第124話 ありがとうございます、先生、私の終焉は訪れませんでした
酒を飲み、記憶を飛ばし、二日酔いになり、
マリーちゃんに心配を掛けている私は、
現在、焦っていた、
何に焦っているのか、
それが気になる民もいるだろうから説明しよう、
えぇ、端的に言うと、
私に体からは酒の臭いがする、
そう、アセトアルデヒドの臭い臭いだ、
まぁ、皆も知っての通り、
この臭いは直ぐに剥がれる物では無く、
その為、私がスッゴい困っているのだ。
(あぁ、ヤバいな、
本当にどうしよう、着替えても駄目だよな、
臭いを消す方法は無いのか、
あっ、香水でも創って無理矢理でも、臭い変えるか)
私はこう考えはした物の、
直ぐにこの考えが浮かんだ
『香水の匂いと、酒臭さが混じって、
ヤバい臭いになるんじゃ無いか』
これだ。
(あぁ、どうしよう、
どうすれば、本当にどうすれば)
私が心の中でそう焦りながら、
アワアワしていると、
「あの、お嬢様・・・」
また心配の声が聞こえてきてしまった。
(あぁ、そんな、
えぇと、どうしましょうか、
その、えーと、えーと、えーと、
ヤバいかも知れないな、どうすれば)
私が心の中でそう焦っていると
「あの、お嬢様、開けますよ」
本当に心配したのか、
そう問いかけるような、
宣言するような声が聞こえてきた。
「あの、えと、
止まってください、ストップです、ストップ」
私の部屋の、ドアノブに手が置かれた、
そんな感じの音がしたために、
止めるためにそう言うと
「えっ、あっ、分りました」
と言う返事が聞こえてきた。
扉はまだ開いていない。
「ゆっくりです、ゆっくり、
そう、ゆっくり手を離してください」
私がそう言うと、
「はい、分りました」
その声と共に、ドアノブから手が外れる声が聞こえた。
「それで、良いんです」
私がそうマリーちゃんに言うと、
「えっ、あっ」
驚いたような声が聞こえてきた。
それと、同時に嫌な予感がした私は、
扉の鍵を閉めるために、
扉の方に走った。
具体的には今生一の早さで。
まぁ、往々にして私の予想は当たる物で、
今の状況下で最も悪いことに、
本当に本当に最悪なことに、
お父様が扉を開けていた。
(くそ、どうする、
急所を蹴って逃げるか、
それとも、弁慶の泣き所を蹴飛ばすか)
私がそう思考を全力で回していると、
まぁ、お父様が抱きついてきた。
(ぎゃああああああ、
終わった、私、終わった、
本当に終わった、終焉を迎えたんだ、
さようなら、私の平穏な今日の生活)
私が心の中で絶望をしていると
「エミリー・・・」
とお父様の声が聞こえてきた。
(どうする、どうする、
どうやって、言い訳をする)
私が全力で脳みそを回転させる、
すると、
「今日も可愛いね、
それと、今日は遅起きだったのかな」
お父様は私にそう言ってきた。
(へっ、あっ、バレてない、
お父様、鼻悪いのか)
私がそう思い、
扉の方を見ていると、
先生がマリーちゃんの後ろを歩いてくのが見え、
そして、先生は、歩いて行く途中に、
私の方を向き、
『愚か』だと馬鹿にするような笑い顔を見せて、
そのまま通り過ぎていった。
(ありがて~ありがて~
本当にありがて~)
私はそう思いつつも、
「お父様、離れてください、着替えたいんです」
こうお父様に言うと
「そうか、ごめんね」
お父様はそう言いながら、
私の抱擁の手を外したので、
背中を押して、部屋の外に追い出した。
部屋に追い出してから直ぐ、
扉の鍵をしめ、ついでに、
魔法で南京錠を創り出し、
付けれるところが無い事に気付き、闇魔法で収納した後に、
服を着替え始めた。
服を着替えながら、
(喉渇いた、気持ち悪いな、
水持って来てって頼めば良かった)
後悔しながらも、服を取り出し、着替えた。
その後、着替え終わると、
扉に掛かっていた鍵を開き、
「それで、何かあったのですか、
マリーちゃん、お父様」
こう問いかけると、
もうどっかに行ってしまったであろう、
お父様の返事は無かったが、
マリーちゃんが、
「その、朝食の準備が終わりましたので、
お呼びに来ました」
と言ってきた。
「えっ、あぁ、
そうだったのですか、
分りました、直ぐ行きます」
私はそう言うと、
マリーちゃんの後ろを付いていき、
食堂に到着した。
特に皆が聞いて面白い話しは無かったよ。
私が、食堂に到着すると、
珍しく、お父様が椅子に座っていた。
「あっt、おはようございます」
私がそう言いながら、椅子に座ると、
「あぁ、おはよう、エミリー」
そう言う声が返ってきた。
「どうかしたのですか」
私がお父様に問いかけると
「エミリーに伝えておきたいことがあってね」
お父様はこう言い出した。
「何かあったのですか」
私が問いかけると
「騎士団長とフランさん、隊長がこれからは、
多分、これなくなってしまうんだ」
残念そうにそう言ってきた。
(えぇ、どうしてお師匠様も来れなくなるんだ)
こう思いつつも
「どうかしたのですか」
当然の疑問を聞くと
「近くにある、子爵領が崩壊しちゃって、
今、色々な対応があって大変なんだ」
本当に大変そうな声で返答してきた。
(そうなんだぁ、
それじゃあ、どうしてこんな所で、
ご飯食べてるのかな、
忙しいのなら執務室で食べろよ)
そう思ってしまった私は、
「それならば、どうして此処で食べているのですか」
こう問いかけると
「それは・・・良いんだよ」
迷いながら返された。
(駄目なんだろうな~
本当は)
私はその事を察しながらも
「どうして、崩壊してしまったのですか」
この事を問いかけると
「元々、そこの領地は、
鉱石の採掘をメインにしていたんだが、
最近、採掘量が減少していて、
領主が色々政策を打ち出していたんだが、
それが、ことごとく失敗して、
暴動が起きてしまったんだ」
お父様は、結構、凄いことを、
言ってくるのだった。




