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第113話 お久しぶりに感じますよ、何でですかね、ホンマ不思議です

「お嬢様、失礼します」

 私が食堂でボーとロナルド君が迎えに来るのを待っていると、

 そう、私にそう言う疲れたような声が扉の方から聞こえてきた。


「あっ、どうも、

 それじゃあ、行きますか、ロナルド様」

 私は急いできたのであろう、

 ロナルド君にそう言うと

「ちょっと、本当にちょっとで良いので、

 待ってくださいませんか、お願いですので」

 と結構本気で言う声が聞こえてきた。


「分りました、構いませんよ、

 それじゃあ、どれ位待つかを具体的に教えてください」

 私がそう意地悪いように問いかけると

「1、2、え~と、

 5分間、待ってください」

 ロナルド君は迷うような声でそう返してきた。


「分りました、待ちましょう、

 そうだ、水飲みますか」

 私がそう聞くと

「それは、大丈夫です、

 ここに来る前に水は飲んでいるので」

 ロナルド君はこう返してきた。


「そうですか、

 そういえば、ロナルド様はどうしてそこまで疲れているのですか」

 私が気になってしまったのでそう問いかけると

「マリアに呼ばれる前に、

 朝の訓練をさせられていたんですよ」

 こう返してきた。


「朝練ですか、真面目ですね」

 私がそう言うと

「やらなければ、

 昼の訓練で死にかねないんですよ」

 ロナルド君は恐れるような声でそう言った。


「どうして死にかねないんですか」

 私がロナルド君の発言で気になった事を問いかけると

「朝の訓練をしないと、

 昼の訓練がその分、辛くなるんですよ」

 と教えてくれた。


「朝練をサボると昼の訓練が増えちゃうんですか、

 どうして増えるのでしょうか」

 私が暇なのでそう問いかけると

「隊長曰く朝の訓練をしていないのだから、

 体力は残っているだろう、

 だから、昼の訓練は厳しくても構わないだろう

 と言う考えらしいです」

 ロナルド君はそう説明をしてきた。


「そうなんですか、

 厳しくってどれ位なんですか」

 私がそれが気になり問いかけると

「油断していると死ぬと思ってしまうほどです」

 ロナルド君はそう返事をしてきた。


「そうですか」

 私がこう返した後には、

 特に私達は会話をすることが無く、

 ロナルド君が提示した休憩時間は終了した。


「さっ、時間は終わりましたよ、行きますか」

 時間が終わったことを時計を見て気付いた私がそう言うと

「あっ、もう終わったんですね、分りました」

 ロナルド君はそう言いながら、

 扉の方に近づいていき、開いた。


「ありがとうございます」

 私はそう言いながら、

 扉に近づき、食堂の外に出た。


 まぁね、うん、

 その後も特に会話をすることが無く、

 ていうか、会話をする内容が無いため、

 会話が出来ずに私達は、

 図書室に到着した。


「ありがとうございました」

 私はそう言いながら部屋の中に一度入り、

 椅子を持ってきて

「これにおかけになってください」

 そう言うと

「ありがとうございます、お嬢様、

 ですが、その・・・」

 ロナルド君が何か面倒くさいことを言ってくるような気がしたので私は、

「それじゃあ、私は本を読んでおきますので、

 殿下がお目覚めになりましたらお呼びください」

 と言いながら図書室の中に入り扉を閉めた。


「あぁ、何か、よく分らんけど、

 久しぶりにこの部屋に帰ってきたような気がするな」

 私はそう独り言を呟きながら手短な長椅子に腰を掛けた。


「さて、何の本を読もうかな」

 私はそう言葉を漏らしながら、色々と考え始めた。


(そうだな、魔法の本、

 でもな~多分な~

 読んでる途中に呼ばれちゃうよな~

 嫌だな~別のジャンルにするか)

 と考えた私は、

 特に別の面白そうなジャンルに心当たりが無かったため、

 本棚と本棚の間を歩いて探した。


 すると、面白そうな本を偶然見つけることに成功した。


 その本の名前は

『帝国立ルノー学院のすゝめ』

 何とも面白そうで馬鹿馬鹿しそうな題名だ。

 それに何か既視感のような物を感じた。


(どんな本なんだ、

 学校で推奨されてることがあるんだ、

 意味が分らないな)

 私はそう思いながらも、

 その本を手に取りながら、

 少しだけ、駆け足で長椅子に近づき、

 飛び乗るのようにして座った。


『ドッ』

 と少しだけ鈍い音が聞こえてきた。


(痛い、馬鹿だったな、

 なんで私、飛んで座ったんだ、

 馬鹿なのかな、いや、

 私は馬鹿じゃ無いから、

 きっと私にも分らない計画があったはずなんだ)

 とお尻の心配をしながら心の中で呟いた。


「よし、読むか」

 私はそう言いながら、

 その本を開いたところで、

 既視感の正体を思い出した。

 確か、昨日の殿下との会話で、

 殿下は学院、ルノー学院に通っていると言ってたはずだ。

 …………

 私は、まぁ、読み切ることには成功した。


 この本の内容を端的に説明しろと、

 こう言われたのだとしたら、

 私はこう返答を直ぐに返すだろう、

『くだらない選民思想、それと非常識を意味も無く、

 ただ紙を無駄にし、書いただけの本だと』

 どういう意味か、

 まぁ、まぁ、落ち着きたまえ、

 説明をしよう。


 この本には、

『貴族としての礼儀を守ろう、

 上級貴族には媚びを売ろう、

 それと、常識を知らずに学院に入院してきた平民、低級貴族を学院から追い出そう、

 勉強など才能のない者、真の貴族では無く偽貴族がやる物だ』

 と言った気持ちの悪い、

 反吐が出そうな思想が書き殴られていた。


「うぇ、きっっっも」

 私はそう言いながらこの本を書いた人の名前を見た。

 この気持ちの悪い思想を持っている人の本をもう2度と見たくない、

 そう思ったが故である。


 だが、その本には、

 著者名が書かれていた無かった。

 多分、選民思想の高い人間が自分たちの勢力を有利にするために流したのか、

 もしくは学院自体がその思想に染まっているのだろう。


 色々と気になった私は、

 帝国立ルノー学院について調べることを決定した。

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