第158話 気持ちの悪いお方
「いえいえ、大丈夫ですよ、私が行きますので」
私が、『本を持ってくる』と発言し、マリーちゃんに『持ってきますよ』と言われてしまったのでそう言うと、
「お嬢様は此処でお待ちください、お茶も冷めてしまいますし」
マリーちゃんは私にそう言った。
(お茶が冷めるのは別に良くない)
思った私は、
「それは、別に構わないと思うのですが」
こう本音を言うと
「渋くなってしまいますし、駄目です、それでは、持って参りますね」
マリーちゃんは私にそう言い、部屋を出ようとしたので、手を掴んだ。
(まぁ、良いんだけど、色々と怖い人も居るし)
そう思いながら私は、手を引きながら歩き、扉を開き、
「ロナルド様」
口を開いた。
「はっ、えっ、あっ、どうかしましたかお嬢様」
混乱しているようなロナルド君を見た私は、
「マリーちゃんに着いていってください」
こう言うと、
「何処にですか」
直ぐに疑問の言葉が投げかけられた。
「図書室です」
私がそう疑問の回答を答えると、
「どうしてですか」
ロナルド君は、また疑問の言葉を投げてきた。
「取り敢えず、マリーちゃんに着いていってください、説明もしてくれるはずです」
私はそう言いながら、マリーちゃんの手を離し、見送った。
(よし、何事も無く、見送れたな、本当に本当だよ、ロナルド君が、『護衛の仕事がある』って文句を言ったくらいで、まぁ、仕事優先なのも分るけどね、別に大丈夫っしょ、知らんけど、きっと何も無いっしょ)
私は心の中でそう呟きながら、紅茶を口に含んだ。
(地味に、マリーちゃんを送り出したのは得策じゃ無かったかもな、ただでさえ暇だったのに、更に暇になってしまった)
私はそう思いながら、椅子に深く腰掛け、前脚を浮かせた。
(さてっと、どうした物かな、何をして暇を潰そうか、最近そんな事ばっかり考えているな、しゃあないか)
私はそう思いながらも、扉を開いて、
「暇です、何か話しましょう」
アースベルトにそう声を掛けた。
「突然すぎませんか」
そう声が聞こえはした物の
(いや、待てよ、何を話せば・・・)
思い付かなかった私は、
「何か話す題材を下さい」
アースベルトに丸投げする発言をすると、
「いや、無理ですよ、関わり合いが殆ど無いので」
私も思っていたことを言われてしまった。
「えぇ、そんな事、言わないで、何か面白い話をしてくださいよ、本当にやることが無くて暇なんですよ、お願いですよ」
私が駄々をこねるように言うと
「無理ですよ、共通の話題もありませんし」
言われてしまった。
(まぁ、そうよな、共通の話題も無ければ殆ど話したことも無い)
私はそう思いながら
「でも、本当に暇なですよぉ、お願いですから、何か暇つぶしの方法を教えてくださいよ」
と未だに言い続けると
「いや、ホント無理ですよ」
アースベルトはそう発言した後に、一瞬、黙り、
「早く入ってくださいよ」
そう言いながら、私の背中を押してきた。
「えぇ、暇なんですけどぉ」
私の文句を無視しながら、アースベルトはドアを閉めてきた。
(ちぇぇ、何だよ、良いじゃん)
私がそう思いながらも、自分の部屋に置いてある椅子に腰を掛けると、眠くなってきた。
(眠いな、何もやってないのに、まだ、あさなのに、これは、駄目かも、あぁあぁ、本を持ってきて貰ってるのに、だめだぁ)
私は心の中でそう呟いたが、眠気が倍増していくのを感じとった。
(あぁ、ヤバいな、こりゃあ、だめだ)
私はそう思いながらも、紅茶を一気飲みして、眠気を覚まそうとしたが、殆ど醒めなかったので、寝ることを伝えておこうと思い、扉に近づき、開くと、知らない人とアースベルトが何かを言い合っていた。
その、瞬間に、眠気が覚めたような気がした。
気のせいかも知れないが・・・・
「お嬢様」
アースベルトのそう言う声と共に、気持ちの悪い、反吐が出そうになる、気色悪い、不愉快な何かを見定める視線を感じた。
(これは、随分と嫌な視線だな)
私がそう思いながら、自分の部屋に逃げるために帰ろうとすると
「これは、これは、美しい令嬢だ、私の名前はチャール、チャール・フォン・ユーレン、伯爵位を授かっている物だ」
気持ちの悪い男はそう名乗りを上げた。
(伯爵位かぁ、面倒臭いな、無視して逃げたら色々と問題がありそうだ)
私はそう思いながらも、
「初めまして、ユーレン伯爵閣下、私は、ルイ・ブランドー侯爵の娘、エミリー・ブランドーと申します」
こう結構堅苦しい挨拶を返した。
(出来るなら、早くどっか、行って欲しいんだけど)
私はそう思いながらも、顔に、嘘っぱちの笑顔を張り続けた。
「いやぁ、本当に麗しい」
ユーレン伯爵は話を続けた。
(クソが、早く帰れよ、お前キモいから嫌い何だよ、お前は今日からクソ伯爵だ)
私は心の中で暴言を吐きながら、話を聞いた。
奴が話すのは、くだらない、意味の無い、所謂、大言壮語と呼ばれる物それと、私の事を見下し、見くびり、侮り、軽んじ、馬鹿にした、私に取り入り、利益を貪ろうその考えが露見し続けている発言ばかりだだった。
(あぁ、気持ちの悪い、クソという言葉すら似合わない、愚か、魯鈍、愚劣、何と言おうか、・・・・そう、そうだ、こいつは、無能なのか)
私は心の中でそう考えついた後に、
「ユーレン伯爵閣下、私はそろそろお暇をしても宜しいでしょうか」
直接、もうやめたいという意思を投げかけるのだった。
今まで、何度も何度も何度も何度も何度も何度も、その意を込めた発言をしているのに、それを会話の物種にされたんだよ、だから、しょうが無いだろ。
昨日、久しぶりに沢山の方に見てもらえました(500人とちょっと)嬉しかったです。感想を誰もくれなかったのは少し悲しかったですが、ありがとうございます




