具を貸し出す人間がいるとは思えない。益がないし。
それじゃあ、『婚姻を結び権力を手に入れたかった説』か、微妙な気がするな。
私には、殿下と婚約をしているという事実がある。
それに、これで、利益を得るのは、クソ伯爵だけど。与えた人物・・・長いな人物αって呼ぶことにしよう。
えと、クソは得があるかも知れないけど、人物αには益が一切無い。
それならば、貸し出す必要性は無いよな・・・・
いや、待てよ。殿下の地位、もしくは、ブランドー侯爵家の地位を下落させたかった説ってのは無いか。てか、これ以外、考えられないよな。
殿下は、伯爵家程度の地位の人間に婚約者を奪われたことになるし、ブランドー侯爵家は浮気をしていたことになる。てことで、どちらも恥を負うことになる。
ていうことは、他国の人間って可能性が高いよな。繋がりの噂もあるし。
それに、国内でわざわざ、ブランドー侯爵家を潰して、得をする人間なんていないだろうし、何たって、西側の防衛の要だからね。
・・・それじゃあ、人物αって何者なんだ。
他国の人間、尚且つ、我が家を潰そうとしたって事は、戦争準備をしている他国があるって事になるのか。東側って一国しか無かったよな。
いや、でもな、あそこって確か、宗教国家だよな。そんな事して何か利益はあるのか・・・・
しかも、私を婚約者として迎えたとして、それによって利益は、人物αにも伯爵にも無い。だって、奪ったって事で、叩かれる可能性もあるのだから・・・・
様々な、考えを浮かべ、ブランドー侯爵家を低迷、婚約破棄により中央を混乱させる陽動などと考えたが、結局真意は分りそうになかった。故に、私は、目的を適当に断定することにした。
『クソ伯爵、人物αは、私を操り、婚約を破断させ、皇室、我が家の地位を低迷させ、戦争を仕掛けるつもりだったのでは無いか』
どうせ、答え合わせなんて出来ないし、別に良いよね。これで。多分違うけど。
ごめん。少し、可笑しいところあったかも。ごめん




