姉
恐る恐る純子から聞いた電話番号を押す。女性は知らない番号から電話に出るものなのだろうか。少なくともレナは出なかった。ただとにかく知らせなくては。
呼び出し音が鳴る。
「もしもし、、、」女性にしては少し低音な声だった。
「瀬崎さんのお姉さんでしょうか?私は大滝と申します。」
「はい、姉ですが、妹に何かございましたでしょうか?」レナの姉だけあってだいぶ落ち着いてる。
「実は今日レナさんが救急車で運ばれまして、お医者様から早くご家族の方にお知らせし、病院に来ていただくよう伝えて欲しいとのことでして。」
「わかりました。すぐ向かいます。病院はどちらですか?」
「新宿のJR病院です。そちらの救急病棟です。」
「レナの容態はいかがでしょうか?」
「意識不明の重体です。」
「そうですか。。。」大きな落胆と、だが何故か、すでに覚悟をしていたかのような声で妙な落ち着きがあった。悟っていたかのように。
「1時間ぐらいで行けると思います。大滝さん、それまでレナのそばにいてあげてもらえませんか?」
「はい、もちろんです。」
レナの姉はどこまで俺たちのことを知っているのだろう。そして俺はどこまで話すべきだろう。