第105話 皇族さんあんた本当に馬鹿だね、あぁイライラする
何やかんやあり、
私は現在、皇族さん達を待たせてお母様と対峙していた。
何故かお母様が、
「ロナルド君とマリーちゃんを下げる」
って言う節の発言をし出した故にこの状況になってしまった。
「いやいや、
あの、お母様、
下げる必要性有りますか」
私がそう小さい声で遠ざかっていくお母様の腕を掴むようにして、
止めた後にそう問いかけると
「あるか無いか、
そう聞かれたら無いかも知れないわ」
お母様はそう返答をしてきた。
「それじゃあ、どうして下げるんですか」
私がそう問いかけると
「どうしてかしらね~」
考えていなかったのかそう言い出した。
(えぇ~、
考えてから物事を言えよ、
私もしないけど、これ遺伝かな)
そう思いつつも私は、
「早く理由話して下さいよ、
ただでさえ、お客様方に不敬な真似をしているんですから」
と急かすように言うと
「そうだわ、
此処の部屋の前に立って貰って、
護衛の仕事をして貰いましょうか」
お母様はそう言い出した。
「護衛の仕事を任せるのなら、
ロナルド君だけで良いのでは無いでしょうか」
私がそう気になった事を問いかけると
「一応置いているだけですから、
その、ロナルドでしたっけ、
その方が暇になってしまうでしょう」
お母様はそう言ってきた。
「あの、はい、分りました」
何か、スッゴい、
頑なだったため私は諦めそう返事をした。
「ありがとうね、エミリー」
お母様は折れた私に対してそう御礼を言い、
早足でロナルド君の近くに寄って行き、
何かを耳打ちした後に、
私の方にまた早足で帰ってきた。
(あっ、貴方は最後までメイドをするのね、
了解です、何でかな~)
と心の中でマリーちゃん達を視界の端にに少しだけ納めて行動を見ていると、
ロナルド君がマリーちゃんを連れて行って廊下に行った。
(一応、私が皇族さんにはお母様と話すので待っていて下さい
的な感じで待って貰ってるから
マリーちゃん達を見るのは良くないよね、
無いとは思うけどそれで待たされたと思われれば、
マリーちゃん達がどうなるか分らんし、
マリーちゃん達の方を凝視しちゃあ駄目だよね)
私はそう思った故に、
マリーちゃん達を凝視するのでは無く、
視界の端に少しだけ納めるだけだったのだ。
「それで、お母様、
他にはもう無いですよね」
私がそう問いかけると
「何のことかしら」
そう質問をしてきた。
「もう良いです、
分りました、それじゃあ、
もう何にも無いと思っておきます」
私はお母様にそう小さい声で言ってから
「申し訳ありません、殿下、公爵閣下、
今度こそ、本当に終わりました」
と言いながらそれはもう全力で頭を下げた。
(どれ位全力かと聞かれたら、
そうだな、えと、
テスト前の一夜漬けくらいの全力だ)
私はそこまで思った所で
(この例え方スッゴい分りづらいな)
そう思ってしまった。
(許す言葉が聞こえないな、
これは流石に許してくれないか、
はぁああ、終わったな)
私がそう思って
「殿下、・・・」
と言葉を掛けながら顔を上げると
「あっ、ごほん、構わない」
何故か咳払いをし、顔を逸らすように動かしてから
私の事を許す言葉をくれた。
(はぁ、これって、
許されたのかな、遅くね、
さては、この皇族さんも私と同じで眠いんだな)
そう思いつつも殿下の顔を見続ける。
(何故、顔を見つめ続けているだけなのか、
そう疑問を抱く民もいるだろう、
まぁ、うん、何て言おうかな~
難しいな、君達でも迷うと思うよ、
うん、まぁ、いっか、
結論、何話せば良いのか分らん)
私がそう心の中で思っていると
「えっ、エミリー嬢、
君の領地は大変素晴らしいな」
そう殿下は言ってきた。
(私の領地なんて存在しないけど、
此処はお父様の領地だよ、
それに私、生まれてから一度も領地見たこと無いんだけど、
だから、素晴らしいとか知らんよ、
知るわけ無いじゃん、馬鹿にするなよ、
そうだ、こいつら帰ったら街に進出するのも良いな)
と心の中で文句を叫びながら
「殿下、私の領地では無く、
お父様の領地です」
と修正の言葉を投げかけた。
「あっ、すまない」
私の修正の言葉まで、
お父様の領地だと気付いていなかったのかそう返事をしてきた。
(この少年、まさか、
馬鹿なのか、えぇー、私馬鹿と結婚するなんて嫌だよ、
面倒くさいし、利益も無いもん)
と心の中で呟きつつも私は、
「構いませんよ、
お父様も許すと思います」
そう返事をしておいた。
(あぁ、面倒くさいな、
本当に面倒くさい、
うん、寝たい、本当に寝たい、
この何か、うん、
何て言うんだろう、
えと、うん、面倒くさい)
私が心の中でそう面倒くさいを連呼しながら、
皇族さんの次の話題の提供を待っていた。
「あっ、そうだ、
エミリー嬢に、
えと、その、・・・をやろう」
と重要な部分だけを小さな声で言ってきた。
(馬鹿なのかな、本当に馬鹿なのかな、
この皇子様は、馬鹿なのかな、
重要なところをもっとちゃんと発言しろよ、
私の時間を奪っておいて)
私が段々をイライラの感情を高めながらそう思っていると、
皇族さんは、公爵のおじさんの方を向き、
何かを耳打ちするかのように動いた。
耳打ちされた公爵のおじさんは、
近くにいたメイドさん、
無邪気なお方に何かを頼んで近くに戻ってきた。
(それ、皇族さんが直接頼めばよくね、
てか、私は何を渡されたんだ、
分んね、でも聞かない方が良いよね)
私はそう思いながらも、
顔には怒りやらなんやらの感情を滲ませないように、
薄っぺらい笑顔を貼り付けておいた。




