第1話 なんてこった大変だ
注意です。
この作品の日本語は基本的に壊れてます。
特にあとに進めば、なにを思ったのかが分からないほど狂った句点の入れ方がしてあります。
それと文章が崩壊している箇所も両の手で数えられないほどあります。ごめんなさい。
僕は大変に混乱していた。
何故だかは分からない。けれど、先も見通せないほどの真っ暗な空間に居たからだ。
ついでに何故か、手も口も動かない。……いや、口は動いている。
泣声、だろうか? それに近いものが漏れて、響いているように思う。
まあ、しっかりと聞こえているわけではないから、定かではないのだけれど。
でも、言えることはある。
この声はどう足掻いても、どう考えても僕の声ではない。
近しい物で言えば、赤ん坊の声だろうか?
……いや、あり得ないか。……あり得ないよな? ……あり得ないって言ってくれよ。誰か。
無意味に願っていると、突然浮遊感を感じた。
(えっ? 意味が分からない。……もしや、此処が箱の中で、これから高所から落とされるのでは?)
と嫌な妄想が、頭の中を支配し、恐怖に震えていると、重力を感じた。
(あっ、落とされた。……死ぬんだな。妙に時間も遅く感じる)
だのと、諦観から目を強く瞑る。
けれど、待てど暮らせどその瞬間は訪れない。
(あれっ? まだ死んでない。……あれかな? 超能力的なのに目覚めたのかな?)
厨二病然とした恥ずかしい妄想をしていると、何かを擦り付けられる感覚がした。
ナニカは分からない。……これは、人肌かな?
(気持ち悪っ。僕、結構いい年したお兄さんだと思うのだけど、……今、何されてるんだ? ……頬ずり?)
と考えると、体全体が粟立つのを感じた。
悪寒が、脳天の先の先から、足元まで駆け抜けたのだ。
(うえぇ、キモい。気持ちが悪い)
汚濁した、耐え難い感情に支配されていると、僕は手渡された。手渡されたのである。
五十キロ後半程度の体重にもかかわらず、軽々と、さも当然かのように手渡されたのだ。
(どういう事だ? どうして、こんなに軽々と? 幾ら筋骨隆々だからといって無理があるぞ? 片手で五十キロ上げられる人なんて、存在しないだろ。たぶん)
と僕の頭は悪寒が七割、混乱が三割を占めた。
そうして恐怖心も培っていると、額に肉が当たるような感覚があった。
この感覚には、そう覚えがない。
しかし、僕はこの感覚を知っている。キスである。
(……えっ? 気持ち悪い。えっ、化物にキスされたの?)
混乱が頭を支配し、僕はいつの間にか気絶するように、眠ってしまった。
──────
あれから何十年の時が経ったことだろうか? それとも何億年だろうか?
僕は、いまだにあの深淵の牢獄に囚われていた。
……まあ、冗談なのだが。
さて、今現在はあれから、たった四年ほどしか経っていない。正確には分からないが。
結論から言えば、所謂転生なのだろうか?
僕自身もそう詳しくないので良く分からないが、赤ん坊になってしまったのだから、それ以外には考えられない。もっと仏教思想を勉強しておけば良かった、と後悔が募るばかりだ。
話は逸れたが、僕自身はどうしてこのような事になってしまったのかは、微塵も分からない。
記憶が正しければだが、僕には死んだ記憶がないのだ。
……この時点で、転生、と言うよりも憑依だとかの方が近いかも知れない。
しかし、人間の精神とか言う物が、他者に憑依するのか、だのと考えるとあり得ない、と思うのでやはり、転生なのかな、と思うしかない。
ああ、でも所謂テンプレートと言おうか、そういったアニメに出てくるような所謂女神、所謂神様は出てくることはなかった。
気付けば、あの深淵にいたのである。
どうして僕のような凡庸な人間に、このような事が起きてしまったのか、と疑問に思う。
僕には決して優れた知性も、他者を懐柔できるコミュニケーション能力もないのだ。
それに、この世界についての事前情報も全くと言って良いほどに無い。
故に、どうすればよいんだ!
と叫びたいのだが、無駄なのでよしておこう。
有意義な事を考えるべきだ、と思うのでそうだな……僕の現状をまとめようと思う。
まず初めに容姿であるが、分ることと言ったら銀髪に碧眼で、何と驚き女子である、と言った程度だ。……何と驚き、女性として生まれてしまったのだ。
前世が男である為に、相当に忌避感があるのだけれど……。
まあ、取り敢えず置いておこう。使われなかった象徴が、失われてしまった悲しみはあれど、今はそう重要ではないのだ。……重要ではないのだ。
……さて、顔であるけど、四歳児程度の顔では、美麗であるかどうか、とは分かり得ないように思う。
けれど、なんだか美麗になる予感がある。
次に、家族について、である。
まず分かったこととしては、私は所謂貴族のようだ。
華族かも知れないが、どう考えても両親の顔が西洋人に見えたので違うことだろう。
それで、両親であるが、父母ともに見るからに西洋人だ。
羨ましいことに、父はスッゴく身長が高い。
それで、父の詳細なのだけど、この人はブロンドのイケメンである。
前世、まあ前の世界で言うところの、芸能人ではないのだけれど、スッゴいイケメンの人、みたいな感じである。
端的に言うと、少しだけ物足りない感じだ。
ちなみに言うと、昔頬ずりしてきたのはこの人である。
相当に気持ちが悪いのだけれど、それも彼なりの愛情表現なのだろう。
あと、名前は「ルイ」と言うらしい。苗字は不明だ。
私的には、騎士だとかの少し権威のない貴族に思う。予想に過ぎないが。
さて、次に母親である。この人を端的に表せば、ブロンド髪の美人さんだろう。
芸能界に居ても全然違和感がない。
……いや、違和感はあるかも知れない。彼女は、だいぶ身長が低いのだ。
幼い、とまではいかないが、父の性的嗜好が少し、……いや、だいぶ心配になる。
ちなみに、昔キスした来たのはこの人だ。
キスされたのが、この美人さんだ、と思うと少し喜ばしく思う。
それと、名前は「セリーニ」で、父親のルイは大抵「セリー」だとかと省略して呼んでいる。
たった一文字なので、省略する必要性は感じないのだが、それも何らかの愛情表現なのだろう。きっと。
あと、私的にはこの人は結構高貴な御方では、と考えている。
所作が父親に比べて、相当に優雅で綺麗だからだ。
……さて、僕の両親についてまとめた所で、少し突っかかりを感じた。
ふと、思ったのだが、僕の銀髪は何処由来だろうか?
両親は、どちらも綺麗なブロンドである。
しかし、僕は銀髪だ。
毛髪が生えそろっていない影響で、単にそう見えている、という可能性も否めないのだが……。
僕が色々と考えていると、声が聞こえてきた。
「エミリー、パパでちゅよ」
だのという大変に気色の悪い、寒気のする赤ちゃん言葉である。それも、男の声の。
……あっ、ちなみに言うと僕の名前は、エミリーである。
誰であるか、と問われるとお父様こと、ルイである。
彼は、意味が分からないことに、良く頬ずりをしてくる。
別に痛くはないのだ。けれど、純粋にうざったいのだ。
「パパ、痛いからやめて」
と微妙に呂律が回っていないために、若干ばかり苛つきを覚えながら、やめて欲しい、と伝えると、彼はしょぼくれた犬のようになった。
そうして言うのだ。
「少し前まで喜んでたのに」
とか言う意味の話かない妄言を。
「喜んでないもん!」
と怒ったように訂正すると、彼は更に顔を悲しそうにした。
……僕には一切の非がないのは分かっている。けれど、何と言おうか……。やはり、良心の呵責という物は有る物なのだ。
「ちょっとだけなら良いよ」と、承諾の声を挙げてしまった。
……別に可哀想だな、と思ったわけではない。本当の本当に。
けれど、嬉しそうに頬ずりをし始めた父親を見れば、今度からは絶対に信用しないでおこう、と決意を固めることにした。
……さて、ふと思ったのだが、僕は今まで誰に説明をしていたのだろうか?
…………分からないな。……けれど、まあ良いか。状況を理解するためにも、色々と利益はあることだろう。……一切分からないけど。
きっとたぶん、良いはず! そんな気がする!
2023/04/14、17:35
表現の大幅修正。
推敲完了 2024/04/24