第116話 私は集中する本に
皇帝が政治的に神様にされている、
と言うお父様の発言が気になり、
質問した私に対して、お父様がした返答に対して、
納得することが出来た私は、
「そうですか、分りました、
それじゃあ、この本読みますね」
そう言いながら聖書を開いた。
地味に、この本を選んだ理由としては、
モンド先生のことが気になったというのもあったりする。
私が本を開いて数分後、
部屋の中には、ただ黙々と聖書を読む私のページを開く音、
それと、お父様の執務により発生する
『カリカリ』
と言う万年筆だろうか、
まぁ、ペンの音が響いていた。
そこから更に数分後、
マリーちゃん達が帰ってきたのだろう、
扉が開く音と、
冷たい空気が入ってきた。
扉が開く音がした数秒後、
『カチン』
と言う甲高い、
ティーカップとソーサーがぶつかるような音が聞こえてきた。
その後は、また、
扉が開くような音が鳴り、
それ以降、部屋の中は、
私が本を開く音、
それと、お父様が執務をする音、
その2つだけが響くだけだった。
…………
私が分厚い聖書の3分の1ほどを呼んだところで
「お・・・・・」
私の集中を邪魔するような声が聞こえてきた。
(・・・・・・・・・・五月蠅い)
私がそう削がれた集中でそう心中で呟くと、
「お~・・・・・・ー」
ともう一度私を呼びかける声が聞こえてきた。
(──────五月蠅い五月蠅い五月蠅い)
私がそう心の中でその言葉を増やしていると、
「おーい、エミリーーーー」
今度は私を呼びかける声がしっかりと聞こえ、
私の聖書に向いていた集中力が完全に揮散してしまったことを物語った。
「何ですか」
私が
『ジトー』
とした恨めしいような目を、
私を呼んでいた人に向けると
「あっ、いや、
もうすぐ、皇族のガキと茶会をする時間だから、
それに気付いているのかを確認したかっただけだよ」
私を呼んできた本人はそう言ってきた。
「へっ、えっ、
もうそんな時間なんですか」
私はそう言いながら、
急いで立ち上がると
「一度お茶でも飲んで落ち着こうか、エミリー」
お父様は私にそう言ってきた。
(お茶ってなんや)
そう思いつつも、机をむくと、
私の目の前にはソーサーにのっているティーカップがあった。
「あっ、忘れていました、頂きます」
私はそう言いながら、もう一度椅子に腰を掛け、
紅茶に口を付けた。
紅茶は既に、
外気により冷まされ、冷たくなっていたが、
久しぶりに飲んだ水分は私の体の隅々に行き渡るような、
満たされるような感覚があった。
「ごちそうさまでした」
紅茶を飲み終わった私はそう言った。
「それじゃあ、行きますか」
私がそう宣言したところで、
気になった事が出てきた。
「そういえば、お父様、
マリーちゃん達は何処に行ったんですか」
私がそう問いかけると
「さぁ、僕は知らないね」
お父様はそう私に言ってきた。
「あの、お父様、
その、私、お茶会をする場所分らないのです、
その、連れて行ってもらっても構いませんか」
私はそうお願いをした。
(聞いてはいたんだ、
聞いてはいたんだけど、
途中で頭がシャットダウンしちゃって覚えられなかったんだ)
私は心の中でこう呟き、
お父様を見つめる。
「良いよ、それじゃあ、付いておいで、エミリー」
お父様はこう言いながら、
椅子から立ち上がり、扉の方に歩いて行った。
「ありがとうございます、お父様」
私は案内してくれると言ったお父様にそう御礼を言った。
心の中で
(本当だよね、嘘じゃ無いよね)
と疑いの声を呟きながら。
…………
その後、お父様は、間違ったところに案内をする、
等の行為をすることは無く、
私をお茶会の部屋まで案内してくれた。
(いやぁ~
ありがとうございます、
私は少しも疑っていませんでしたよ)
と心の中で呟きつつ
「ありがとうございました、お父様」
私はそう御礼の言葉をお父様に向けて言った。
「どういたしまして、それじゃあ、僕は帰るね」
お父様はそう言いながら、部屋から出て行った。
「あっ、申し訳ありません、お嬢様」
私が呆然と何をすれば良いのだろう
と思いながら立っているとそう謝る声が聞こえてきた。
「あっ、どうも、マリーちゃん」
私がそう声を掛けてくれたマリーちゃんに返事を返すと
「お嬢様、あちらにおかけになって下さい」
駆け寄ってきたマリーちゃんは、
机の側に置いてある椅子を指し示しながらそう言った。
「分りました」
私はそう返事をし、
椅子に腰を掛け、
殿下達を待った。
…………
それからまぁ、何時間かな、
何もしてない故に長く感じてしまったが、
多分、十数分が妥当だろう。
やっと、殿下達がやってきた。
私は立ち上がり、
頭を下げると
「腰を下ろしていても構わない」
殿下が私にそう言ってきたので、
私は、椅子に再度腰を下ろした。
その後、直ぐに、
殿下も椅子に座り、
面倒くさい、何をすれば良いのかが分らない、お茶会が開幕してしましました。
まぁ、お茶会が始まった私達の間には特に会話が流れることは無かった、
なので気まずい雰囲気が漂っていた。
「えと、殿下」
私が声を掛けようとしたところで、
「あっ」
と発言のタイミングが偶然にも、
運の悪いことに、本当に最悪のタイミングで噛み合ってしまった。
「お先にどうぞ」
私は被ってしまったので、
そう、殿下に先に話すように促すと、
殿下のお話が始まり、
それ以降は特に何も無くお茶会が終わった。
何故か、少しばかり、
昨日のお茶会よりも楽しく、
私もちゃんとした受け答えを出来ていたのでは無いかなと思う。多分。
ごめんなさいのお話です、
その、お茶会って具体的に何をするべきなのか分らない
それに互いに互いを探り合う形ではない
この2つの理由で2回あったお茶会がスッゴい短かったです。すいません。




