第160話 呪いと茶番と何やかんや
「服従の呪いですか」
私が先生の言葉を反芻しながら呟くと
「多分、そうだね、呪いだと思うよ」
先生は私にそう言ってきた。
「どうして、私が呪われたんですか、それに、どうして解除されたんですか」
私が分らなかったので問いかけると、
「呪われた理由か、・・・正確には分らないけど、権力欲とかじゃないかな、あとは、支配欲とかじゃ無いかな」
先生は、予想したであろう理由を述べた。
(権力欲か、まぁ、あるだろうな、私って上位貴族だし・・・今後もこんな屑が来るのかなぁ、あと、支配欲か~気持ちが悪いな、本当に、気持ちが悪い)
私はこう心の中で呟きながらも、
「それでは、何故、呪いが解除されたんですか」
気になったので問いかけると、
「君に前、渡しただろう、呪いから守る物を」
先生は私にそう言ってきた。
「貰いましたっけ・・・・」
私が思い出しながら、発言をし、記憶をたどっていくと、貰った記憶があった。
「あっ、貰っていましたね・・・そう言えば、胸ポケットに入れてましたね」
思いだした私が、そう言いながらそれを取り出すと、
「それで呪いが解除されたんじゃないかな」
先生は私にそう言ってきた。
「あっ、えと、ありがとうございました」
私が先生に御礼を言うと、
「別に良いよ、それで、これから君は何をやるんだい」
問いを投げかけてきた。
「何をやるというと」
私が先生の発言で気になった事を問いかけると
「君が犯人をどうするか、何をするかって話しだよ」
先生は私にそう言ってきた。
(あぁ、そういうこと、了解、了解)
私が心の中でそう呟いた後に、
「何も致しませんよ、殺すなんて物騒でしょう、それに、私が関わらなくても沙汰は下される事でしょう、まぁ、多分、たいして重い物はならないと思いますが」
と返事を返すと
「そうかい、そうかい、分ったよ」
先生は私にそう言ってきた。
「そう言えば、マリーちゃん達、遅すぎませんか、先生、何か知りませんか」
私がそう遅すぎる人達のことを思いながら言うと
「さぁ、僕は知らないね、探しに行ったらどうだい」
先生は私にそう言ってきた。
「探しに行くですか・・・・」
私は、
(嫌だなぁ、他にもガチでキモい奴がいるかも知れないし、嫌だなぁ、でもなぁ、暇なのは更に嫌だなぁ、さて、どうして物かなぁ、はぁ、どうしようかな、本当に)
心の中でそう文字を羅列しながら、椅子から立ち上がり、
「此処で待つことにします」
そう言い、また椅子に腰を掛けた。
すると、
「なんで立ったんだい」
先生は私も思っている当然の疑問を投げかけてきた。
(分んないよぉ、あるだろ、何か、意味も無く、立っちゃう事って)
私はそう思いながら
「秘密です、先生には分らないであろう、崇高な理由があるのです」
こう何か凄い理由があるような発言をすると、
「あぁ、よく分ったよ、自分でも分らないんだね」
何故か私の考えが分っている先生はそう言ってきた。
「なっ、何故分った」
私が気になり、驚いたように問いかけると、
「君はブラフって知っているかい」
先生は驚いている私に対して、答え合わせをしてきた。
(あぁ、あぁ、そう言うことね、うん、うん、騙したな)
心の中で納得したように頷いた後に、
「騙しましたね、酷くないですか、先生失格ですよ」
私が先生を責めるように言うと、
「最初に嘘を吐こうとしたのはどっちだったかな」
揶揄うような声で言われてしまった。
「それは、・・・・私ですけども、・・・・・」
反論が思い付かなかったので、私は考えた、
(さて、どうやって、倒そうか、撫で倒してやろう)
と。
(いけるか、私は現在座っている、先生は、私の直ぐ側に居る、はず、いけるか)
私がくだらないことを考えながら、先生の位置を確認しようと視線を向けようとすると、
「君、馬鹿だろ」
そう言う先生の声が、先程よりも遠くから聞こえてきた。
「あっ、逃げましたね」
私が遠くに行ったであろう、先生に言うと、
「来ることが分って逃げないのは馬鹿だからね」
こう返されてしまった。
「どうして、そうお考えで」
「君の行動を今まで見てきているからね、もう分っているんだよ」
「と言うと」
「君は真剣な話し以外で、僕の方を向くと言うことは、そう言うことだろう」
(バレてるね、さて、さてと、どうした物かな、強行突破的にやれば良いかな)
私がそう思い、立ち上がり、先生を追いかけていると、
『コンコンコン』
扉を叩く音が聞こえてきた。
(結局、捕まえられんかった、くそぉ、はぁ、地味に、マリーちゃん達、遅かったなぁ、まぁ、そういうときもあるか)
私がそう思いながらも、
「どうぞ、入ってください」
と声を掛けると、扉が開き、
「お嬢様、本をお持ちしました」
こう言う声が聞こえてきた。
「ありがとうございます、二人とも」
私が本を持ってきてくれた二人に御礼を言い、
「あっ、そこに置いてください」
と机を指し示しながら言うと
「分りました、お嬢様」
マリーちゃんはそう返事をし本を置いているときに、
「お嬢様」
こう言いながら私に近づいてくる人が居た。
「どうかしましたか、ロナルド様」
私がその人に問いかけると、その人は小さく、
「兄貴、アースベルトは何処に行きましたか」
こう問いを投げかけてきた、ロナルド君に対し、私は、耳元で、小さな声で、今までの出来事を省略して教えるのだった。




