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僕らの宇宙に飛んでいけ

 夢、という物がある。まあ、これはおそらく人間の見えている範囲では自分という物が最終的には消滅するものであることを認識しているからこそ存在するのであろう。自身の消滅までに、やりたいことをやって、充足して消滅を迎える。これが人間たるものの理想的な死への流れなのであろう。しかし、満ち足りる、ということは一種の幻想なのだ。


「美咲、おまたせ」

 待った? と問われて首を横に振る。この十二分に働きすぎる脳みそと思考する事柄があれば待ち惚けなど芥子粒のように小さな問題である。まあそもそも、たいして待ってすらいない。


「じゃあいこっか」

 彼はそう言ってわたしに優しく微笑みかける。なんてつまらないんだろう。男女交際を重ねていくうちに、男をものにすることがつまらなくなっていく。プレイヤーの熟練によってつまらなくなるゲームとはこれいかに。そろそろ新しい遊びを探さなければ。彼と身体を重ねるのもこれで最後だ。さあ、どのカバンを買ってもらおう。


「さよなら」

 私は彼に美しく、微笑みを湛えて別れを告げる。自分が悪魔になったかのような、この別れの瞬間が一番楽しい。ただの金蔓に対して心が痛むこともない。私が死ぬまでの暇つぶし、この世界に残す、とてもちいさなつめあと。いままでの男同様、この男も私のような美しい女性がトラウマになるのだろう。私へのいとおしさゆえに。私は彼らが羨ましかった。自分の中に愛という感情が欲しかった。


 また、ひとりになった。ひとりになりにいってしまった。愛も知らない女が、いっちょ前に寂しさに震えている。


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