「ケモミミ添乗員さんと行く異世界ワールドミステリーツアー」妹小路ヘルヴェティカ 氏著
「ケモミミ添乗員さんと行く異世界ワールドミステリーツアー」
妹小路ヘルヴェティカ 氏著
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ブラック企業社員の主人公が異世界転移をしたら、
そこにいたのは自分と同じ顔の王様と、
その他多数の同じ顔。
社畜から一転、なにが起こるかと思いきや、しばらくなにも起こらない。
とりあえずチート能力で戦ったりしない。
そして貴族の称号を与えられた主人公は、王様から命じられたお仕事をするまでの空白期間(要はニート)に、専属ツアコンさんと異世界探訪に出かけます。
このケモミミのツアコン・キィロちゃんや、他の女子キャラたちがいい味を出しているのと、
主人公がまた、とっても普通。
異世界のスケール感や価値観の違いにちょいちょい突っ込みを入れながらも、
無理に染まろうとはせず、あくまで異世界から来た普通の会社員として
ちょっとだけワガママを通したりして、異世界の各地を探訪していく。
昭和的に、序盤の異世界に紛れちゃった感じがなにかを思い出させる…と考えていて思い当たりました。
あれです、昔テレビ放映していた「まんが○○ものがたり」。あと、「○○○○探検隊」ですかね(これは本文で出てくるネーミング)。
それが、途中からヒーロー感が少し増していきます。
あくまでも社畜会社員モードのまま。
不穏な空気と慣れない異世界設定を、主人公が現代に置き換えて実にわかりやすく自然に解説しつつ、自分がおかれた状況と謎に立ち向かう。
立ち向かって…いるんですが、悲壮感も緊張感もそんなにない(いい意味で)のは、軽妙な語り口と、溢れる小ネタ、そしてしっかり作りこまれた世界観と、そんなに複雑ではない物語の主軸のため。
小ネタは対象年代が幅広すぎですが、わからなくても雰囲気で楽しめます。
児童~少年向け冒険絵本に、ちょっと大人な価値観を足して
ライトに仕上げた異世界探訪譚という感じでしょうか。
ケモミミ好きな、あまり冒険したくない会社員さんにオススメ。