3. 女王の諮問(1)
1話でリナが群衆に話した戦について話しています。
翌朝、二人はある人物と会っていた。その女はもう30代後半だったが、今日はブルーのドレスを着て、色濃く化粧をし、長髪を束ねて後ろに垂らしていた。よく言えば女王に謁見するのにふさわしい姿であり、悪く言えば若作りである。
女とアリアは面と向かって椅子に腰掛け、リナはその横に立って、話を始めようとしていた。
「今日お呼びしたのはご意見を伺うためです。」
「監査隊の報告によりますと、南の例の部族に不審な動きがあったそうです…」
しかし、すぐに口を挟まれる。
「へえ、あの部族ねえ。」
女はおかしそうに笑った。
「知ってるのか?」
アリアが尋ねる。
「ええ、もちろん、」
「戦ったことがあるもの。」
「どんな相手だ。」
すかさずアリアが聞く。
「あらぁ、あなたも知ってるはずよ。ほんの数年前のことじゃないの。」
女はアリアの食いつきを見て、からかうような口調で言う。
アリアは顔をしかめる。数年は30代の女にとっては最近の出来事かもしれないが、18歳の少女にとってはまだ幼かった頃のことである。その上、女王になることを考える前は、アリアは国のことについてほとんど関心を持ってこなかった。
アリアだけではない。戦乱の世にありながらも、フラウ王国の領土内は長らく戦火にさらされてこなかったため、王国民は大人であっても、国のことに興味がない者は多かった。
ときに昨日のリナの話をしっかり聞いていた人は何人いただろうか。半円広場の群衆は、あるいは美しき女王を見る者と、あるいは熱狂を楽しむ者に大別されるだろう。そのような者は、たとえリナが話しているときは聞いていても、翌日には忘れていて話題にもしない。南にある得体の知れない部族の名前など覚えているはずもない。
「問題です。」
アリアの反応を楽しそうに見てとり、女は歌うように言った。
「彼らの移動手段は何でしょう?」
「馬です。」
すかさずリナが答える。
「そう。」
女はすっと立ち上がり、リナの方を向いた。二人の身長差は頭一つ分ほどある。
「彼らは騎馬民族よ。学はなかったわ。」
女はリナの目を見て話しかける。リナは無表情で彼女の目を見つめ返す。
「いい?」
「敵を知り、」
女はゆっくりとリナを指す。
「己を知れば、」
今度は自分を指す。
「百戦危うからず。」
リナが続けた。
「そう。」
女が頷いた。
「頑張ってね。」
そう言い残して、ひらひらと手を振り、女はドアのところまで歩いて、そのまま出て行った。
まだ2話なのにさっそく評価やブックマークをしていただきありがとうございます!
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さて、新しい女性が出てきましたね。
この女王をからかって楽しむ個性の強い女性は誰でしょう。
そう、私d
というのは冗談です。旅の魔女に似ているのはむしろリナですね。
ここでネタバレをするのは良くないので。
はい、前任の女王です。
(°▽°)
さて、部屋に二人きりで残されました。まだ朝なので普通に話すだけですね、きっと。ではまた次回!