第109話 夜の密談、寝させて下さいよ
「もう、やめて下さいよ、
撫で回しますよ、先生」
私が
(眠いな、眠いな、本当に眠い、
2度寝をしたい、いや、
もっと寝たい、3回、5回くらい)
と心の中で喚くように言っていると
「良いじゃ無いか」
先生はそう言った直ぐ後に
「そういえば、今日は何時もよりも寝るのが早かったね、どうしてだい」
疑問に思ったのかそう問いかけてきた。
(何でそんな事に疑問を持つんだ、
意味が分らないよ、
そいやあ、今何時だ)
そう思いながらも私は
「前日、先生と夜遅くまで魔法の練習をしたじゃ無いですか」
問いかけるように説明すると
「してないはずだよ」
と直ぐに返してきた。
「あれ、夜遅くまでしてないんですか、
してたくないですか、私はそう記憶してるんですけど」
私がそう呟くと
「してないさ、そんな事するわけ無いだろう、
夜更かしをして勉強をして何の利益があるんだ」
先生は私の事を
(何考えてんの、馬鹿じゃ無いの)
と言わんばかりの視線と声でそう言ってきた。
(えぇ、してましたよ、
じゃなきゃ、私の眠気の説明が出来ませんよ)
と心の中で呟いた後に
「それじゃあ、私の眠気の原因は何だと言うんですか」
そう問いかけると
「緊張、焦り、恐怖、それと疲れじゃ無いかな」
私の質問が最初から分っていたかのように返してきた。
「その程度で此処までの眠気の原因になりますかね」
私が問いかけると
「なるんじゃ無いかな、
現に君、あの少年に会っているときには、
緊張したり、焦ったり、恐怖を感じたりしてたじゃ無いか」
こうまるで直接見ていたように言ってきた。
「まっ、まぁ、多少はしていましたけど、
それだけでは無いと思うのです」
私がそう言い訳するように言うと
「それに君は、
顔に表情を出さないようにしていたり、
この屋敷を歩き回っていたりしただろう、
それも疲れの原因なんじゃ無いかな」
これもまた見ていたように言ってきた。
「まぁ、確かに歩き回りましたね、
感情も滲ませないようにしたりもしました、
そっ、そういえば、先生はどうしてそんな事知ってるんですか」
私が
(なんで見てきたように言えるんだ、
まさか、ずっと見てたのか、
多分そうだろうな)
と思いつつも問いかけると
「僕に分からない事は存在しないのさ」
こう格好付けるように言ってきた。
「でも、先生、
前、私の行動と私の事を攻撃してきた犯人の行動は分らない、
って言ってませんでしたか」
私が少し前のことをそう問いかけると
「君に、1つの言葉を教えてあげよう」
先生は勿体ぶるようにそう私に言ってきた。
「何ですか」
私がそう短く問いかけると
「それはそれ、これはこれだ」
先生は私にそう言ってきた。
「それって、分らない事もあるって事ですよね」
私が問いかけると
「ハハハ、君は面白い事を言うね、
僕に分からない事は無いんだよ」
先生はそう笑って言ってきた。
「いや、さっき」
「分からない事は無いよ」
「ですが、その、さっ・・」
「分からない事は存在しないよ」
「あっ・・・」
「僕は全知全能だよ」
「分かりました、もう、面倒くさいです」
私が喰い気味の先生に折れ、
先生が全てのことが分ると言う嘘を認めると
「それでいいんだよ、それで」
笑ったような声で言ってきた。
「全てのことが分る、
全知って事ですよね、
それの何がいいんですか、
別に何かしら、知り得ない事があるって認めてもいいと思いますけどね」
私が
(何か知らない物、
分らない物があってもよくね、
それで、何かあるわけじゃ無いんだから)
と思いつつも発言をすると
「僕が知らない物は存在しないよ、
全てのことを知っているよ、
それに僕の話じゃ無いけど、
嘘でも全てのことが分っていると、
思い、思われていれば良いこともあるんだよ」
何処か、変な雰囲気がある声でそう言ってきた。
「良い事って具体的に何ですか」
そう気になったので問いかけると
「秘密だよ、
君には吐くことも出来ない嘘の話をしても虚しいだけだろう」
馬鹿にしてくるように言ってきた。
(それって、私が、
全てを知っている人の振りすら出来ないって言いたいのか)
と心の中で呟いた後に
「馬鹿にしすぎですよ、
私でもその程度の事なら可能です」
こう先生に反論するように言うと
「君の柄じゃ無いと思うけどな」
と先生は私の事を馬鹿にしたいのかそう言ってきた。
「柄じゃ無いって、
私、結構向いていると思いますよ、
だって、頭良さそうな顔しているでしょう」
と私がそう言うと
「そうかなぁ、どちらかというと馬鹿っぽく見えるけど」
こう馬鹿にしてきた。
「酷くないですか、
私の何処が馬鹿だと言うんですか、
何処からどう見ても、天才の顔ですよ」
私が馬鹿っぽいと言ってきた先生に反論するように言うと
「そうかなぁ、ハハハ、
それに、自分のことを天才なんて言う人間は天から与えられる才能は無いと思うよ」
先生は笑いながらそう言ってきた。
「そうですかね、
私には闇魔法、それに創造魔法の才能がありますよ」
私がそう言うと
「そうだね、でも、
僕よりは無いよ」
何故かマウントを取ってきた。
「そりゃあ、先生よりかはありませんよ、
貴方は闇と創造魔法を司ってる神様でしょう、
超えれる人がいるわけ無いです」
私がそう言うと
「いるっちゃいるよ」
先生はそう返答を返してきた。
「いるんですか、先生より凄い人」
私がそう問いかけると
「いる、違うな、
現在進行形でいるわけじゃ無いから、
いた、だったよ」
先生は間違えを訂正するように言ってきた。
「それは亡くなったと言うことですか」
私がそう問いかけると
「そうなんじゃないかな、僕は知らないよ」
先生は本当に知らなさそうな声でそう言ってきた。
「知らないんですか、
それじゃあ、現在進行形でいるかも知れないじゃ無いですか」
私が問いかけると
「あいつは死んでは無い、
それは見てないけど分る、
でも、あいつはもう魔法を使うことは出来ない」
先生は多分、自分よりも才能があったという人を刺しながらそう言った。
「そうですか、多分、
聞かない方が良いですよね」
私が遠慮がちにそう問いかけると
「そうしてくれると助かるかな」
と先生は何処か、
もの悲しそうな声で言ってきた。




