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第106話 お茶会は終わりです、私からはもう何も語りません

 何やかんやあり、

 今、現在、私は、

 皇族さんに自慢話的な事をされていた。


 やれ、父親が何をした、

 やれ、母親はどうだとか

 家族、もしくは身内の自慢話を、

 自分の事を話す途中に混ぜ言ってきた。


(生産性も無ければ、

 利益も無い話しを、

 好きでも、友達でも、

 ましてや、さっき知り合ったばっかの人の自慢話を聞いて楽しいわけねーよ、

 しかも、お前の父親も母親も、

 身内も一度も会ったことねーよ、

 てか、顔すら知らねー)

 そう思いながらも私は

(まだ、幼いから会話のボキャブラリーが少ないんだろうな)

 と思って、

(どうにかして、私も楽しい会話に誘導しないとな)

 こう考え始めた。


(あっ、そういえば、

 この皇族さん、お茶を飲んでない希ガス)

 と気付き心の中で呟いた後に、

(進言するのも面倒くさいな、

 もしかしたら、私が来る前にたらふく飲んでるかも知れないし)

 こう思うことによって懸念事項を解決することに成功した。


 私が皇族さんのお話に、

 適当に相槌を打ったりを繰り返し続けていると

『キィー』

 と凄い小さな音が聞こえてきて、

 皇族さんの後ろに待機していた公爵のおじさんは、

 扉の方に早足で歩いて行った。


(何かあったのかな)

 私がそう思いながらも、

 皇族さんの方を見ていると

「やっと、到着したのか」

 そう皇族の少年は呟いた。


「殿下、何が到着したのでしょうか」

 私がそう問いかけると

「あっ、いや、それは・・・」

 と顔を赤らめて答えてきた。


(さっきまでの軽快な喋りはどうしたよ、

 どうしたんだよ、何か私も緊張しちゃうよ)

 そう心の中で殿下に文句を言うように叫んだ後に

「答えて頂けないのでしょうか」

 と悲しそうな声を演技で出すと

「あっ、えっ、その、

 すまない、えと、

 僕がエミリー嬢に渡そうと思っていた、

 その、ぷっ、プレゼントを持ってきて貰ったんだ」

 そう焦ったように、

 私を慰めるような、

 何て言うのか分らない声でそう言ってきた。


「そうなのですか、

 その、プレゼントというのは」

 私がそう言うと

「そっ、それは・・・だ」

 また重要なところは小さな声にしてそう言ってきた。


(重要なところはもっと大きく、

 気合いを入れて言わなければ駄目だよ)

 私はそう心の中で呟きつつ

「もう一度、大きな声で言って貰っても構いませんか、

 申し訳ないことに聞こえなかったのです」

 と皇族さんに言うと

「えっ、と、その」

 顔を赤らめたまま、

 皇族さんは口を開くこと無く、

 紅茶に口を付けた。


 紅茶に口を付けた皇族さんは

「あっ、美味しい」

 そう声を漏らした。


(美味しいって事はあっちを淹れたのは、

 お母様じゃ無いんだ、てことは、

 メイド長さんかな、

 それなら、少年、目があるね、

 そんな少年はこれからは殿下と呼ぶことにしよう)

 私はそう思いながら、心中での呼び方を

 皇族さん、もしくは、皇族の少年から、

 殿下に変更することを決めた。


「そうですか、

 良かったです」

 私は一応、美味しいという言葉を漏らした殿下に対して、

 そう、この人と話して多分初めて、まともに感情を声音に滲ませながらそう言った。


「そうか、

 セバス、早く持ってきてくれ」

 殿下はそう恥ずかしいように、

 更に顔を赤らめて答えてきた。


(これで地位が高くなければ、

 私の玩具として遊べたのにな、

 いいや、待てよ、

 からかって遊ぶことも出来るなじみに今でも)

 と心の中で呟いた後に

(私は何を考えてるんだ、

 馬鹿なことをするとこだった、

 前世男の私が一番、駄目だと知っているんだ、

 冗談でも思わせぶりの態度をしてはいけないと、

 前世でそれが原因で玉砕をした物を何人も見た私が、

 それをするところだったのか)

 こう心の中で、

 自分に恐怖を抱きつつも、

 殿下が渡してくる物は何だろうか、

 それを考え始めた。


「あっ、えと、

 その、これをエミリー嬢にやる」

 私が考え始めて直ぐに、

 いつの間にか立ち上がっていた殿下はそう言いながら、

 私にその例のブツを手渡してきた。


(いつの間に殿下の手に渡ってたんだ、

 公爵のおじさんが渡したんだよな)

 そう思いながらも私は、

 そのプレゼントを見た。


 それは、黒紅色の薔薇の束だった。


(あっ、そうなのか、

 プレゼントは花かそう言うことね、

 了解です)

 私はそう思いながらも薔薇の束を受け取った。


 受け取ると直ぐに、

「すまない、ここまで来る途中に、

 少しだけ、萎れてしまった」

 殿下はそう言いながら頭を下げてきた。


(あっ、ヤバ、

 これ、駄目じゃね、

 私がまるで下げさせてるみたいじゃん)

 と思いながらも

「構いませんよ、

 その、贈り物を頂けたので嬉しいです」

 一応、本音を混ぜながらそう言い、

 何か、少しだけ、恥ずかしい感情が湧いてきたしまった。


「あっ、えと、

 そうだ、その、えと・・・」

 殿下はそう恥ずかしそうに、

 何処か戸惑うように声を漏らした。


 その後は、特に何も無く、

 お茶会を終わらせることに成功した。

 気まずくなってお茶を飲んで、

 むせたりしたことはあったが、

 まぁ、それは語る必要性がないので、

 割愛することにする。

 ___________

(安心していた、

 そう、安心していた、

 坊ちゃんの話に無難な返答を返して、

 何も考えていなさそうだったブランドー侯爵令嬢が、

 途中からはしっかりと話を聞き、

 返答をしていたことに)

 と考えていると

「セバス、僕はしっかりやれていただろうか」

 坊ちゃんが質問をする声が聞こえてきた。


 坊ちゃんは、茶会が終わり、

 客室に戻ってきて直ぐに、反省会を始めていたのだ。


「しっかりやれていましたぞ坊ちゃん、

 ブランドー侯爵令嬢も気を許していたのです、

 素晴らしいできですぞ」

 そう反省点は有った物の、

 褒めることにした。

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