7秒目は残酷で。
彼は日に日に姿を変えていく。みずみずしさを失い、動きが緩慢になっていく。まるで私の役割を終えた蔦や葉のようだった。
それでも、彼は毎日私に雨を降らせる。私は枯れることなくここにあり続けた。いままでの全ての同胞を見渡しても、私ほど同じ姿を保ち、生き続けた者はいないだろう。
それは、何一つ残せないことの代償だったのか、それとも、ただの徒花であると自覚しながら、のうのうと生き続けた罰なのか。
私は生まれてからきっと一番美しい姿を保ち続ける。この弱弱しい巨人がいつか私のもとを去るその日まで。
彼は私の都合など知ったことではないのだろう。何が良いのかわからないが勝手に枯れて、かってに去ろうとしている。
冗談ではなかった。まだ、まだたりなかった。
守られ、世話をされつづけて何も返せないまま恩人が枯れていくのを見るなど、惨めすぎた。
何もできない、何も残せない徒花であることは仕方ない。それが私の生まれなのだから。
そんなことはとっくの昔にうけいれたはずだった。実りを返せないと知った日から全て理解しておしこめたはずだった。
私は何も理解できていなかった。何も残せない哀しさを。誰かに助けられてなお、自分は何一つ返せない。そんな惨めさを。
なぜ、こんなところに生まれてしまったのか。他の所なら、たとえ徒花であったとしても、私はだれかに助けられることなく、惨めさを感じることなく、枯れていくことができたのに。
それでも、この心地よい温い水から私はもう離れられそうになかった。




