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2. 女王の親友

ガールズラブ、軽度の性的描写があります。苦手な方はご注意ください。


その夜、アリアは自室の天蓋付きベッドの上で本を読んでいた。


そこに、



 「アリアー!」



と言って入ってきたのはリナだった。アリアは本から目を上げ、リナにしかめっ面を見せた。



 「ちょっとリナ、女王様の部屋に入るときはノックぐらいするものよ。」



リナはとってつけたように大袈裟に頭を下げ、



 「申し訳ありませんっ、女王様。」



と言った。リナが頭を上げると、二人の目が合った。そして二人同時に笑った。



アリアとリナは、小さい頃から一緒に遊んでいて、同じ学校にも通っていた。リナはアリアの唯一の幼なじみであり、一番の親友でもあった。



アリアが女王となったとき、彼女は真っ先にリナを側近に任命した。彼女にとって、リナは何でも相談できる相手であり、唯一本当の自分を見せることのできる相手だった。



アリアはリナを心から信頼していた。もっとも、最近の二人の関係は、親友という言葉では言い表せないほど親密なものだったのだが。



 「どうしたのリナ?」



 「アリアがね、不安がってるかもしれないと思って、慰めにきたの。」



アリアはリナが自分の心情を読んでいたことに内心驚きながらも、顔には出さなかった。



 「そう。で、どうやって慰めてくれるの?」



 「わかってるくせに。」



そう言って小悪魔のような笑みを浮かべて、リナはアリアの頬にゆっくりと右手を伸ばした。リナの手のひらがアリアの頬に触れると、アリアは身を委ねるように目を閉じた。誘うような可愛らしい表情を浮かべる女王の姿に、リナは体の中で感情が溢れるのを感じた。その感情に突き動かされるままに、リナは唇を近づけていった。

 


 「んッ…んッふ…んん」



二人は、しばらくの間、唇を重ね合った。



 「ぷはっ」



唇を離した時、アリアの顔は、日中の凛々しく整った姿からはまったく想像できないほど、ふやけて締まりがなくなっていた。



リナの左手が、アリアの着ていた純白のネグリジェの裾をめくり上げ、中に入っていく。そのまま指先でショーツに触れると、すでに広く濡れていた。



 「…あッ」



リナの指先を感じて、アリアが声を上げる。リナの指がそのままショーツの中に入っていく。



 「もうこんなに濡れちゃって。アリアはエッチだね〜」



 「やァッ…リナぁ…そんなこと…言わないでぇぇ…」



 「いいじゃん、私はエッチなアリアも好きだよ。」



 「…リナぁ…すきぃぃぃ…」



夜が更ける。



リナは小さい頃から、アリアに対して複雑な感情を抱いていた。アリアから向けられる純粋な好意と、屈託のない無邪気な笑顔は確かに嬉しいものだった。それに応えようとする自分もいた。しかし一方で、勉学も武術もスタイルも、そして性格の良さまでもが自分より優れている友人に対して、幼きリナは劣等感と嫉妬を感じずにはいられなかった。そして、そう感じてしまう自分も嫌だった。



それでも、初等教育のうちはまだ良かった。13歳になり、中等教育に進むと、二人の差は点数という形で顕在化するようになった。そして、リナはアリアから距離を置くようになった。



実際、リナも決してできないわけではなかった。むしろ、同世代の中ではトップ10に入るほど優秀だった。しかし彼女は負けず嫌いで、プライドがあった。そして、自分が自分を好きになれないのをアリアのせいにした。



別にアリアの自慢が嫌だったなどではない。アリアはいつでも謙虚で、自慢の言葉など夢の中でも口にする事はなかった。リナが嫌だったのは自分自身だった。アリアと離れれば、心の中で負の感情が渦巻くのを止められると思った。しかし、実際に得たのは、罪悪感と喪失感だった。



そして、アリアは一人ぼっちになった。もともと彼女にはリナ以外の友達はいなかったし、雲の上の存在である彼女に話しかける人もいなかった。もちろん、媚びて誰かの輪に入れてもらうこともできただろうが、そんなことはプライドが許さなかったのだろう。



アリアは一人でますます勉学と鍛錬に打ち込むようになった。彼女はいつも胸を張って、孤独をまったくものともしないかのように、泰然と振る舞っていた。しかし、幼き日の屈託のない無邪気な笑顔は、彼女から消えてしまっていた。いつの間にか、彼女はほとんど笑わなくなっていた。



そんなアリアを見て、リナは罪悪感に飲み込まれ、溺れ苦しんだ。彼女だけが、アリアの強がりを見抜いていた。彼女だけが、アリアは本当は寂しがり屋だと知っていた。そして失って初めて、彼女だけが何でも話せるかけがえのない親友であることを知った。新しいグループにいても、リナはいつも窮屈さを感じていた…



隣で安らかに寝息をたてる親友の寝顔を眺めながら、リナは昔の自分を思い出していた。そしてアリアの体を引き寄せ、ギュッと抱きしめ、呟いた。



 「ありがとうアリア…大好き…」



アリアがかすかに微笑んだように見えて、リナはびっくりした。そして二人は眠りに落ちた。


読んでいただきありがとうございます。


今回は二人の関係性を描くために少しエッチにならざるを得ませんでした。

今後もちょくちょくあるかもしれません。

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